41-衆-商工委員会-2号 昭和37年08月22日

昭和三十七年八月二十二日(水曜日)
   午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 逢澤  寛君
   理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君
   理事 首藤 新八君 理事 白浜 仁吉君
   理事 中村 武人君 理事 板川 正吾君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      浦野 幸男君    岡崎 英城君
      藏内 修治君    小平 久雄君
      齋藤 憲三君    始関 伊平君
      田中 榮一君    南  好雄君
    早稻田柳右エ門君    岡田 利春君
      北山 愛郎君    久保田 豊君
      小林 ちづ君    多賀谷真稔君
      中嶋 英夫君    中村 重光君
      西村 力弥君    伊藤卯四郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  福田  一君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        総理府事務官(公正取引委員会事務局長)  小沼  亨君
        経済企画政務次官       舘林三喜男君
        通商産業政務次官       廣瀬 正雄君
        通商産業事務官(通商局長)  松村 敬一君
 委員外の出席者
        通商産業事務官(企業局次長) 高島 節男君
        通商産業事務官(鉱山局長)  川出 千速君
        専  門  員 越田 清七君
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本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済総合計画に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
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○逢澤委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。板川正吾君。

[中略]

○板川委員 一つそういう心がまえでやってもらいたいという要望です。
 それでは共産圏貿易の問題は以上にしまして、あと二つだけ、非鉄金属の問題と石油の問題をお伺いします。
 非鉄金属の自由化問題について伺いたいのですが、先ほども鉱山の労働者の皆さんから、金属鉱業の緊急対策に対する要請が大臣にありました。この要請書にもありますように、自由化を前にして金属鉱山というのが第二の石炭産業と化しつつある。しかも相次ぐ倒産が、中小企業ばかりではない、大手筋にも倒産が行なおれようとしておる、こういう非常な緊急事態に直面しておると思うのです。この金属鉱山に対する措置については、前の国会で、当委員会で決議をし、本会議の採択を得ておるのであります。大臣のお考えは、非鉄金属については鉱業審議会の結論を待って所要の施策を講ずることにしております。こういうのです。しかし、貿易の自由化は十月からやろうとしておる。伺うところによると、非鉄金属が全部十月一日でやるのじゃなくて、やれるものは十月一日でやり、最後に来年三月までには全部の非鉄金属は自由化する方針である、こういうようであります。とにかく十月から自由化を迫られておる、その迫られておるのに、全国会の決議がありますのに、しかし今日、鉱業審議会の検討を待って所要の施策を講ずることにいたしておりますというのですが、そういう自由化の段階とにらみ合わせて一つテンボをお考えになってもらいたいのですが、鉱業鉱山関係の対策としては時期的に出しおくれのような、テンポの合わないような状態になりませんか。大丈夫ですか。

○福田国務大臣 非鉄金属の問題でございますが、これについては根本的な対策という見地から見ますならば、やはり審議会の意見を聞いてやる、こういうことを申し上げたわけでありまして、現在差し迫っておりまする自由化の問題を考慮しないでおるかということになりますならば、これはもちろん非常に関係者に大へんな利害のことが起こる問題でもありますし、十分これを研究しなければなりません。従って、ただいま通産省としましては、個々の、たとえば石綿なら石綿についても、あるいはマンガンならマンガンにつきましても、いろいろな問題、もちろん銅、鉛、亜鉛は申すに及ばずでありますけれども、そういう鉱業が日本で今どれくらいあり、そうしてそれにはどれくらい従業員がおられるか、会社も幾つくらいあるか、それから海外の市価と甘木の値段の関係、あるいはまた関税を上げたわけでありますけれども、それで十分間に合うのかどうかというような点も含めて、今しさいに検討をいたしておる段階でございまして、御心配の時期おくれになりはしないか、対策がおくれはしないかということについては、そういうことのないように注意をいたして参りたい、こういう考えであります。

○板川委員 対策に手おくれのことはない、こういう大臣の約束ですから、それは一つわれわれもそれを期待をいたしますが、この貿易自由化というのは、御承知のように、二年も前から政府が声明をされて、自由化を至上の方針として遂行してきたのですね。今度十月から九〇%行なうということは、この間二年間もあったわけですね。しかも十月から行なうということは一番問題点があるから、今日まで延びてきたのですね。延び延びになって、一番あとになってきたわけです。ですから、このあとになってきた問題があるということはわかっておる。しかも二年前からその自由化の方針というのは、政府の至上命令として行なわれる。この二年間もあって、今自由化を前にしてまだ対策が検討中というのは、大臣ちょっとこれはどういうことなのですかな。通産官僚のサボじゃないのでしょう。やっぱりそれだけ対策がむずかしいのじゃないかと私は思うのです。だから、そのむずかしいのを慎重に慎重にと言っておって、実際適切な時期を誤ったら、第二の石炭産業的な方向になってしまうのじゃないかということを心配しておる。絶対に心配ない、おれにまかせろと言うなら、ある程度まかしてもいいですよ。しかし、どうなんですか。そういう点で十月から自由化をする。一体非鉄金属を十月から三月の間に自由化するというのですが、一つわかるだけ大きな品物、問題点の多いもの、それは何月、それは何月というような時期的な自由化の期限等も明らかにしてもらいたい。

○川出説明員 私の努力が足りませんものですから、十分な対策も立てられていないという御批判がございましたが、自由化の問題につきましては、現在政府がきめております方針は、自由化を当分延期をするということできめておるものが三つございます。それは、硫黄、硫化鉄鉱、それから金鉱でございます。それから本年の十月に自由化を予定しております品目が、石膏とか珪砂、先ほど大臣の言われました石綿、マンガン鉱石、モリブデン鉱石、アンチモン鉱石等、十数品目がございます。それから本年の十月から来年の三月末までの間に自由化を予定しておる品目としまして、銅、鉛、亜鉛の地金がございます。銅、鉛、亜鉛の地金は、御承知のように、わが国の鉱山の大宗をなしておるものでございまして、生産の規模も圧倒的に大きく、あるいは雇用の関係も多いわけでございまして、相当に問題の業種でございます。
 なお、最後に申し上げますと、現在までに鉱産物で自由化されておるのは、約八割自由化されておりまして、今後十月以降二割——まあ自由化しないのもございますけれども、そういうのが現在の予定になっておるわけでございます。
 それから、従来自由化に備えてとりました対策は、一つは関税対策でございまして、これはいつかも御説明申し上げましたが、暫定的に関税を国内鉱山を保護するために引き上げて、鉱種によりましては関税割当制度を実施をする、これは自由化と申しましても一種の割当制度でございますので、いわば半自由化というような形の関税保護対策をとり、それから一方におきまして鉱山の体質改善にもっともきめ手になる炭鉱の補助金を今年分は相当増額をしておる。それから今後の長期的な日本の鉱業の発展には、海外にも進出しなければならないということで、海外開発会社、これは現在のところ、できておりませんが、近く成立する運びになっております。その対策を立てております。まあことしになってみますと、海外相場が昨年予想していたのに比べて非常に下がっているものが鉱産物の中に出て参りました。これについて慎重に今検討をしておるわけでございます。
 なお、鉱業審議会につきましては、すでに四回会合を重ね、分科会等を合わせますと何回もやっております。非常に熱心に、国会の決議を議題の中心にいたしまして、具体策を研究しておるところでございます。

[後略]