65-衆-予算委員会-4号 昭和46年02月01日
昭和四十六年二月一日(月曜日)午前十時三分開議
出席委員
委員長 中野 四郎君
理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君
理事 坪川 信三君 理事 藤田 義光君
理事 細田 吉藏君 理事 大原 亨君
理事 田中 武夫君 理事 鈴切 康雄君
理事 今澄 勇君
足立 篤郎君 稻村左近四郎君
植木庚子郎君 大坪 保雄君
大野 市郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 川崎 秀二君
上林山榮吉君 小坂善太郎君
佐藤 守良君 笹山茂太郎君
田中 龍夫君 登坂重次郎君
灘尾 弘吉君 西村 直己君
野田 卯一君 福田 一君
別川悠紀夫君 松浦周太郎君
松野 頼三君 山下 徳夫君
豊 永光君 阪上安太郎君
辻原 弘市君 楢崎弥之助君
西宮 弘君 原 茂君
細谷 治嘉君 安井 吉典君
相沢 武彦君 大久保直彦君
桑名 義治君 坂井 弘一君
岡沢 完治君 竹本 孫一君
東中 光雄君 松本 善明君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
法 務 大 臣 小林 武治君
外 務 大 臣 愛知 揆一君
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
文 部 大 臣 坂田 道太君
厚 生 大 臣 内田 常雄君
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
通商産業大臣 宮澤 喜一君
運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
郵 政 大 臣 井出一太郎君
労 働 大 臣 野原 正勝君
建 設 大 臣 根本龍太郎君
自 治 大 臣 秋田 大助君
国 務 大 臣(内閣官房長官) 保利 茂君
国 務 大 臣(総理府総務長官) 山中 貞則君
国 務 大 臣(国家公安委員会委員長)(行政管理庁長官) 荒木萬壽夫君
国 務 大 臣(北海道開発庁長官)(科学技術庁長官) 西田 信一君
国 務 大 臣(防衛庁長官) 中曽根康弘君
国 務 大 臣(経済企画庁長官) 佐藤 一郎君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
内閣法制局第一部長 真田 秀夫君
警察庁警備局長 山口 廣司君
行政管理庁行政管理局長 河合 三良君
行政管理庁行政監察局長 岡内 豊君
防衛庁参事官 高瀬 忠雄君
防衛庁参事官 鶴崎 敏君
防衛庁長官官房長 宍戸 基男君
防衛庁防衛局長 久保 卓也君
防衛庁人事教育局長 江藤 淳雄君
防衛庁衛生局長 鈴木 一男君
防衛庁経理局長 田代 一正君
防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君
防衛施設庁長官 島田 豊君
防衛施設庁施設部長 薄田 浩君
経済企画庁国民生活局長 宮崎 仁君
経済企画庁総合計画局長 矢野 智雄君
経済企画庁総合開発局長 岡部 保君
科学技術庁長官官房長 矢島 嗣郎君
科学技術庁計画局長 楢林 愛朗君
科学技術庁原子力局長 梅澤 邦臣君
沖繩・北方対策庁調整部長 田辺 博通君
法務省刑事局長 辻 辰三郎君
法務省人権擁護局長 影山 勇君
外務省アジア局長 須之部量三君
外務省アメリカ局長 吉野 文六君
外務省条約局長 井川 克一君
外務省国際連合局長 西堀 正弘君
大蔵省主計局長 鳩山威一郎君
大蔵省主税局長 細見 卓君
大蔵省関税局長 谷川 寛三君
文部省初等中等教育局長 宮地 茂君
厚生省環境衛生局長 浦田 純一君
農林大臣官房長 太田 康二君
農林省農林経済局長 小暮 光美君
通商産業省公害保安局長 莊 清君
通商産業省重工業局長 赤澤 璋一君
工業技術院長 太田 暢人君
運輸省航空局長 内村 信行君
気象庁次長 岡田 茂秀君
郵政省電波監理局長 藤木 栄君
労働省労政局長 石黒 拓爾君
労働省労働基準局長 岡部 實夫君
建設省計画局長 高橋 弘篤君
建設省都市局長 吉兼 三郎君
