3-衆-運輸委員会-3号 昭和23年11月11日

昭和二十三年十一月十一日(木曜日)
    午後一時五十四分開議
 出席委員
   委員長 有田 二郎君
   理事 前田  郁君 理事 佐々木更三君
   理事 原   彪君 理事 高瀬  傳君
      原  孝吉君   岡村利右衞門君
      田村 虎一君    深津玉一郎君
      松本 一郎君    井谷 正吉君
      境  一雄君    成田 知巳君
      正木  清君    吉川 兼光君
      佐伯 宗義君    橘  直治君
      矢野 政男君    萩原 壽雄君
      館  俊三君    小西 寅松君
      河口 陽一君
 出席政府委員
        運輸政務次官  片岡伊三郎君
        運輸政務次官  加藤常太郎君
 委員外の出席者
        総理廳事務官  杉村正一郎君
        総理廳事務官  秋山 武雄君
        商工事務官   長村 貞一君
        商工事務官   細井富太郎君
        運輸事務官   吉次 利二君
        運輸事務官   山口  傳君
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
十一月十一日
 高瀬傳君が理事に追加選任された。
    —————————————
本日の会議に付した事件
 理事の追加選任
 連合審査会開会に関する件
 運輸関係労需物資に関する説明聽取
    —————————————

[前略]

○有田委員長 引続き、運輸関係の労需物資につきまして当局より説明を聽取いたします。まずせつけんについて鉄道総局資材局長より御意見をお聞きしたいと思います。

[中略]

○有田委員長 資材局長におはかりしますが、ゴム関係を先に片づけたいと思いますので、地下たびその他について……。

[中略]

○秋山説明員 日用品課長の秋山であります。ゴム製品関係について一應申し上げます。國鉄、海運関係についてただいま御意見を述べられましたが、ゴムの状況はすでに昨年もたしかこの委員会で御説明を申し上げたと思います。実は本年は昨年に比べますと、かなり順調であつた——と申し上げる意味は、少くともこの上半期に関しましては相当順調に入つて來たのでありますが、最近またちよつとよくない。まず地下たびから申し上げます。
 実は地下たびにつきましては、ゴム関係の問題よりも、問題は主として繊維関係、布地の不足ということが制約をなしているのでありまして、これにつきましては私ども司令自の方にも種種懇請いたしまして、輸出の不適格品から相当量もらい、さらに米國軍の余剰物資のダツクと申しますか、ズツクでありますが、綿布の拂下げを受けるというようなことで、どうにか予定近くのものを現在までは続けて來たのだあります。地下たびの本年度の予定は、年間総量千六百八十万足であります。昨年の配給実績が九百九十二万足であります。從いまして六割ないし七割というものを本年度は増産しようという計画を立てたのであります。上半期におきましては繊維が非常にきゆうくつでありましたが、ただいま申し上げましたような方法で大体予定近くのものをつくつて來たのであります。八月末になりましてゴムの入荷は非常に急に惡くなりまして、九月一ぱいと十月の半ば過ぎまでほとんど輸入量がゼロに近くまで落ちたのであります。これはアメリカの会計年度の切りかえの関係、その他いろいろ事情はあつたようでありますが、要するにドル資金の関係から南方でのゴムの買付ができなかつたという事情らしいのであります。われわれ非常に憂慮しましたが、最近ようやく、まだ完全ではありませんが、やや盛り返してまいりまして、少しずつながら買付が進み出して來ている。実際はおそらく千七百万足ほどの計画に対しまして七割五分ないし八割にとどまするのではないか。これはつまりゴムの面からと、繊維の面からと両面の制約を受けているのでありまして、大体八割程度にとどまするのじやないかという見透しであります。配分につきましは、先ほどせつけんにつきまして申し上げましたのと大体同樣なやり方をしておりまして、これは地下たびといわず、総ゴムといわず、すべて同樣のやり方をいたしておりまして、職種別の重要度と事業の重要度と二つの要素を計算いたしまして、機械的に算出する。あとわずかの調整はいたしますが、大体それによつて配分するというやり方をしております。從つて先ほど資材局の方から年間の予定総量というものをお述べになりましたが、これは実は年度の当初に資料の不完全なままに一應概略の数字をお示ししたという性質のものでありまして、そのとき、すでにこれは資料の完成次第さらに訂正があるものであるということは申し上げてあるのであります。その関係で地下たびにつきましては年間総量が当初の総量よりも少し減ると思います。総ゴムにつきましては年間総量が当初の総量よりも相当多くなる見込でございます。

