76-衆-公害対策並びに環境保全…-8号 昭和50年12月16日

昭和五十年十二月十六日(火曜日)午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 渡辺 惣蔵君
   理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君
   理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君
   理事 木下 元二君
      住  栄作君    戸井田三郎君
      八田 貞義君    渡辺 栄一君
      岩垂寿喜男君    角屋堅次郎君
      米原  昶君    岡本 富夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣(環境庁長官) 小沢 辰男君
 出席政府委員
        環境庁長官官房長       金子 太郎君
        環境庁企画調整局長      柳瀬 孝吉君
        環境庁企画調整局環境保健部長 野津  聖君
        環境庁自然保護局長      信澤  清君
        環境庁大気保全局長      橋本 道夫君
        環境庁水質保全局長      堀川 春彦君
        資源エネルギー庁石油部長   左近友三郎君
 委員外の出席者
        防衛施設庁施設部首席連絡調整官       奥山 正也君
        運輸省航空局飛行場部長    梶原  清君
        特別委員会調査室長      綿貫 敏行君
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十二月十二日
 自然保護のため経読林道の建設中止に関する請願(吉田法晴君紹介)(第三六〇七号)
 にほんかもしかの保護に関する請願外一件(奥野誠亮君紹介)(第三七六二号)
同月十五日
 にほんかもしかの被害対策に関する請願(古屋亨君紹介)(第四一五一号)
 同(竹中修一君紹介)(第四二八七号)
 国(津川武一君紹介)(第四二八八号)
 同(渡辺栄一君紹介)(第四二八九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(公害健康被害の地域指定問題等)
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○渡辺委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。

[中略]

○岡本委員 この未転換企業、要するに苛性ソーダ製造の企業に対しては、もうすでに半分ぐらいはできていなければならない。いまになって、まだ三分の二もできてない。これは、これまであなたの方も監視しなかったわけですね。環境庁がいまになってから、まだ、してないのはここですと発表しただけのことですよ。通産省は直接の担当でありますけれども、非常に通産省というところは企業擁護になっておりますから、通産省にだけ言うて、それでおしまいということでは、私はこれは五十三年になっても、また同じことになってしまうと思うのです。ですから、このときこそ、あの恐しい水俣病、ああいうものが起こったわけですし、また魚に水銀がたくさん入って食べられなくなったというので、非常にパニックが起こったわけですから、私はやはり、いまから環境庁としては、きちっとした要請書あるいは勧告を各企業にしておく必要があると思う。そういう手を打っておかないと、また五十三年の三月になって未転換企業がこれだけです、こんなこと発表したって何も痛くもかゆくもありません。不況であるということも一つの理由にしておりますけれども、それまでは不況でなかったわけです。ところがやってなかったということになると、私は環境庁として、ここで、くぎを打つ必要があると思うのですが、いかがですか。

○小沢国務大臣 岡本先生、御承知のように、転換をしないから水銀が出ているんだ、こういうことじゃないのです。水銀はクローズドシステムで絶対、出さないようになっているわけです。ただ取り扱いの不注意あるいはその他の事故で万一、水銀が出ると悪いから、水銀を使うような苛性ソーダの製造装置は転換をさす、こういうことでございます。したがって、その点はまず基本的にはっきりしておかぬと、何か転換がおくれれば水銀が出て海は汚れて、水銀の汚染によってまた水俣病やその他のものが起こるのだというような印象を持たれることは、私は非常に国民に対して正しい認識を与えないことになると思うのです。ですから、その点だけは明確にしておいていただきたい。ただ取り扱いの不注意や事故等によって万一のことがあってはいかぬから、水銀は使わない、そして転換をしていく、こういうことでございます。
 しかも御承知のように私自身が非常に疑問に思うことは、水銀はまず出さないということです、水銀は出さない。そしてこれを転換をする。ところが転換をする場合に、例の石綿のあれによりますと、濃縮をしなければいけないから、百万キロもよけい油をたかなければいかぬ、そうすると大気がそれだけ汚れるわけでございますから、したがって、それぞれの地区において公害防止計画等の問題から見て、それがいろいろ公害防止協定の中で問題になってきて、なかなかそれが決まらぬとか、そういうことでおくれているのも二部あるわけでございまして、私が通産省に特に強く要望しておりますのは、その石綿の転換でなくて、イオン交換膜法による転換を急いでくれ、これが一番、有効でありますから、そういう意味でいろいろ強力に指導をするという方が本筋ではないか、かように考えておるわけです。ですから、もちろん強力に転換をお願いをしますけれども、そういう点で基本的には水銀の取り扱いについての問題をきちっとするということの方を、まず事故によっても万一でも起こらないという対策をきちっととらして、それから転換についてはイオン交換膜法の推進を大いにひとつやる、これは五十一年とか二年とかを待たないで、もう相当めどがついているわけでございますから、なるべくそういうことを中心に、ひとつ強力に指導をしていきたい、かように考えているわけであります。

○岡本委員 終わりますけれども、長官あなたこの水銀の問題で論議したときの事項というもあをもう一遍、研究してみてください。そうじゃないのですよ。そのために、こんな大々的に大きな費用をかけて隔膜法に転換するわけですから。隔膜法に転換すると非常に困ることがたくさんある。しかし水質の汚濁、海域の汚濁を何とかせなければならぬということで、大英断をもって、ここでこの隔膜法を推進するようにしたわけですから、いまごろになって、いやそれは余りしなくてもいいのだ、それより水銀を出さぬ方が大事なんだというような、こういう後ろを向いたような考え方では話になりませんよ。一貫していないじゃないですか。環境庁の態度が。話にならぬと私は思います。ですからあなたの方としては、やはり一応決めた、環境庁もきちっと勧告した、その事項に対しては、できてないならできてないで、きちっと勧告していく、強く要請していく、それも通産省にだけするのでは話になりませんよ。あのとき立ち会って一緒にやっているわけですから、その時代のことは私はよく知っているのですから、いまごろになって、そんな後ろを向いたような話では話にならぬと思うのです。最後に、ひとつ企業にもちゃんと勧告するぐらいの強い態度を示してもらいたいと思うのです。これで終わりたいと思います。

[後略]