43-衆-商工委員会金属鉱山に関…-1号 昭和38年03月15日

本小委員会は昭和三十八年一月三十日(水曜日)委員会において設置することに決した。
一月三十日
 本小委員は委員長の指名で次の通り選任された。
      小川 平二君    藏内 修治君
      齋藤 憲三君    白浜 仁吉君
      中村 幸八君    田中 武夫君
      多賀谷真稔君    松平 忠久君
      伊藤卯四郎君
同日
 白浜仁吉君が委員長の指名で小委員長に選任された。
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昭和三十八年三月十五日(金曜日)
   午後三時十七分開議
 出席小委員
   小委員長 白浜 仁吉君
      齋藤 憲三君    中村 幸八君
      松平 忠久君    伊藤卯四郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次官       廣瀬 正雄君
        通商産業事務次官(鉱山局長)  川出 千速君
 小委員外の出席者
        通商産業技官(鉱山局鉱業課長)      大木  恒君
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三月十五日
 小委員伊藤卯四郎君同月五日委員辞任につき、その補欠として伊藤卯四郎君が委員長の指名で小委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
 金属鉱山に関する件(金属鉱山の現況等)
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[前略]

○白浜小委員長 次に、金属鉱山に関する件について調査を進めます。
 当面の問題といたしまして、貿易の自由化に伴う金属鉱業の諸問題について、まず政府より説明を聴取することといたします。川出鉱山局長。

