75-衆-物価問題等に関する特別…-3号 昭和50年02月20日

昭和五十年二月二十日(木曜日)午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 横山 利秋君
   理事 越智 通雄君 理事 加藤 六月君
   理事 竹内 黎一君 理事 松浦 利尚君
   理事 小林 政子君
      片岡 清一君    三塚  博君
      山崎  拓君    吉永 治市君
      加藤 清政君    中村  茂君
      和田 貞夫君    野間 友一君
      有島 重武君    石田幸四郎君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣(経済企画庁長官)      福田 赳夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会事務局長    熊田淳一郎君
        公正取引委員会事務局経済部長 野上 正人君
        経済企画政務次官       安田 貴六君
        経済企画庁調整局長      青木 慎三君
        経済企画庁国民生活局長    岩田 幸基君
        経済企画庁物価局長      喜多村治雄君
        経済企画庁総合計画局長    小島 英敏君
        経済企画庁調査局長      宮崎  勇君
        大蔵政務次官  森  美秀君
        農林省食品流通局長      森  整治君
        通商産業政務次官       渡部 恒三君
        運輸大臣官房審議官      中村 四郎君
        労働政務次官  中山 正暉君
        建設政務次官  中村 弘海君
 委員外の出席者
        労働省職業訓練局訓練政策課長 望月 三郎君
        日本専売公社営業本部長    佐藤 健司君
        物価問題等に関する特別委員会調査室長    芦田 茂男君
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< 略>
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本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
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○横山委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。

[中略]

○福田(赳)国務大臣 価格調査官の法的な立場は、確かに御指摘のように、買いだめ防止法に基づく二品目、それから緊急措置法に基づく十四品目、こういうことになっておりますが、価格調査官に行政上期待しておりますのはそればかりじゃないのです。あらゆる重要な物資につきまして、価格上の異変がある、こういう敵に目を光らせてもらいたい、異常な事態があれば即時通報してもらいたい、こういうふうに指導しておりますので、法的に言いますと限られた任務でございますけれども、行政上の実際としては、あらゆる商品につきまして配意しておる、こういうふうに御理解願います。

○野間委員 最近の値上げを見ておりますと、すでに値上げが決定されたものは、カメラ、キャノンの交換レンズ、自転車、自動車、電算機、石綿、スレート、塗料、石油化学、石油製品等々であります。また、今後見込まれるものとしては、タイヤ、パン、さらに砂糖、それから例のビール、大体一本二百円、こういうようなことも予想されておりますし、それからガス、私鉄、バス、カメラ、自動車、合板、アルミサッシ、ガラス、セメント、鉄鋼ですね。文字どおり鉄からパンまで、一斉に値上げが決定されたり、あるいはされようとしているということなんです。
 こういう点から考えますと、いま申し上げたように、長官もこれはお認めになりましたけれども、こういうものの物価の値上がりをどう抑制していくか、効果的な手だての問題について本当にあるのかないのかということを私は非常に危惧するわけです。つまり、先ほど通産省の例を挙げましたけれども、市況の動向だけ見てあれこれでなくて、本当に値上げが相当であるかどうかということについて一歩踏み込んでやらなければならない。単なる企業に対するお願いでは、これは下げることができない。
 去年、例の五十九品目を凍結したときがございましたけれども、この中でも、値上げしたければ申請する、それは必ず値上げされる、こういうようなことで、しかもその場合に、私当時値上げの理由についても聞いたことがありますけれども、大体企業の実態そのものをつかんでいない。いまあるものを前提にして、そしてその上に、それじゃどういう原因で値上げをしようとするのか、そこだけを少し調査するという程度で、実際本当にいままでの価格が果たして相当かどうかという点についてまでメスを入れることができない、こういう状態でありまして、ここにもやはり一つの問題があるのじゃないか。
 私たちはよく原価の公表ということを申し上げておりますし、例の狂乱物価の前後のときでも、国民は一体本当にこれが正当な値上げであろうかどうかということで、かなり大きな運動になりました。その中で便乗、先取りの問題も明らかになったわけですけれども、そういう点から考えますと、私たちは、原価等々、企業経営の実態についてこれを正確に把握し、またこれを公表するというふうにするべきであるという提起をしておりますけれども、公表の点についてはいましばらくおくとしても、どうしてもやはり実態を正確に把握するという点からすれば、これは公取にしても、あるいは物資の所管庁にしても、常に系統的に実態を正確に把握するということでなければ、単なる現象面、それだけの調査に終わってしまう、こういう結果になるのじゃないかと思うのですね。
 ですから、少なくとも長官の立場に立って仮に考えた場合にも、賃金の問題についてあれこれ言われるなら、そういう意味でのもう少し効果的な規制の手だてをして、そして、賃金に対しても論及されるというようなことが必要ではないか、こういうふうに私は思うのです。

○福田(赳)国務大臣 私は、賃金の決定には政府は介入しない、まして、いわゆる所得政策というか、賃金決定を法的に規制するというようなことは毛頭考えておりません。と同時に、商品の価格につきましても、それとのバランスということから言えば、これは法的規制を全面的にやっていくというわけにはまいらぬと思うのです。逆に今度は、賃金に対して法的規制に乗り出す、こういうことになれば、これは賃金だけを法的にというわけにはまいらない。これは商品の価格につきましても、あるいは利子、配当、そういう類につきましても法的に介入しなければならぬ。そんなことはとてもできるものじゃありませんものですから、私は、賃金の決定に法的に介入するといういわゆる所得政策、こういうものをとる意思はない、こういうふうに申し上げておるわけなんです。
 ですから、価格の問題につきましては、賃金に対しましてそういう法的介入はしません、と同様に、価格もまた、これをメーカーや、あるいは商社や、あるいは末端業者、そういう方々の本当に良識ある行動にまつ、これが基本だ、こういうふうに考えておるわけです。ただ、そうは申しましても、これは法律もありますし、現にある法律はもちろん発動させる。法律にないものにつきましても、これは行政指導というか、そういうような形で、今後物価がまた変調を来さないようにという配意はいたしたい、こういうふうに考えておるのです。
 ただ、いま値上げの動きがある、こういう御指摘でございますが、私も現にそういう動きがあると思っております。ですから、これから先油断はならぬ、こういうふうに申し上げておるわけなんですが、同時にまた、その反面、値下げもあるのです。いまいろいろの値上げの動きの品目を指摘されましたが、逆に今度は値下げの動きもある。ですから、一月の卸売物価はマイナス〇・四だ、こういうふうに出てくるわけなんです。
 しかしこれから先を考えてみますと、値上げの動き、これが今日この時点よりもあるいは強く出てくる可能性もなしとしませんので、この値上げの動きに対しましては、できる限りひとつ目を光らせまして、再び混乱を生じさせないというために最善を尽くす、こういう方針でございます。

[後略]