建設省河川局長 川崎 精一君
建設省道路局長 高橋国一郎君
建設省住宅局長 多治見高雄君
委員外の出席者
外務省アメリカ
局北米第一課長 千葉 一夫君
予算委員会調査室長 野路 武敏君
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委員の異動
二月一日
辞任 補欠選任
相川 勝六君 佐藤 守良君
小川 半次君 豊 永光君
小沢 一郎君 別川悠紀夫君
灘尾 弘吉君 山下 徳夫君
二見 伸明君 大久保直彦君
渡部 通子君 桑名 義治君
谷口善太郎君 東中 光雄君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 守良君 相川 勝六君
別川悠紀夫君 小沢 一郎君
山下 徳夫君 灘尾 弘吉君
豊 永光君 小川 半次君
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本日の会議に付した案件
昭和四十六年度一般会計予算
昭和四十六年度特別会計予算
昭和四十六年度政府関係機関予算
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○中野委員長 これより会議を開きます。
昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。大久保直彦君。
[中略]
○野原国務大臣 御指摘の公害対策等につきましてはきわめて重大な関連を持っております。そこで、昨年の九月に全国の一万三千六百ほどの工場につきまして総点検を実施をいたしました。その結果、かれこれ千六百ほどの工場について改善の命令を発しましてやっておるわけでございますが、そういったことで、これからはそこに働く勤労者の健康の保持という問題のみならず、そこから排出しますさまざまな有害物質のたれ流しというふうなものを今後はひとつ労働行政の一環として最も力を入れたいということで、そのための監督指導をしっかりやっていこうということに改めまして、いまやその体制を整えて今後進めていこうという段階でございます。
○細谷委員 私は、職場の労働環境というもの、いわゆる労働環境におけるもろもろの有害物質の許容量という問題と、それから工場外に出るたれ流しの問題、これは私は一体のものだと思うのですね。工場内部だけやっておって、それでたれ流しができてくるというものじゃないと思う。やはり労働環境が整備される、いろいろな有害物質の許容量というものがきちんとされておる、そういうことになれば、私はたれ流しというものは起こらないことになろうと思うのですよ。ところが、労働省の資料によりますと、業務上の疾病の推移というものを見てみますと、三十五年から四十四年まで見ますけれども、残念なことに毎年のようにふえておるわけですね。しかも、私はあとからちょっとお尋ねいたしますけれども、けさの新聞にも出ておりましたけれども、新公害、石綿粉じん、いわゆる石綿によって肺ガン等ができてきている。これはけさの新聞にも出ておりました。こういう問題は隠されがちなんです。たとえば工場医が真相を言わないで、そしてほかの病名でやっておりますから、事態はきわめて危険な状態にあると私は思うのです。私も二十二年工場につとめておってよく知っているのですから。いままでの労働省の基準監督官として行政上足らない点があったのではないか。私はこう思うと同時に、今日のこの面に対する労働基準法を受けての安全衛生というものの法律そのもの、規則そのものも、今日新事態に対応する内容を持っておらない、時代おくれのものだ、私はこういうふうに申さざるを得ないと思うのであります。たとえばいまの安全衛生規則等から、具体的には有機溶剤についての中毒の予防をしよう、四アルキル鉛の中毒予防をしよう、鉛の中毒の予防をしよう、これだけなんですね。あと何にもないでしょう。ところが、これはたいへんなものでありまして、たくさんの有害物質があることは御承知のとおり。そこで、すでに労働衛生研究所あるいは日本産業衛生協会許容濃度等に関する委員会の勧告も出ておることであります。これはいろいろな物質の許容濃度、騒音、それから高温、こういうものに分けて、この勧告の前文の精神を尊重して各工場等許容量をきめてくれと出ておりますが、そういうものに基づいていまの安全衛生規則等、基準法の問題にも関係しますけれども、積極的に今日のこの事態に対処するための規則改正なりあるいは規則の充実なり、あるいは労働基準法という問題はなかなかなんですけれども、安全衛生規則というものについてもっと抜本的に触れる必要があろうと思うのでありますが、労働大臣いかがですか。
