48-参-運輸委員会-27号 昭和40年05月25日
昭和四十年五月二十五日(火曜日)
午前十一時二十五分開会
—————————————
委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 鈴木 恭一君
五月二十四日
辞任 補欠選任
鈴木 恭一君 上林 忠次君
—————————————
出席者は左のとおり。
理 事
江藤 智君
前田佳都男君
委 員
天埜 良吉君
加賀山之雄君
木暮武太夫君
平島 敏夫君
相澤 重明君
加瀬 完君
小酒井義男君
浅井 亨君
国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
政府委員
運輸大臣官房長 堀 武夫君
運輸省海運局長 若狭 得治君
運輸省航空局長 栃内 一彦君
事務局側
常任委員会専門員 吉田善次郎君
説明員
海上保安庁警備救難部長 猪口 猛夫君
—————————————
本日の会議に付した案件
< 略>
○運輸事情等に関する調査(ヘイムバード号火災事件等に関する件)
< 略>
—————————————
〔理事江藤智君委員長席に着く〕
[前略]
○理事(江藤智君) この際、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
海上保安に関する件について、運輸省当局から発言を求められておりますので、これを許します。松浦運輸大臣。
[中略]
○国務大臣(松浦周太郎君) 去る二十三日午前七時十七分室蘭港に起こりました「ヘイムバード号」の火災事件に対しましては、多数の人命を損傷し、あるいは死亡せしめ行くえ不明を起こし、あるいはけが人を出しました。そして、しかも多額の財産を失いましたことに対しましては、まことに遺憾のきわみであります。今後かようなことの起こらないように、すべての施設、その他技術の練摩をいたしまして、再びかかることの起こらないように努力するつもりでございます。事件の内容に対しましては、海上保安庁より説明をいたします。
○説明員(猪口猛夫君) お手元に資料を配付さしていただきましたが、その内容につきまして御説明申し上げます。
昭和四十年五月二十三日午前七時十七分、室蘭港水先人岩井良作が乗船して、ノルウェー船「へイムハード号」(三万五千三百五十一五トン、三十八名乗り組み、原油二万六千七百七十キロリッター積載)を、同港日本石油埠頭に接岸中、同船の右舷前部が桟橋に接触し、外板に亀裂を生じ、原油が海上に流失しました。
同船は原油流出防止の措置を講じながら接岸作業を続行しましたが、同日午前七時三十五分ごろ、後部もやい取り作業中の網取り船「港隆丸」(七トン、二名乗り組み、ディーゼルエンジン)の付近から流出油に引火し、一瞬のうちに「へ号」一番船艙に引火し爆発いたしました。
直ちに離岸せんといたしましたところ、船底が浅瀬に乗り上げ航行不能となり、火災は各船艙に延焼し、二十五日午前八時三十分現在なお炎上中であります。
これに対しまして、巡視船艇等六隻と化学消防車五台及び航空機三機により消火を実施しており、また、日石埠頭前面海域に石油拡散防止せきを設置いたしまして、流出油による延焼の防止に当たっております。
この火災で、「へ号」の乗り組み員中死亡君名、行くえ不明五名、重傷三名、軽傷七名を出し、また「港隆丸」は炎上沈没し、乗り組み員二名は行くえ不明となっております。
被害額は、船体、積み荷ともで約二十二億円程度の見込みでございます。
原因等につきましては目下調査中でありますが、「へ号」水先人の供述によりますれば、同人の旋回圏、惰力等の操船要素の判断不十分のため桟橋に接触し、このためその破口から原油が海上に流出して、もやい取りに従事しておりました「港隆丸」の火気またはその他の火気により引火に至ったものと推定されております。
この事件に、海上保安庁のとりました措置は、以下のとおりでございます。
室蘭海上保安部長は、二十三日午前七時三十三分、「へ号」から接触及び原油流出の情報を入手し、その直後火災が発生いたしましたので、直ちに巡視艇三隻に化学消火剤を積載し現場に急行させ、消火作業及び流出油の拡散防止に当たらせました。
また、第一管区海上保安本部長は、その後航空機一機、巡視船二隻を現地に応援派遣させております。
また、室蘭港長は、二十三日午前八時船舶の室蘭港への入港及び火災現場付近への立ち入りを禁止するとともに、在海船十八隻を防波堤外に退避させました。
これにさかのぼって、二十三日午前九時、日本石油室蘭製油所内に災害対策本部 本部長は室蘭市長、本部員は室蘭海上保安部ほか関係機関でございますが——が設置されまして、米軍関係機関の協力を得て消火及び被害の拡大防止につとめております。
二十四日午後六時十五分、別図についておりますような流出油拡散防止のための油防止せきを設置いたしました。これがため、二十五日午前六時半には室蘭港で実施しておりました航行管制を解除いたしまして、一般船舶の出入港を許しております。しかるところ、二十五日午前六時四十五分再び「へ号」が爆発、油が海上に流出いたしましたので、再度航行管制を実施しております。
現在は、海面の燃焼油は消火して、「へ号」のみがあと一万キロリッターぐらいの油を残して燃え続けておる次第でございます。
以上が「ヘイムバード号」の火災事件の概要でございます。
この機会をかりまして、先般京浜港大黒運河におきます船舶の火災事件につきまして、あわせて御報告さしていただきたいと思います。
京浜港大黒運河におきます船舶火災は、御承知のように、五月十三日十三時二十分ごろ、横浜市鶴見区大黒運河日本アスベスト会社山岸壁に係留中のオイル・バージ「第五東亜丸」——二百トン積みでございますが、この船上で東京港区赤坂の吉川商店の作業員二名がドラムカン入り廃油を陸上に積みかえ中突然爆発炎上し、このため付近係留中のオイル・バージ「尾鷲丸」外八隻が次々と引火炎上し、その後海上に流出いたしました油に引火炎上いたしましたが、横浜海上保安部所属の消防艇、巡視艇及び横浜市消防局の消防車、消防艇並びに民間消防団の消火作業によりまして、十五時二十五分ころ鎖火した事件でございます。
この事件にあたりましてとりました救難措置は、以下のとおりでございます。
横浜海上保安部は、十三時三十二分、横浜市消防局から前記火災の情報入手後直ちに消防艇「なち」、「おとわ」、巡視艇「うみかぜ」、「あさかぜ」に備えつけの化学消火剤、中和剤のほかに保安部備蓄の全化学消火剤を積み込み、警備救難課長を現場指揮官として現場に急行せしめております。
第三管区海上保安本部は、羽田航空基地から状況調査のためヘリコプターを現場に急行せしめております。
また、これと同時に、京浜港長は、寿老橋、小倉橋及び大黒橋に囲まれたいわゆる大黒運河水域の船舶の航行を十三日十三時五十分から同日の二十時まで、また停泊を十三日の十三時五十分から十五日の十時まで禁止し、交通の安全確保をはかっております。
十三時五十分以降、消防艇、巡視艇が順次現場に到着いたしまして、横浜消防局の消防車二十五台、消防艇三隻及び地元消防団とともに消火につとめ、前記のとおり五時二十五分ころ鎖火に至った次第でございます。
この事件の原因につきましては、目下調査中でございますが、現在推測されております原因といたしましては、廃油をドラムカンに積みかえ中のモーターのスパークによるものではないかということで目下調査を進めておりまますが、確証を得ておりません。ちなみに、この事件によりまして一人行くえ不明、一名軽傷、それから物件等につきましては約六百万円くらいの損害でございます。
以上、大黒運河におきます船舶の火災につきまして御報告を終わります次第でございます。
○理事(江藤智君) 御質疑の方は、順次御発言願います。
[後略]