41-衆-予算委員会-1号 昭和37年08月20日

本国会召集日(昭和三十七年八月四日)(土曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の通りである。
   委員長 山村新治郎君
   理事 愛知 揆一君 理事 床次 徳二君
   理事 野田 卯一君 理事 保科善四郎君
   理事 淡谷 悠藏君 理事 川俣 清音君
   理事 小松  幹君
      相川 勝六君    青木  正君
      赤澤 正道君    井出一太郎君
      稻葉  修君    今松 治郎君
      臼井 莊一君    江崎 真澄君
      菅野和太郎君    上林山榮吉君
      北澤 直吉君    倉石 忠雄君
      小坂善太郎君    周東 英雄君
      田中伊三次君    中曽根康弘君
      西村 直己君    橋本 龍伍君
      羽田武嗣郎君    藤本 捨助君
      船田  中君    松浦周太郎君
      松本 俊一君    松野 頼三君
      三浦 一雄君    山口 好一君
      山本 猛夫君    井手 以誠君
      加藤 清二君    大原津與志君
      高田 富之君    楯 兼次郎君
      辻原 弘市君    堂森 芳夫君
      永井勝次郎君    野原  覺君
      長谷川 保君    山口丈太郎君
      山花 秀雄君    横路 節雄君
      佐々木良作君    西村 榮一君
—————————————————————
八月十日
 山村新治郎君委員長辞任につき、その補欠として塚原俊郎君が議院において委員長に選任された。
昭和三十七年八月二十日(月曜日)
   午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 塚原 俊郎君
   理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君
   理事 赤澤 正道君 理事 野田 卯一君
   理事 淡谷 悠藏君 理事 川俣 清音君
   理事 小松  幹君
      相川 勝六君    井出一太郎君
      今松 治郎君    北澤 直吉君
      櫻内 義雄君    周東 英雄君
      田中伊三次君    灘尾 弘吉君
      西村 直己君    羽田武嗣郎君
      藤本 捨助君    船田  中君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      三浦 一雄君    山口 好一君
      井手 以誠君    木原津與志君
      多賀谷真稔君    辻原 弘市君
      堂森 芳夫君    永井勝次郎君
      野原  覺君    長谷川 保君
      山口丈太郎君    受田 新吉君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 中垣 國男君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 西村 英一君
        農 林 大 臣 重政 誠之君
        通商産業大 臣 福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        郵 政 大 臣 寺島  榮君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
        国 務 大 臣 川島正次郎君
        国 務 大 臣 近藤 鶴代君
        国 務 大 臣 志賀健次郎君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        内閣官房長官  黒金 泰美君
        内閣法制局長官 林  修三君
        総理府総務長官 徳安 實藏君
        外務事務官(条約局長)  中川  融君
        大蔵事務官(主計局長)  石野 信一君
        大蔵事務官(主税局長)  村山 達雄君
        食糧庁長官   大澤  融君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (国際連合局長)      高橋  覚君
        気象庁長官   和達 清夫君
        専  門  員 大沢  実君
    —————————————
八月四日
 委員臼井莊一君、上林山榮吉君及び床次徳二君辞任につき、その補欠として灘尾弘吉君、久野忠治君及び塚原俊郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月七日
 委員久野忠治君辞任につき、その補欠として櫻内義雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
 委員井手以誠君辞任につき、その補欠として田原春次君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員田原春次君辞任につき、その補として井手以誠君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
 委員加藤清二君及び佐々木良作君辞任につき、その補欠として多賀谷真稔君及び受田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として加藤清二君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事重政誠之君七月十八日委員辞任につき、その補欠として青木正君が理事に当選した。
同日
 理事床次徳二君同月四日委員辞任につき、その補欠として赤澤正道君が理事に当選した。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 予算の実施状況に関する件
     ————◇—————

[前略]

○塚原委員長 それでは、これより予算の実施状況につきまして調査を進めることにいたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。木原津與志君。

[中略]

○田中国務大臣 来年度の予算編成に際して財源はどうかという御質問は、午前中もございましたが、昨年度、今年度に比べて、来年度は相当財源も窮屈になるであろうということは申し上げたわけであります。しかし、先ほどから小松さんが言われておりますように、来年財源がないから超均衡予算を組むのかということを盛んに言われておりますが、この前の参議院選挙に自由民主党が世間に公表しましたように、三十八年度の予算編成の基本ともなるべき大綱は明らかにいたしております。しかも、これは党及び政府一体になって世に公表したものであり、これらの線は御承知の通り、今までの三十五年、三十六年、三十七年の三カ年等は、高度成長政策というよりも、その表現をはるかに上回る超高度的な成長が行なわれたというのでありまして、私たちは行き過ぎたものに対して調整政策を行なっておりますが、本質的なラインとしては経済成長政策を進めていくという基本態度はくずしておらないわけであります。その意味で、来年の予算の基本的な問題に対しては、あらためて九月の決算を見ながら、十月の末及び十一月に、党、政府が一体になって三十八年度に対する態度、基本大綱をきめるわけでありますが、私は、しいて今その姿を言えばどういうことかという質問に対しては、経済成長政策はあくまでこれを推し進めながら、その予算のタイトルともなるべきものは健全均衡という表現を使っておるわけでありまして、乏しい財源であっても有効にこれを運用することによって目的は達成せしめ得る、こう考えております。

