この書籍は、1890年代から1970年代の日本の石綿産業と国の動向について、体系的に記載した日本で初めての書籍です。書籍や雑誌等が残されている石綿製造企業の社史及び石綿業界団体の文献による比率が高いため、一定のバイアスがあることは否めないと思いますが、日本の石綿の歴史に関心をもたれる方には大変貴重な内容が含まれている書籍ですので是非ご一読ください。書籍の頁数の関係等で掲載できなかった図、文章についてHPで提供しておりますので、書籍とあわせてご覧ください。
書籍各章と関連する資料
1.1 アスベストとは
1.2 既存製品へのアスベスト使用
1.3 世界のアスベスト鉱山
1.4 世界のアスベスト企業
1.5 世界 のアスベスト業界団体
1.6 海外での技術開発、輸入、国産化の流れ
2.1 日本のアスベスト産業の形成
2.2 国家政策としてのアスベスト産業の推進
2.3 アスベスト産業の展開その1
2.4 アスベスト産業の展開その2
2.5 アスベスト産業の展開その3
2.6 戦前におけるアスベスト産業の意義と有害性の知見
3.1 戦前の鉱山の状況
3.2 戦時中の鉱山開発
3.3 採掘と選鉱
3.4 各鉱山の状況
3.5 朝鮮のアスベスト鉱山
3.6 戦後の鉱山
4.1 アスベストと軍需
4.2 日中戦争以降
4.3 戦後の動き
5.1 日本のアスベスト産業:興隆の時代
5.2 アスベスト消費の全般的状況
5.3 各製品に関する状況
5.4 建築防火制度とアスベスト
5.5 吹付けアスベスト
5.6 石綿高圧セメント管
5.7 アスベストに関する規格の制定と関係者の関与
5.8 戦後1960年代までの通産省の石綿工業・石綿建材業界に対する関わり
6.1 商社史概要
6.2 日本のアスベスト関連商社
7.1 アスベスト粉じんの特質とアスベスト関連疾患
7.2 有害性に関する知見の蓄積
7.3 発がん性に関する知見の広がり
7.4 関連する国際会議と三大企業の動き
7.5 日本における知見
8.1 1960年代までのアスベスト規制
8.2 発がん性に注目した規制の始まり
8.3 特化則による規制の不十分性
8.4 1970年代の業界不安定時代と規制に対するアスベスト業界の反応
8.5 行政に不作為の責任はあるか
9.1 有害性の認識は生かされたか
9.2 国・産業界の関与
9.3 アスベスト製品のコスト
9.4 情報操作と情報格差の利用
9.5 おわりに