○有田委員長 実は今鉄道総局並びに海運総局の方から御意見がありましたが、特に北海道方面におけるゴム長ぐつ、あるいは地下たび、あるいはゴム半長ぐつというものの重要性についてはすでに十分御了承願つておると思いますけれども、生産の面におきまして安本の方でいま一段の御檢討を願いたいことは、一体ゴム製品としてすでにマル公を割つておる品物、たとえばベルトであるとか、ホースであるとか、工業用品というようなもの、——ベルトには年間生ゴムが六百トン、再生ゴムが六十六トン、ホースには生ゴムが百八十トン、工業用品には六百二十トン行つておりますが、その他の製品ですでにマル公を割つておるものがあるわけであります。マル公を割つておるというものはやはり需要度が少い、必要性が比較的少い、かようにわれわれには考えられるのでありまして、第三・四半期のゴム製品生産計画というものを安本でちようだいしまいつたのでありまするが、この作文の上において大いな手落ちがないか。その手落ちをうまく配分されれば、こういう最も重要な地下たび、あるいはゴム長ぐつといつたような生産は、鉄道総局なり、海運総局の需要を十分私は満たし得るものだという見解をとつておるわけであります。ただ机上のペーパ・プランで安本においてお立てになつておられる。しかもゴム利用の中で石綿に約五十一トンのゴムがとられておりますが、実際の業者を調査してみると、ほとんど半分以下の量で十分事足りるというような状態をも私は聞いて來ておるのでありまして、その他の物につきましても石綿の量に対してゴムの配分が多い。そしてこれらの業者がほとんど生ゴムを横流ししているという事実をわれわれ聞いておるのであります。安本と商工省の生活物資局との間で十分なる御連絡をおとりになつて、そしてこの生産計画の作文の上においての手落ちを十分御檢請願えれば、鉄道関係といわず、海運関係といわず、その他の重要なる部門でのこれらの重要物資、あるいは自動車のタイヤとかいうようなものにつきましても、私はもつと生産できるのじやないかという考えをもつておるのでありますが、安本の方の御意見を承りたいと思います。

○吉次説明員 お答えを申し上げます。実はタイヤ、ベルトその他の生産資材につきましては、私の所管外でありまして、同じく安本の中でありますけれども、生産局の方で所管をしておりますために的確なお答えをいたし得ないと思います。ただいま有田委員長からのお話の点は、私どもにも思い当らない点がないわけでもない。確かにある品種の物につきましてはマル公以下になつておるという事実も聞いております。ただそのゆえに、その品種の需要がすでになくなつておると、ただちに断定していいものかどうかということは判断できないと思うのであります。私の知つております範囲では、たとえば石炭鉱業におきましても、非常にコンベヤ・ーベルトがよけいに要るといいながら、さてつくると引取れない。その引取れないのは需要がないから引取れないのじやなくて、金詰まりで金がないためにとれないという関係で、工場の方から苦情が出るという話は聞いた例もございます。從つてマル公が割れておるという事実があるかどうか、私、確かめておりませんが、まだつくらないでいいのだという程度に達しておるとは、実は考えられないのであります。ただ有田委員長とその感を同じういたします点は、何と申しましてもわれわれの扱つておりますものは、そういう生産材的な、直接目に見えて、それがなければ石炭が何トン落ちるとかいうような性質のものでないのでありまして、個々の人が使う性質のものであります。つまりある程度まで我慢すれば我慢できるという性質のものでありますために、とかくその需要についての把握が弱いという事実があると思うのであります。消費物資についての声がまとまりにくい、あるいは需要量の的確な把握が困難だというような事実から、生産資材に比べて冷遇——という言葉がいいかどうかわかりませんが、必ずしも重点が置かれていないということは、多少是定せざるを得ない点があると思うのであります。議会方面からもそういう意味の御支援を願いまして、計画の不十分な点は十分御指摘してしただきたいと思います。

[中略]

○有田委員長 では軍手関係に入りたいと思いますから、鉄道総局の資材局長から御説明を承りたいと思います。

[後略]