75-衆-大蔵委員会-24号 昭和50年04月15日

昭和五十年四月十五日(火曜日)午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
   理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君
   理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君
      大石 千八君    鴨田 宗一君
      瓦   力君    小泉純一郎君
      齋藤 邦吉君    塩谷 一夫君
      中川 一郎君    原田  憲君
      宮崎 茂一君    毛利 松平君
      高沢 寅男君    広瀬 秀吉君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      村山 喜一君    山中 吾郎君
      荒木  宏君    小林 政子君
      坂口  力君    広沢 直樹君
      内海  清君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房日本専売公社監理官       西沢 公慶君
        大蔵省主計局次長       辻  敬一君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        国税庁次長   磯辺 律男君
        国税庁間税部長 星野 孝俊君
 委員外の出席者
        日本専売公社副総裁      泉 美之松君
        日本専売公社総務理事     斎藤 欣一君
        大蔵委員会調査室長      末松 経正君
    —————————————
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  内海  清君     小宮 武喜君
同日
 辞任         補欠選任
  小宮 武喜君     内海  清君
    —————————————
< 略>
    —————————————
本日の会議に付した案件
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
 国の会計に関する件
     ————◇—————

[前略]

○上村委員長 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。高沢寅男君。

[中略]

○高沢委員 では最後です。これはまた別な性格の問題ですが、酒に関してのやや公害問題的な性格の問題になりますが、醸造した酒をこして清酒にする、つまり酒をろ過する際に何か最近石綿ろ過という、石綿を使ってろ過をするやり方が非常に普及しておる。その場合に、その石綿の非常に細かい粒子が酒の中へまじって、それが人体に対してどういう影響を与えるかということが、これはまだ確定はしていないけれども、もしそれが危険なあれを及ぼすとすれば非常に重大なことじゃないか、これをどうするかという問題が一つ。
 それから、この石綿ろ過はいかぬとなると、非常に多くの業者がそういう設備を持っておる。その設備はだめになって、また別な設備を持たなければならぬということになってくると、特に中小の酒造業者がそのことによって非常に大きな経営的な打撃を受ける。そういうことを聞いたわけですが、国税庁の方でそういう問題をキャッチされているとすれば、どういうふうにその問題をお考えになっているかお聞きしたいと思います。

○磯辺政府委員 これは非常に専門的、技術的なことでございますので、私の御答弁で果たして御満足いただけるかどうかと思いますけれども、国税庁の方で承知しておる事情並びにそれに対してとった措置につきまして、御説明させていただきたいと思います。
 現在、清酒製造業者で使っておりますろ過機というのは、そのほとんどが御指摘のように石綿を使用してございます。これは石綿が非常に安価であるというふうなことと、それから現在におきましてはその石綿というものが非常に効率的であるといったようなことから、ほとんどの中小メーカーというものがこの石綿を使っておるというのは事実であります。
 ところが、この石綿の有害性の問題につきまして世上論議されまして、その有害性といいますのは、一つはその石綿の繊維そのものを肺に吸い込んだような場合、呼吸することによって肺に入った場合に、そこで肺に対していろいろと有害な効果が出てくるのではないか——ないかというよりは、これは有害であるという認定をすでにもう労働省の方で受けております。
 酒造業界におきましても、こういったことにつきましてはつとにキャッチしておりますし、それから同時に、私たち国税庁におきましてもこのことは承知いたしておるのでありますけれども、ただ、呼吸することによって肺に入る、それによっていろいろな害を及ぼすといったような場合というのは、かなり多量に石綿を使っていろいろと加工しているような場合に言われることでありまして、実際の酒造業界におきましては、石綿を使うと言いましてもごく少量であります。したがって、庁といたしましては石綿を使ってそういったろ過をするような場合には、たとえばマスクをしてやるとかあるいは戸外においてそういった石綿の作業をするようにというふうな指示をいたしております。それから同時に、作業主任者の選定をする、それから作業環境の測定、健康診断というふうなことが労働安全衛生法によって基準を義務づけられておるわけでありますけれども、ただ酒造業界におきましては、先ほど言いましたように、石綿を使う作業というのは一日せいぜい数分ぐらいの時間でございまして、一日じゅう石綿を使って工場の中で作業をするといったようなものでもございませんので、労働安全衛生法で義務づけられておるほどのことでもないのじゃないかというふうなことで、現在、労働省とその取り扱いについては協議中であります。これは呼吸によって石綿の繊維が肺に入った場合でございます。
 それからもう一つは、石綿そのものが経口によって胃に入ったような場合に、それが果たして有害であるかどうかという問題については、ただいま先生のおっしゃいましたように、これはまだ有害であるという結論は出ておりません。肺の方に入った場合に有害であるという結論はありますけれども、経口によって胃に入った場合には、まだ有害であるという結論は出ておりませんけれども、しかし事情酒に関することでありますから、メーカーの方に対しましては、石綿でろ過いたしました後の酒についても、さらにまたまざっておるかもしれない石綿を除くように、メンブランフィルター等の樹脂膜を使ってさらにもう一度ろ過するといったような指導をいたしておるわけであります。そういうふうにして、清酒につきましては、そういった経口によって胃に入った場合、体に入った場合に、害があるかどうかという結論は出ておりませんけれども、われわれとしては万全の措置をとるように清酒業者に対して指示しておるというのが実情であります。
 ただ、それじゃ初めから基本的に石綿を使用しないで別なろ過方式をとればいいではないかというような議論が基本的にはあるわけでありますけれども、これもただいま先生から御指摘いただきましたように、石綿にかわるそういったろ過材というものがきわめて高い。現在の中小メーカーの方ではとても備えつけられないようなものだということと、それから現在の石綿にかわるろ過材では、まだろ過の性能そのものが十分でないというふうなことから、石綿の使用を全面的に禁止する、あるいはそれ以外のものを使うというようなことは指示しておりませんけれども、しかし、この問題につきましては今後われわれも検討いたしてまいりたい、かように考えております。
 ただ、繰り返して申し上げますけれども、現在の医学といいますかでは、肺から入った場合にはそれは有害である、しかし経口によって体に入った場合にはまだ有害とは言えないというのが現在の結論のようでございますけれども、しかし、なおかつ私たちはそういった場合でも十分の措置をいま講じておるということを申し上げて、消費者の方にいたずらな不安をお招きしないように十分注意しておるつもりでございます。

○高沢委員 そういう点、これからも十分国税庁の方で検討されることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

[後略]