○小松委員 時間がありませんから、最後に一つだけ総理にお伺いしたい。
 本院において五月七日、自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する決議案を可決しましたが、その決議は、自由化実施までに抜本的な対策を樹立することであり、しかも自由化を前にして国際価格は値下がりなどを来たす。それに景気調整、金融引き締めなど地金、鉱石などにも滞貨激増を招き、これが値下がりに拍車をかけております。本年に入って相次いで休山、閉山等の様相を呈しておりますが、これに対してどういうような考え方を持っているか、総理にお伺いしたい。
 同時にもう一つは、次にこれは通産大臣になるかと思いますが、十月から実施する貿易自由化九〇%の問題で、マンガン、アンチモニー、水銀、黒鉛、石綿など、外国との価格差の非常に多いものについての自由化対策はどういうようにやるのか。これは実際問題としてやるかやらないかは今からお伺いするのですが、私は、私の対策としては、これは延期したらどうか、こういうことを言いたいのでありますが、通産大臣の御意見を承りたい。
 その次にもう一つは、十月からではないけれども、来年の三月末までには自由化をやらねばならぬというようになっているところの銅、亜鉛、鉛、こういうものは自由化以前に、だから三月末以前に探鉱事業団の設立とか価格安定のための買い取り機関の設置などをやるべきではないかと、こういうように考えて、それを臨時国会なり、あるいは少なくとも通常国会の前に何らか予算化の見通しをせんならぬから出すべきではないか、こういうように考えておりますが、はたして銅、鉛、亜鉛等の自由化に対する対策というものはどういうふうにお考えになっておるか。同時に、これはもうほんとうに非鉄関係の問題は、閉山などに関係して離職者の問題もございますから、重要な労働問題にもなっておるわけなんですが、これについての御回答も願いたい。
 その次に総理に、さっきの総理ともう一つ総理ですが、石炭の問題でございますが、石炭政策についてはすでに調査団が出て、九月の中旬にこの答えが出る、調査団報告が出るようになっておりますが、その答申の前に、この際石炭政策について首相の基本的態度をお伺いしておきたいのは、総理は四月の五日、炭労のゼネスト決行を前にして、炭労の代表と会見しました。その際総理は、冒頭において、石炭問題は雇用の問題、国際収支の問題、エネルギーの基本対策、あるいは安全保障などの問題について検討する、とこういうように言われましたが、その考えは今も変わりなくそれをさらにやっていこうというお考えに立っておるのか。もしその石炭の基本問題において、総理が炭労の委員長あたりと会見したときの気持が変わりがないとすれば、調査団にそのあなたの真意を十分伝えて、この答申に配慮してもらう必要があるのじゃないかと思いますが、調査団に対して白紙であなたは臨むのか。あなたがかつて四月の五日に約束したことを、調査団にも、一応自分はこういうことを炭労の方々と相談したと、こういう含みのあるところを調査団に言って、よりよき解決をはかろうとしておるのか、その点をお伺いしたい。
 さらに調査団の答申は九月の中旬に出されると思いますが、多くの予算立法を必要とするのではないかと思う。しかも、これは待っておれない緊急な事態でもあると思う。だから、この問題の解決は、少なくとも次の臨時国会、あるいは補正予算等も出るかと思いますけれども、次の短期でも長期でも臨時国会を開いて、一般予算を審議する通常国会以前にこの問題の解決をしておかなければならないと思いますが、以上総理には石炭問題が三点、非鉄関係が一点、あとは通産大臣にお伺いします。自由化に対する考え方を分けるならば、十月以降の九〇%の問題と、さらに残り一〇%の三月までにいく問題、この二つの問題についてのお考えなり具体的な折衝の面についてのお答えを願いたい。

○池田国務大臣 自由化九〇%を今年十月一日から施行するというIMF等への日本政府の態度は変えずに、その目標達成のためにせっかく検討を進めておるのであります。
 金属鉱山に対しまする国会の決議にいたしましても、あの決議の線に沿って検討をさしております。九〇%との関連がありますので、目下鋭意あらゆる角度から検討いたしております。
 また石炭鉱業に対しましての炭労の申し出に対しまして、それを聞いたときの私の気持は今も変わりはございません。そして有沢委員を中心とした調査団につきましては、私は白紙で結論を出していただくよう申しております。なお、炭労と会見したときの申し出に対する私の態度は、関係各省で知っておりまするから、有沢委員も御存じだろうと思っております。また、石炭に対しましての対策は、調査団の報告が出る以前におきましても、現下の状況から見まして、金融にいたしましても、あるいは予算関係費の先回しの使用にいたしましても、また不足する場合におきましての予備金使用等につきましても、できるだけ石炭鉱業、またその従業員の方々のよかれかしという考えのもとに努力をいたしておるのであります。

