68-衆-公害対策並びに環境保全…-2号 昭和47年04月14日

昭和四十七年四月十四日(金曜日)午前十時八分開議
 出席委員
  公害対策並びに環境保全特別委員会
   委員長 田中 武夫君
   理事 始関 伊平君 理事 林  義郎君
   理事 山本 幸雄君 理事 島本 虎三君
   理事 岡本 富夫君
      久保田円次君    浜田 幸一君
      村田敬次郎君    阿部未喜男君
      加藤 清二君    中野  明君
      合沢  栄君    米原  昶君
  科学技術振興対策特別委員会
   委員長 渡部 一郎君
   理事 佐々木義武君 理事 石川 次夫君
   理事 近江巳記夫君
     小宮山重四郎君    福井  勇君
      堂森 芳夫君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        労 働 大 臣 塚原 俊郎君
        国 務 大 臣(科学技術庁長官)      木内 四郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官官房長     井上  保君
        科学技術庁研究調整局長    千葉  博君
        環境政務次官  小澤 太郎君
        環境庁企画調整局長      船後 正道君
        環境庁大気保全局長      山形 操六君
        環境庁水質保全局長      岡安  誠君
        厚生政務次官  登坂重次郎君
        厚生省環境衛生局長      浦田 純一君
        厚生省児童家庭局長      松下 廉蔵君
        通商産業政務次官      稻村佐近四郎君
        通商産業省公害保安局長    久良知章悟君
        通商産業省重工業局長     矢島 嗣郎君
        通商産業省化学工業局長    山形 栄治君
        通商産業省繊維雑貨局長    佐々木 敏君
        労働省労働基準局長      渡邊 健二君
 委員外の出席者
        水産庁調査研究部長      松下 友成君
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本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(ポリ塩化ビフェニール汚染問題)
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    〔田中公害対策並びに環境保全特別委員長、委員長席に着く〕

○田中委員長 これより公害対策並びに環境保全特別委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件、特にポリ塩化ビフェニール汚染問題について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田幸一君。

[中略]

○石川委員 問題提起は厚生省ということをはっきりさせておきましょう。そうしないとどこかで問題を提起してもどこも受け付けない、どこでやるんだかわからぬという責任分担では困ると思うのです。環境庁のほうから問題提起をすることはありましょうが、それは厚生省のほうに移して厚生省が中心になるというような体制の責任分担をはっきりさせてもらいたいと思います。
 そこでもう一つ例として申し上げます。これはPCBと並んでアスベスト公害というものがこれから問題になるのではないか、これは一九二九年からイギリス、フランスでは問題になっております。アスベスト工場あるいはアスベストを使う工場、そういうところの付近では相当じん肺が出、またそれが肺ガンにまで及んでおる。最近の総合病院では、都会では相当肺ガンがふえておりまして、原因がわかりません。しかし東京都の衛生研究所、これは国の衛生研究所ではないですよ、東京都のほうが公害には国よりも熱心ですから。そういうことで、東京都衛生研究所の公害衛生第一研究室の溝口さんという方が東京都の大気中からこのアスベストの正体を発見をした、世界で初めてであります。
 アメリカにおいてはすでにアスベストの吹きつけ工事というものは禁止をいたしておりますが、日本は禁止はいたしておりません。また自動車のブレーキライニングという問題も出てきておるわけであります。これはただ単にじん肺になるだけではなくて、二十年くらいかかると肺ガンになるのではないかということがほぼ定説になってきつつあるわけであります。この問題提起はされて、これに対応しておりますか。

○浦田政府委員 アスベスト肺及びアスベストに基因すると考えられる肺ガンの発生の問題につきましては、わが国では従来労働衛生の問題として研究が進められておったところでございます。しかしながら、一般の民衆の間から、先ほど御指摘になりました自動車のブレーキライニングなどによる大気汚染を通じまして肺ガンが出るということにつきましては、先ほど都のほうの研究があったということでございますが、全般的に申しますと、わが国においては一般的に肺ガンの発生の例については報告例はほとんどないのでございます。厚生省におきましては肺ガンの研究の中に含めまして、アスベストの作用、有害性についての研究を実施いたしております。しかしながら、御指摘のライニングによる大気汚染による健康阻害ということにつきましては、やはり環境庁を中心といたしまして対策を推進する必要があるというふうに考えております。
 なお、参考までに、わが国の肺ガンによる死亡率は現在のところアメリカの三分の一程度ということで、わが国は近年急激に増加の傾向にございますけれども、外国に比べればいまだかなり低いという段階でございます。

○石川委員 私はアスベスト問題は単なる問題提起、一つの例としてあげているのです。アメリカでは八十歳以上になると五五・四%が人体からアスベストが検出をされております。全体の平均は四八・三%。日本はいままでアメリカほど使っておらなかったのですが、最近これのいろんな特性が便利であるということでもって範囲が広がって、アメリカよりも急速度にこれが広がっておる。したがって、アメリカより肺ガンが少ないけれども、これからはどんどん激増するであろうということで、原因としてはアスベストはその一つとして考えられて当然しかるべきではなかろうか。特に大気中で検出をされたというのは東京都が初めてなんです、世界じゅうどこにもないのです。これは東京都の衛生研究所でもって調べられたということを考えても——こういう問題は労働衛生として考えておられると言われましたけれども、十年前にアスベストの工場の中で一立方メートル中二ミリグラム以下でなければならぬということが勧告されているだけで、非常に甘い基準なんです。こんなものは問題にならないのです。したがって、これの基準も一体どうするのか、企業指導として一体どうしたらいいか。石油は一九六〇年から大体五十倍にふえておりますけれどもアスベストは千倍にふえておる、どんどんふえていきます。しかし公害は一体どうなんだということも十分考慮してもらわなければならぬ問題ではないかと思っております。
 そこで、非常に時間がないので申し上げてもしかたがないのでありますけれども、先ほどの責任分担の問題で、毒性試験というものは急性だけしかやっていない、食品添加物あるいはPCBを通じて急性しかやっていない。これは慢性にまで及ぼした後に初めて正式の許可をするというような体制をつくることが必要ではないか、それは厚生省が分担をすべきものであろう。それからこの基準は一体どこでつくるのかというと、先ほど御答弁にあったように厚生省だというふうなお話でありますから、これは厚生省が基準をつくるという責任を持っている、分担している、こう考えてよろしいでしょうか。

○斎藤国務大臣 ただいまの厚生省の毒性の研究検査は慢性を主としてやっております。ことにただいまのPCBのごときはこれの慢性毒性を研究をいたしております。もちろん急性、亜急性もやっておりますが、慢性に重点を置いておるわけでございます。
 なお、食品の環境基準は、これは厚生省がきめることになっておりますので、その責任でやっていきたいと思っております。

[後略]