○川出政府委員 金属鉱山の現況につきましてお手元に資料が差し上げてございます。大体この資料は、ごらんになるとわかるように、一覧表にまとめてある次第でございまして、最も新しい資料でございます。
 鉱山川越は、先ほど委員長からもお話がございましたように、自由化を中心にして起きておりますので、現在まで自由化されたもの及び今後の自由化のスケジュールを最初に申し上げたいと思います。
 鉱物の自由化は昨年の十月以降問題になっておりますが、実は昨三十七年の九月以前にすでに自由化されておるものもたくさんございますので、その鉱物を最初に申し上げます。
 まず金風鉱物でございますが、金属鉱物の中で昨年の九月以前にすでに自由化されておるものは、金鉱、銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱、すず鉱、水銀鉱、鉄鉱——もちろん砂鉄を含むわけでございますが、以上の金属鉱物のほか、非金属鉱物といたしまして、石灰石、明ばん石、ほたる石、けい石、長石、ろう石、滑石、耐火粘土、重品行等がすでに自由化されておるわけでございます。これらのものは自由化による影響が軽微であるために、すでにだいぶ前から自由化されておるものであります。
 昨年の十月に、問題はありましたが、自由化に踏み切りましたものもたくさんございます。まず石綿、ドロマイト、鉄マンガン鉱、亜比酸、それからけい砂、鱗状黒鉛、マンガン鉱——このマンガン鉱につきましては一番問題がございまして、輸入量も相当ございますし、国内鉱山も中小鉱山の数が相当数に上っておりまして、昨年の自由化につきましては相当問題があったわけでございますが、これが自由化に踏み切ったわけでございます。ただし、本国会において関税を上げる案が提出されておるわけでございます。輸入状況につきましては常時監視をいたしておりまして、現在のところあまり問題は起きていないわけでございます。
 それから今後自由化していくものについて御説明いたしますと、石こう、これはすでに自由化されているものは品位の高いものでございます。国内製品と競合しないために、三十七年九月以前にすでに自由化されておったわけでございますが、今後品位の低いものも自由化する。これはタリフ・クォータで自由化することに踏み切っておるわけでございます。以下申し上げますのは、三十八年の四月に自由化することを目標にしておるものでございます。鉄鉱のほか、モリブデン鉱、アンチモン鉱、これはいずれもタリフ・クォータで自由化することにいたしております。石こうとモリブデン鉱とアンチモン鉱が三十七年の十月に自由化されないで本年の四月に持ち越されました理由は、これはガットの交渉が必要でありましたため、時間的に十月に間に合わなかったために四月に延期されておる鉱物でございます。次に、ガット関係ではございませんが、三十八年四月に自由化を予定いたしておりますものに電気銅がございます。これは地金、電気銅及び粗銅でございます。銅は一番今後問題の多い鉱種でございますが、いろいろ対策を立てた上自由化することに踏み切っておる次第でございます。
 それから、昨年の十月に自由化を予定しておりましたが、国内鉱山の現況にかんがみ、本年の四月まで半年延期いたしましたものに水銀がございます。水銀をタリフ・クォータにより本年の四月に自由化する予定でございます。それからアンチモン、これも昨年の十月に自由化する予定でございましたが、中共等からの安いアンチモンが海外に出まして、相場が相当下落をしておりましたので、この関税を今国会に改正する案を出しております。これも四月に自由化する予定でございます。
 以上が本年四月に自由化する予定のものでございますが、さらに本年四月以降来年の三月末までの間に自由化を予定いたしておりますものに鉛、亜鉛がございます。鉛、亜鉛は御承知のように海外の相場が暴落いたしまして、三十一年当時の値段に比べると半分ぐらいに下がっておる次第でございます。従って、当初予定しました関税のもとに自由化いたしますと、国内鉱山に対する影響が甚大でございますので、自由化を一年以内延長することにして、今後の海外相場の推移を見ることにしたわけでございますが、これも国会に現在提案されておる次第でございます。
 それから、当分自由化が困難であるという理由で、当分自由化を延期するもの、なるべく長期間延期したいと政府の方で考えておりますものに硫黄がございます。硫黄は一〇〇%国内で自給いたしておりますけれども、海外との価格の差があまりにもはなはだしいために、これは関税対策のみによって自由化することがきわめて困難でございますし、金属鉱物と違った性質を持っておりまして、たとえば探鉱はあまり必要でない、埋蔵量は確認されておるというような事情がございまして、これは別個の対策が必要になろうかと思っております。それから硫化鉱、これも海外相場との開きがはなはだしいわけでございますので、当分自由化しない予定でございます。それから金鉱、これも海外相場と国内の金鉱とは非常な差がございますので、これも自由化を当分延期ということでございます。
 次に、タングステン鉱でございますが、これは数年前トン当り九十万円ぐらいの値段であったものが、自由化を予定しておりました際は五十万ぐらいを前提にしておったのでありますが、最近の海外相場は三十万円を割っておる現況にございます。従って、タングステン鉱も海外市況が回復しない限り自由化はきわめて困難だという意味で、硫黄の分類に入れまして、当分延期したいと考えておる次第でございます。
 自由化のスケジュールの現状は以上のようなことでございます。
 以上のような鉱物につきましての一覧表は、お手元に差し上げました「主要鉱産物の概況」というところに、鉱山数、労働者数あるいは国内の価格、海外の価格、関税率、自由化しておるかしていないかという点が、一覧表にまとめてある次第でございます。
 それから、次にお手元に差し上げました「鉱業関係統計資料」、これは三十八年二月に調製いたしました資料でございまして、最近の鉱山の現況を計数的に取りまとめたものでございます。この一表、二表からもわかりますように、大体の鉱物は最近増産されてきております。年ごとに生産量がふえてきております。その反面従業員の数は減ってきておりまして、それだけ逆にいえば生産性が高まったということもできるかと思います。
 それから、資料はございませんが、次に海外開発の関係についてごく簡単に御説明申し上げたいと思います。
 御承知のように、銅にしても鉛、亜鉛にしても、その他の鉱物にいたしましても、日本は需要がふえて参りますが、国内の鉱産物で自給するものは、硫黄とか硫化鉱とかを除いては、ほとんどないわけでございまして、重要鉱物である銅、鉛、亜鉛は、これを海外からの輸入鉱石なり輸入地金なりに依存をしているわけでございまして、国内鉱山の体質改善あるいはその保護は至上命題でございますが、鉱業が長期的に伸びていくためには、やはり海外に出ていくということも必要であろうかと思います。現在までに、これは大手企業を中心にしてでございますが、主として銅につきまして海外開発が各社によって行なわれております。その国は東南アジアあるいは南米が中心でございまして、出ております企業は産銅六社の中の企業が出ておる次第でございます。現在のところ、海外進出と申しますか、海外に投資をしてその見返りに輸入をしておる銅の鉱石は、含銅量にいたしまして約五万トンでございます。輸入鉱石の全体が十二、三万トンでございますが、その半分近くを投資によって獲得をしておるわけでございます。しかし、銅の需要は今後もふえるものですから、昨年国内の鉱山会社約二十社が共同出資をいたしまして、資本金五億円の海外開発会社をつくったことは御承知の通りでございます。これは政府の海外経済協力基金から半額出資をしております。昨年の夏海外開発会社が発足いたしまして、昨年の暮れ二ヵ月にわたりまして南米の各地の鉱山を調査いたしました。調査団を派遣いたしましたのは、ボリビア、チリー、ペルー等が中心でございまして、数鉱山をよく調査をして帰って参りまして、現在、調査をしました数鉱山のうち二鉱山を海外開発の今後の開発の対象の候補として、はたしてそれを開発する価値があるかどうかということを検討しております。二鉱山と申しますのは、一つはボリビアの鉛、亜鉛鉱山でございまして、これには開発資金が三十億ないし四十億かかるそうでございます。品位は鉛、亜鉛を合わせまして約二〇%、鉄分も含んでおるそうでございますが、二〇%でございますので、これは国内鉱山に比べると相当に品位の高いものでございます。国内鉱山の鉛、亜鉛は平均いたしますと六%程度でございますので、相当有望な鉱山である、運賃を見込んでも採第ベースに乗るものだということで、今検討しているわけでございます。それから、ペルーに銅鉱山、これは割に規模は小さいのでございますが、約二十億くらいの開発費が必要でございますが、埋蔵量にいたしまして約三百五十万トン、平均品位二〇%以上と聞いております。これはむしろ小規模と申しますか、中規模銅鉱山でございます。この二鉱山が候補にあがっておりまして、現在開発会社の方で、いずれを優先すべきか、双方につきまして検討を加えている段階でございます。なお今年になりましてからは東南アジアに調査団を出す計画を持っておりまして、ビルマに派遣する計画もあったわけでございますが、ビルマの政情が必ずしも安定していないという理由で、今具体的にビルマに調査団を出すかどうか、まだきめかねておるように聞いております。ビルマには銅、鉛、亜鉛の鉱山があるわけでございます。
 なお、鉱業政策の長期政策といたしましては、国内鉱山の保護、体質改善は当然これは大前提でございますが、海外の開発並びに製練所につきましては、将来は臨海地域における共同製練所の設立ということが鉱業審議会の答中にもあるわけでございまして、今すぐの問題ではございませんが、そういうような問題が長期的な鉱業政策の一つの焦点になろうかと思っております。
 以上で鉱山の現況の説明を終わらせていただきます。

○白浜小委員長 以上で説明を終わりました。

[後略]

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