○福田国務大臣 ただいまお尋ねのありました非鉄金属に対する附帯決議その他決議に関しての問題につきましては、ただいま総理がお答えになりました通り、通産省といたしましては慎重な検討をただいまやっております。
 なお、次に御質問になりましたマンガンその他石綿等の種類の問題については、十月自由化の予定になっておるけれども、これはどうするのか、自分の意見としては延ばした方がいいように思うが、こういうような御質問と承るのでありますが、この問題等につきましても、通産省としては、一々のその種類の問題、たとえば石綿なら石綿について、現在価格がどういうふうになっておるか、これに対してどういう措置をとったらいいか、また工場が幾つくらいあって、鉱山が幾つくらいあって、そして従業員はどれくらいあるか、これがどの程度ほかの事業に吸収できるか、もしやっていけない場合にはどういうふうに吸収したらいいか、こういうような詳しい面からこまかく検討をいたしておるのでありまして、ただいま、あなたからはどうしたらいいかというお尋ねでありますけれども、ただいま検討中でございますので、まだお答えを申し上げるわけには参りません。
 それからまた三月になって、銅、鉛、亜鉛等をどうするかという御質問でございますが、これにつきましても、実は私たちとしては、その関係者に及ぼす影響あるいはまたその鉱山が所在する町の人たちに与える影響、その他社会問題等もいろいろ勘案をいたしまして、そうして十分な検討をして、皆さんにそういうような悪影響のないような形において処置をいたしていくと、こういう観点からただいま調査をいたしておる段階でございます。

○小松委員 今の通産大臣のお答えは、何と言うか、きわめて抽象的な問題のお答えのようでありましたが、私、聞いているのは、自由化を十月からやるのかやらぬのかということを、最初にアンチモニーとかいうのについて聞いているのですよ。だから、検討するというても、あなたのは何だかはっきりしない。まだ一カ月ありますけれども、まだ態度がきまっていない。
 もう一つは、亜鉛、銅の問題については、これは一貫して決議案も上がっている。与野党一緒になって国会に決議案まで上げている。これに対する対策を国会でやりなさいと言っているのです。それを、まだ緒にもつかぬ。あなたは決議案などというものは何とも思っていないのですか、どういうお考えですか。それをちょっとまたお伺いしたい。

○福田国務大臣 お答えを申し上げます。
 ただいまこの十月に踏み切るべき自由化の品目は、御承知のように、実はたくさんあるのでありますが、そのうちであなたが御質問になりましたのは、マンガンとかアンチモンとか石綿というようなそういう種類のものは、一体もう結論が出ているのじゃないか、やれるのか、やれないのか、自分の考えではまあむずかしいと思うがどうか、こういうような御質問だったと思うのであります。こういう問題につきましては、ただいま、そういうたとえばマンガンならマンガンについても、どこにどういう鉱山があって、そうしてその鉱山にはどれくらいの従業員がおって、そうしてこれをやった場合にどういう影響があるかということをしさいに今検討いたしておりまして、大体来月上旬かあるいは半ばごろまでには結論を出すように今研究をいたしておる段階でございますから、遺憾ながらここでお答えを申し上げるわけには参らないのであります。
 また、先ほど仰せられました、銅、鉛、亜鉛については買い取り機関を作れというような決議等もしておるのであるから、そういうことを具体的に研究しておるかということでありますが、もちろん、衆参両院において御決議のあったことについては、われわれとしてはただいま十分検討いたしておるのであります。検討した上で、その案ができましたならば、通常国会の冒頭にでも何にでも出していく、こういう考えで研究を続けておるということで御了承を願いたいと思います。

○小松委員 終わりますが、通産大臣は検討々々と言っていつまでも検討されたのでは困る。そろそろ結論を出してもらいたい。特に、今度のこの予算委員会というのは短期で、きょうあすだけでございますが、それまでに少なくともこの態度だけははっきりしていただきたかったのです。それができないということはまことに残念です。決議案さえ上がっておるこの非鉄関係の重大な問題でございますから、ただただ検討々々で延ばすのではなくて、具体的に、買い取り機関を設置をするとか、あるいは補正予算を組むとか、それを通常国会までに一つ片づけてもらいたい。(発言する者あり)だから、臨時国会を開くそのときなんでございます。その点を一つ通産大臣に強く要望しまして、私の質問を終わります。

[後略]