58-参-物価等対策特別委員会-10号 昭和43年05月08日
昭和四十三年五月八日(水曜日)午後一時六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大森 久司君
理 事
岡本 悟君
櫻井 志郎君
村田 秀三君
田代富士男君
委 員
木村 睦男君
林田悠紀夫君
木村美智男君
田中寿美子君
中沢伊登子君
衆議院議員
発 議 者 砂田 重民君
発 議 者 武部 文君
発 議 者 和田 耕作君
発 議 者 有島 重武君
国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
国務大臣 宮澤 喜一君
政府委員
公正取引委員会員長 山田 精一君
経済企画庁調整長 赤澤 璋一君
経済企画庁国民活局長 八塚 陽介君
厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
事務局側
常任委員会専門 宮出 秀雄君
説明員
通商産業省企業次長 下山 佳雄君
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本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査(物価問題に関する件)
○消費者保護基本法案(衆議院提出)
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○委員長(大森久司君) それでは、ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
これより、当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価問題に関する件を議題といたします。
本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。木村君。
[中略]
○木村美智男君 大臣、時間ないようですからね、おっしゃるとおり、こまかい問題については、もうこれは省略をします。
ただ、もう一つ大臣に頭に置いていただきたいと思うのは、いままでの合併と今回の合併の問題は異質のものだ、質が違うのだと申し上げている点なんですが、大臣、きょうはちょっと大きな声を出しているのは、聞き取りにくいように見えるものですから大きく言っているんですが、いままでの合併と異質だということは、合併にはいろいろな型があると思いますが、大きく分けると大体二つぐらいに考えられると思うんです。たとえば、石川島重工と播磨造船が合併したというのは、大型船建造部門を拡大をするというようなことで合併をしておりますね。それから日産とプリンスがやった場合には、村山工場を吸収することによって生産能力を拡充をした。あるいは住友セメントと野沢石綿セメントとやった場合には、やはり彦根工場、これを獲得をし、そうして生産力の拡充をはかる、こういうようなことで、大体既存の工場部門を拡充をしたり、あるいは新規の部門に進出をしたり、さらに経営の多角化のために合併をするというようなことで、こういう合併の場合には、確かに規模は大規模になりますけれども、そのなった企業が価格を管理するという力量まではまだ持たないです、こういう場合には。この場合には、いわば企業の拡張投資の一つの形態なんですから、私は、これは独占禁止法としても抵触することもないし、したがって公正取引委員会も今日までこれを認めてきたと思うんです。ところが、今回の場合は、先ほど私申し上げたようなこまかい数字あげるまでもなく、それぞれの品目別に見ても圧倒的なシェアと生産量というものを、その新しい会社が、何というのですか、一社独占という形になっていくわけですから、九〇%、八〇%というようなことになれば。まさに独占ですよ、これわね。支配下の関連産業、これを加えていったら、もっと比率は高くなる。したがって、競争を排除し、あるいは競争を押える、市場支配力というものを獲得をしていく、こういうねらいを持ったいわば合併の形だ。そういう意味で、従来の合併と今度の合併は質的に違うのだ。だから、今後十分プライスリーダーシップというものがそこにでき上がっていく。したがって、私どもは消費者保護基本法という法律をいまつくろうとしている。そういう立場から考えても、この合併問題は、単なる企業の合併とか大型化とかという抽象的な問題としてはこれは考えられない。もっと国民生活に密着をした結果として、独占禁止法が期待をしているこの国民経済の円満な発達というかね、そういうところに消費者の利益を守りつつ進めていく独禁法の趣旨から言うと、これはやっぱり十分に、今回の場合は、違反の疑いが濃厚だというふうに考えられるものだから、したがって、大臣には、まあ先ほどおっしゃられたことが真意だというならば、閣議でも多少申し合わせをされたようでありますが、やはりこの問題については政府は慎重な態度をとって、そうして独禁法本来の立場から、将来に向けて誤りない産業政策というものが確立をされるように大臣にもとくとひとつ御配慮を願いたい、こういうことで、私まあそれ以上大臣にこまかい議論をしようとはいたしませんから、私のいま申し上げたようなことで御理解がいただけるなら、大臣、きょうはひとつ大臣に対する質問はこれで終わりたいと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いや、よくわかりました、おっしゃることは。まあ、石川島播磨あるいは日産プリンス等々の場合と違って、各品目別にこれをしさいに検討しても圧倒的シェアではないかと、そこで、従来とよほどこれは性質が違うのだということは、確かにお説のとおりでございます。しかし、それだからといって、競争を排除する、あるいは市場独占の目的のもとにやっているのだということは、これはどうも少しまだ結論を出すには早いのでありまして、少なくとも、競争排除あるいは市場独占というような違反を犯しやすい状態にあると、そこまでは私は認め得ると思います。そこで、御指摘のとおり、これに対しましては、通産省の立場から言いましても、絶対に国民経済に害悪を流さぬように、あらゆる万全の取り締まり、監督を怠ってはならぬと、さように考えておる次第であります。
[後略]