1-参-本会議-60号 昭和22年12月01日

昭和二十二年一二月一日(月曜日)午前十時四十一分開議
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 議事日程 第五十九号
  昭和二十二年十二月一日 午前十時開議
 第一 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 家事審判法施行法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 企業再建整備法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 地方財政委員会法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 北海道上川郡美瑛町に旭川司法事務局美瑛出張所設置に関する請願(委員長報告)
 第六 仙臺高等裁判所郡山支部設置に関する請願(委員長報告)
 第七 岐阜縣關町に簡易裁判所並びに区檢察廳設置に関する請願(委員長報告)
 第八 石綿輸入促進に関する請願(委員長報告)
 第九 東北証券取引所設置に関する請願(委員長報告)
 第十 中小商工業の振興に関する陳情(委員長報告)
 第十一 青少年保護事業團体救済に関する陳情(委員長報告)
 第十二 中小商工業の再建に関する陳情(委員長報告)
 第十三 マツチ産業公團制の実施反対に関する陳情(委員長報告)
 第十四 商工協同組合法の改正に関する陳情(委員長報告)
 第十五 繊維資材配給統制規則改正に関する陳情(委員長報告)
 第十六 板ガラス配給機構及び取扱いに関する陳情(委員長報告)
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[前略]

○議長(松平恒雄君) 日程第八より第十までの請願及び日程第十二より第十六までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   [「異議なし」と呼ぶ者あり]

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。委員長の報告を求めます。商業委員長一松政二君。
   [一松政二君登壇、拍手]

○一松政二君 只今議題となりました請願第二百六十五号外二件及び陳情第百六十四号外四件につきまして、商業委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告いたします。
 商業委員会におきましては右請願並びに陳情に関し委員会を開催すること五回でありまして、政府当局から各件につきそれぞれ説明意見を聴取し、愼重に審議いたしたのであります。
 先ず請願第二百六十五号は、石綿の輸入促進に関する陳情でありまして、請願者は朝日スレート株式会社專務取締役秦孝治郎君であります。請願の要旨は、石綿が硫安肥料製造、耐火軽量屋根材、その他戰災復興建築資材の供給、輸出用石綿スレート、石綿製造品等に不可欠な配合剤であるが、現在の手持品は辛うじて数箇月を支える程度に過ぎないから、この新しい化学工業を維持し、我が國産業の機能を減退しないようこれが輸入を配慮されたいとの請願であります。本件に関する商工省当局から、石綿の輸入については関係各物資局の策定に基き、貿易廳において輸入要請書を作成し、これを総司令部に提出すると共に、申請の理由並びに國内における石綿事情等を説明して、輸入実現について関係各官廳協力の下に、その促進方に努力しておる。一九四八年度においては一万二百五十二トンを要請しておる。総司令部におきましてもこれに理解ある態度を持ち、本物資が日本経済再建のため相当重要物資であることを認められ、現在米國から石綿隔膜の輸入は二十二年八月一日現在で二万二千九百七十一キロであつて、これを硫安並びに曹達製造のために配分しておるが、更に石棉原鉱輸入の実現方をも考えておると思われる。併しながらこの供給地である米國、カナダでも供給が十分でなく、又船腹事情も逼迫しておるので、我が國の輸入が制約されておる。貿易廳としても更に総司令部に対して重ねて石綿の輸入実現方について一層の努力を拂いその促進方を懇請しておるとの説明があつたのであります。
 第二、請願第三百九十三号は東北証券取引所設置に関する請願でありまして、請願の要旨は、戰後の復興に東北地方が日本経済に占める地位が飛躍的に重大性を加えつつある。これが開発に要する資金を迅速、豊富に調達するため、東北地方に新しい証券取引所を設置したく、而も政治、経済、交通の関係から仙台市を最適地と確信するから、これが設置に関し配慮されたいとの請願であります。本件に関しまして大藏省当局から現在我が國では清算取引所は認められていないが、実物取引については取引所設置の必要があると認められる地域にはこれを許可する方針であつて、すでに数ヶ所に対し設立を許可したとの説明でありました。
 < 略>
 八、陳情第五百六十一号は繊維資材配給制規則改正に関する陳情でありまして、その要旨は、今回の繊維資材配給規則による販賣業者の登録制は、同規則第三條のために、生産者と需要者間の配給ルートが二本建てとなり、種種の欠陥を招來するから、右三條を廃止するように改正されたいというのであります。本件に関する商工省当局の意見は、衣料ごとき生活必需物資については生産者から直接購入する制度は採られていないが、生産資材はその需要者が事業者及び商業者であつて、自由競爭をさせる必要があるので、生産者から直接購入することもできるという二本建ての制度を採用した。併しこの制度には勿論弊害もあるので、実施の実情を見た上、混乱が著しいようでもあれば再檢討を要するのであろうとのことであります。
 以上請願及び陳情に関し、その要旨、政府の答弁意見及び委員の意見のうち主なものを御披露いたしたのでありますが、各委員からあらゆる角度から質疑がなされ、熱心に審査が行われた次第であります。各件ごとに質疑が終わりましてから討論に入り、のち採決に入つたのでありますが、各件いずれも妥当な請願及び陳情であつて、これを採択して政府に送付すべきであるとの意見が委員から述べられましたので、この意見に基ずいて採決に入りましたところ、全員一致で採択して、これを議院の会議に付し、意見書を附して内閣に送付することを要することに決定した次第であります。以上御報告申上げる次第であります。(拍手)

○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   [起立者多数]

○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに決定せられました。これにて本日の議事日程は全部議了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会