○野原国務大臣 労働安全基準に対するさまざまな政策につきまして、必ずしも十分でないことは承知しております。そこでただいま御指摘のございました四アルキル鉛の中毒の問題、あるいは有機溶剤等の問題につきましては、それぞれの予防規則等がございます。しかし、これがどうも必ずしも十分ではない。最近の状況等から考えましてこれは急速にひとつ改める必要があるのではないかということで、いま検討しております。
そこで、いろいろな関係方面の御意見等をできるだけ早く聞きまして、それによって労働者の健康を保持する。同時に、公害対策に万全を期するという点で、これらの規則等を改正いたしたいと考えておるわけでございますが、まあ労働基準法全体の改正までにはいかないと思いますけれども、とりあえずそうした衛生関係の規則だけは至急に改定をいたしたい。その方針で進めております。
○細谷委員 最後に一点お尋ねしたいのでありますけれども、こういう問題に関連していわゆる石綿、アスベスト、これで肺ガンになる。現に和歌山県ですか、大阪のほうでは七、八人も死んでいるという実例もあるわけですね。もう一つは染料工場なり有機薬品工場で芳香族アミンによる膀胱ガンという問題もあるわけですね。ところがこれはみんな伏せられております。そうして各工場から調べたものも的確じゃない。調べたものも労働省はなかなか外に出さぬということでありますが、昨年の四月の三十日に労働基準局長から各都道府県の労働基準局長に通達が出ておりますよ。私は、労働省がおざなりだという一つの証拠であろうと思いますから指摘しているわけですが、この指摘の中に、尿路発ガン性物質の製造、取り扱いに関する業務というのがあります。この具体的な詳細な指示事項の中にどういうことが書いてあるかといいますと、少しこまかいことでたいへん恐縮でありますが、これはしかし政治の姿勢に関係しますからね。アルファナフチルアミン製造の際の最終製品は、ベータナフチルアミンの含有率が一%未満のものが多いのだ、こういうことを前提としてあなた方通達を出していますよ。ところがアルファナフチルアミンというのは、これはたいへんな発ガン性を持っている。アルファナフチルアミンそのものは発ガン性はないわけですけれども、その中にベータナフチルアミンというのが入ってくるわけですよ。それを一%以下ということを前提にしているわけですから。現実はあなたのところの労働衛生研究所の詳しい報告では四%と出ておるのですよ。それなのに一%だということになりますと、あなたのほうの指導によって膀胱ガンを引き起こさせるという問題が起こると思うのですよ。こんなおざなりの通達を出してはいかぬ。あなたのほうの機関に労働衛生研究所があるでしょう。そこに詳しい報告が出ておりますよ。そういうことからいって、私は、あなたの労働省も、労働者の衛生、健康を守るという意味においてどうも企業サイドに過ぎておる、だからこんな通達が出るのだと、こう申し上げざるを得ないのでありますけれども、簡単にひとつ労働省の態度をお聞きしたい。
○野原国務大臣 発ガン性物質等いろんな問題があるわけでございます。それにつきましては、特にベンジジンやベータナフチルアミン等につきましては、これはきびしく監督指導をしておるわけでございますが、こういった問題につきましては、特に従業員の特別健康診断を実施をしておりますし、またそういった対策につきましても遺憾のない措置を講じたいというふうに考えまして、特にこうした有機化合物やいろんな発ガン性物質にかかわりのある工場等につきましては、特別の対策を講じてまいりたいというふうに考えておりますので、公害問題に関連のあります問題は、いままでもやっておりましたが、今後は特に厳重にこれを指導監督して、災害の起きないように計らってまいりたい、そう考えております。
[後略]