ボイラーに必要な資格とボイラーの種類
Q1:「ボイラー取扱技能講習修了者等」とありますが、「ボイラー取扱技能講習修了者」ではないのか? 「等」にどういう意味があるのでしょうか?
A1:経過措置で(規)47年附第23条第12項に旧ボイラー則第十九条の二から第十九条の五までの規定による取扱講習を含むために「等」としてあるのではないか?と思います。
Q2 小型ボイラー:特別教育を受けた者(学科教育7時間以上、実技教育4時間以上で、教育を受ける資格制限はない。) 「学科教育7時間以上、実技教育4時間以上」とありますが、「学科教育7時間、実技教育4時間」ではないでしょうか?
A2:「ボイラー構造に関する知識二時間。ボイラー取扱いに関する知識四時間。点火燃焼に関する知識三時間。点検及び異常時の処置に関する知識四時間。関係法令一時間。」です。
Q3:「ボイラー技士の1日の作業」について詳しく知りたいのですが?
A3:
<1> 冷暖房・給湯用ボイラーの取扱いですが、ボイラーには種類及び発生蒸気量など使用目的に応じてさまざまな型式・種類があり、その種類・大きさにより取扱方もちがう。そして免許証を必要とするものから講習終了証がなくとも使用可能なボイラーが多く製造使用されています。このため、今回は一般的に30年~40年前に冷暖房及び給湯用に使用された小型貫流ボイラー(講習を必要とする)の取扱について説明を行います。
<2> 当時のボイラー技士の1日のボイラー作業をご説明します。
- ボイラー担当者は一般勤務者よりも少し早く出勤します。前日ボイラー停止後、蒸気ラインを含む各部からドレーン(蒸気が冷めて水になったもの)の排出が行われていないものとし、スチィームトラップ(水分排出装置)をはじめ缶類内部の水分を抜きさる作業を行います。
- スティームヘッダー(蒸気だめ)入出口のバルブを全閉にする。
- 灯油ポンプ運転、給水タンク内のボイラー補給水を確認する。
- ボイラーエアー抜きバルブ全開。ボイラー制御盤内電源(ELBスイッチON)、盤表示灯の点灯を確認する。
- 自動スイッチON(給水ポンプが起動し、ガラス水面計のH位置で給水ポンプが停止することを確認する)
- ボイラー缶底バルブを開き、ガラス水面計LLで水位異常の警報及びボイラー異常で自動停止(インターロック)を確認する。
- 警報を停止し、確認後再度給水を開始する。一定レベル(ガラス平面計の水面がわかる位置)で自動スイッチにきりかえ、運転スイッチをONにする。バーナーの着火を確認する。(火炎検出器『フレームアイ』は一定の周期で清掃を行う)
- フレームアイを遮蔽し、失火警報及びボイラーの停止(インターロック)を確認する。フレームアイの遮蔽をもとにもどし自動スイッチをONとして着火を確認する。
- 着火後、燃焼状態を確認し、煙突出口の排気ガスの状態について確認を行う。(燃焼状態が正常であることを確認する)
- ゲージ圧力が0.15MPaにてエアー抜きバルブを全閉にし、常用圧力に昇圧する。常用圧力にて連続ブロー装置がある場合は連続ブローバルブを開とする。
- 主蒸気バルブを除々に開き、同じくスチィームヘッダー(蒸気だめ)の入り口バルブも除々に開く。
- スチィームヘッダー内の空気及び水分を完全に排除し、スチィームトラップバイパスは全閉にし、スチィームトラップの本線を使用する。ボイラーの圧力とスチィームヘッダーの圧力が同一になるまでスチィームヘッダーからの蒸気の出口バルブは開かない。
- 同圧になりしだい、暖房用熱交換器、冷房装置、給湯ライン配管へのバルブを一つづつ開ける。勿論各機器類の暖缶、ドレーンの排出は確実に行う。また、一度にすべての暖缶を行うと、発生蒸気量の不足によりボイラーが停止してしまうこともあり、絶対に一つづつ行わねばならない。
- ボイラー水に軟水を使用している場合は軟化装置の稼動確認だけでなく、水の軟水確認も行うこと。軟化装置の再生時についても再生工程の確認を行うこと。再水量が一定に近づいている場合は、再生準備を行っておくこと。
- 清缶剤及びPH調整剤、脱酸剤についても投入を忘れてはならない。ボイラー水のサンプリングとその水質確認を行うこと。
- 燃焼状態の確認は、ボイラー内の燃焼状態だけでなく、煙突出口の排気ガスの色で確認を行い、正常な燃焼維持に気を配ることが重要である。
- 各機器類の点検については、時間を決めて実施し、記録を行うこと。圧力・温度・燃焼状態・各部の異常・漏れの有無。使用燃料量・給水量・稼動時間等を記録すること。
<3> ボイラー技士のその他の作業
- 月例点検・年点検も実施すること。
- そのほか、随時蒸気漏れをはじめ各ストレーナーの清掃、ポンプ類のグランドの増締めや、時には交換などを実施する。蒸気漏れは少量の時期に速やかにパッキンを交換することが重要である。大量に漏れ出すとフラッジ部に溝ができ、フランジを交換しなければ蒸気漏れが止められなくなる。
- 圧力容器(暖房・給湯用熱交換器)の使用検査(年に一回)のときは整備は専門業者が行っている。ボイラー類は保温のためアスベスト類で包まれている。専門業者はこの保温材をばらし、機器類の分解を行っている。
- 通常の運転時に蒸気漏れが発生したときは、ボイラーマンが保温材をばらし、シートパッキング類の交換を行っている。ボイラー室はアスベストが吹き付けられている場合が多い。