41-参-本会議-5号 昭和37年08月13日
昭和三十七年八月十三日(月曜日)午前十時三十分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第五号
昭和三十七年八月十三日
午前十時開議
第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、参議院法制局長の任命に関する件
一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
━━━━━━━━━━━━━
[前略]
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)、
去る十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。近藤信一君。
〔近藤信一君登壇、拍手〕
[中略]
○議長(重宗雄三君) 吉田法晴君。
〔吉田法晴君登壇、拍手〕
○吉田法晴君 私は、日本社会党を代表して、先日の池田総理の所信表明に対して、引き続いて質問をなさんとするものであります。
池田総理は、その所信表明で、今回の内閣改造により、新たな決意と勇断をもって内外の要務に当たりたいと申しました。
〔議長退席、副議長着席〕
しかし、演説全体としては、手前みそと抽象的な表現に終始して、内外政策いずれも具体策がなく、官僚式美文調ではあっても、政治家としての抱負識見というものは感ぜられませんでした。< 略>
以上、酷評をいたしましたが、所信表明に具体性が欠けていたという点は免れ得ない批判であります。国民生活と経済、国際情勢が当面している困難と不安が深刻なだけに、これを解消する具体策を示されたい。インフレなき高度経済の助長、所得水準の向上、雇用の増大、所得格差の解消、社会保障の拡充、減税の断行、あるいは平和外交、経済外交の推進、文教の高揚と刷新、人作りといっても、その具体策が示されていないではありませんか。総理の所見を聞きたいところです。
< 略>
最後に、危機を告げ、従業員の雇用と生活きわめて不安な石炭と金属鉱業の問題について伺いたい。
四月六日の閣議決定によって、石炭産業の安定と雇用の安定について抜本的対策がとられることが約束されました。そして、石炭調査団が九州、北海道の現地を視察して、現在答申の作成中であります。ところが、この答申を待たずして、依然として閉山、首切りはますます強く進行しようとしております。いな、進行しつつあります。しかも、その後、雇用市場は全く変化して、受け入れ態勢はない深刻な実情の中で、首切り、閉山が続いております。炭労の大量動員と無期限ストライキが中止されたのは、解雇が答申までストップされ、生活と雇用の、安定について政府が誠意をもって措置すると信じたからであります。しかるに、事実はその逆であります。もしこの事態によって、政府が閣議決定をもって保証したのに、それが裏切られたという印象を、労働者、国民に与えるとするならば、きわめて重大な問題だと思うのであります。総合エネルギー対策の確立について、また炭鉱の最低賃金制について、具体案はいつごろ明らかにできる段階にあるか、総理、通産大臣にお尋ねをいたしたい。
金属鉱業は、重要基礎産業でありますが、比較的国際競争力が弱く、貿易自由化を目前に控えて、一歩誤れば壊滅的な打撃を受けること必至であります。このため、通常国会で危機打開のための決議等がなされました。政府は決議に応ずるいかなる対策を立てつつあるか。また、十月自由化が予定されているアンチモニー地金、水銀、マンガン鉱石、黒鉛、石綿等の五鉱種について、格安外国品の脅威や全般的外国相場の値下がりのため、保護措置のみでは対処できないといわれますが、問題の銅、鉛、亜鉛等とともに、この際、自由化を延期し、抜本的金属鉱業対策を確立すべきであると考えるが、いかがです。すでに自由化を待たずして金属鉱業は深刻な不況に見舞われ、昨年以来一万名近い労働者の首切りが行なわれ、また切られようとする現状であります。雇用の安定と離職者対策についていかに考えるか。
以上、総理の所信——具体的内容の乏しかった所信に対して、社会党を代表しての質問を終わる次第であります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
私の所信表明が簡単であるという御非難でございまするが、私は施政の方向について申し上げたのでございます。具体的措置につきましては、わが党が選挙中に公約いたしましたことを着々と実行していこうといたしておるのであります。何をやろうとするかということは、選挙の公約をやろうとしておることは当然のことでごございます。
< 略>
国家公務員の給与引き上げにつきましては、検討をいたしております。また、金属鉱業等の自由化その他の対策につきましても、十分検討いたしておりますが、今検討中でございまして、補正予算を今国会に出すか出さぬかという問題につきまして、今の気持を申し上げますと、今国会には出す考えはございません。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
[後略]