30-参-決算委員会-9号 昭和33年11月04日

昭和三十三年十一月四日(火曜日)午前十時四十六分開会
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  委員の異動
本日委員森中守義君辞任につき、その補欠として大矢正君を議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     小西 英雄君
   理事
           西岡 ハル君
           平島 敏夫君
           増原 恵吉君
           相澤 重明君
           大矢  正君
   委員
           稲浦 鹿藏君
           勝俣  稔君
           松村 秀逸君
           片岡 文重君
           小柳  勇君
           島   清君
           奥 むめお君
           大竹平八郎君
           岩間 正男君
  事務局側
   常任委員会専門員       池田 修藏君
  説明員
   会計検査院事務総局第五局長  上村 照昌君
   日本国有鉄道総裁       十河 信二君
   日本国有鉄道常務理事     石井 昭正君
   日本国有鉄道電気局長     關  四郎君
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  本日の会議に付した案件
○昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算(内閣提出)(第二十九回国会継続)
○昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算(内閣提出)(第二十九回国会継続)
○昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書(内閣提出)(第二十九回国会継続)
○昭和三十一年度政府関係機関決算書(内閣提出)(第二十九回国会継続)
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○委員長(小西英雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十一年度政府関係機関決算書を議題といたします。
 本日は、日本国有鉄道の部を審議いたします。検査報告批難事項は、第千百五号から第千百二十一号までであります。本件に関して御出席の方は、説明員として日本国有鉄道総裁十河信二君、滝山審議室長、堀口監察局長、平出資材局長、關電気局長、石井日本国有鉄道常務理事、山田経理局長、安田管財部長、八木運輸省国有鉄道部長、上村検査院第五局長の諸君でございます。
 まず、会計検査院から概要の説明を願います。

○説明員(上村照昌君) 昭和三十一年度の検査報告のうち、日本国有鉄道関係について御説明いたします。
 個別事項として掲記しておりますものは不当事項十六件、不正行為一件計十七件で、前年度の三十三件に比べ約半数となっております。不当事項の内訳は予算経理に関するもの一件、工事に関するもの九件、物件に関するものが六件となっております。
 まず千百五号は、給与総額超過の問題であります。国鉄職員に支給する給与の総額は予算総則等によってきまっておりまして、三十一年度においては百二百九十億二千七百余万円となっており、これに対しまして支出決算額は千二百八十九億四千三百余万円、不用額は八千三百余万円となっておりますが、この決算額のほかに、鉄道経費所属の職員が建設工事または改良工事の業務に従事した場合等に、当該職員のその従事期間に相当する職員給、扶養手当等四億九百余万円を、鉄道経費等の当該科目から、建設費等の職員給などの当該科目に振り替えないで、工事費に振り替えて支出しておられるものがあります。これを考慮いたしますと、職員に対して支給する給与総額を三億二千六百万円超過して支出した結果となっておりますので、予算経理上考慮を要するものと考えます。
 次は工事のうち、予定価格の積算が過大なため、ひいて工事費が高価となっているものとして、千百六号から千百十号の五件でありますが、千百六号は、東京電気工事局で千三百四十二万余円で請け負わせられた、栗橋—久喜間架空送電線路鉄塔新設、その一工事の予定価格積算の問題でありまして、工事は利根川の州に鉄塔一基を井筒型基礎によって新設するものでありまして、井筒沈下工費を四脚で六百十二万千余円と積算しておられます。この脚の沈下深さが平均一四・二六メーターでありますから、メーター当り沈下工費は十万七千四百九十余円の積算となっておりますが、三十、三十一両年度に施行されました他の同種工事の沈下工費の積算が、沈下深さ十メートルの場合、調査例中高いものでもメーター当り四万円程度となっており、本件の十万余円と相当の開きがあります。しかし本件工事は他の調査事例よりも径が短かいので、メーター当り堀さく量が少いことなど有利な点が認められますが、他工事より沈下深さが深い点もありますので、これらの点を考え、かりにメーター当り四万五千円としますと、約三百五十五万円が過大と考えられます。その他工事用資材等の運搬費も過大な点もありまして、契約価格に比べ約三百九十万円が高価と考えられます。
 千百七号は、大阪電気工事局で七百二十万円で請け負わせた、加古川架空送電路新設その一工事の予定価格の積算の問題で、千百六号と同様に井筒工費の積算、運搬費の積算が妥当でなかったため、約二百七十万円工事費が高くなっているものであります。
 千百八号は、大阪電気工事事務所で二千二百余万円で請負に付せられた、横大路—山科間架空送電線新設その二工事についての運搬費等の予定価格積算の問題であります。工事に使用するセメント、骨材その他重量約二千五百五十一トンを、トラック取りおろし場所から建設現場までの平均距離二百五十四メートルを、人肩によって運搬するものとしてトン当り二・八人を要するものとして、計四百五十余万円を積算しておられますが、この程度の距離の場合、人肩運搬の歩掛りが一般に〇・七人程度であり、過大と認められ、かりに〇・八人と見ましても約三百二十万円が過大な積算と考えられます。また飯場から工事現場までの往復時間が要るということで、作業地点割増しとして八十三万余円を積算されておりますが、平均距離が一キロ程度所要時間として十五分ぐらいでありますから、積算の必要はないものでありまして、両者を合せて請負額が約四百万円高いと考えられます。
 千百九号は、大阪電気工事局ほか三個所で三千二百余万円で請け負わせた、既設レール・ボンドを溶接ボンドに取りかえ、または溶接ボンドの取り付けを主体とする三十四工事の予定価格の問題で、溶接ボンドの取り付け費用を五十キログラム・レール用は六百三十四円から七百五十六円、三十七キログラム・レール用は五百五十四円から六百九十五円と積算しておられますが、各局とも取り付け労務費が過大に積算されており、また東京鉄道監理局及び東京電気工事局では、主要材料である溶接ろうの所要量を過大に見積られているため、請負額に対して総額約四百五十万円高価となっている計算であります。
 千百十号は、新橋工事局で請け負わせられた白棚線の路盤工事の工事用砂利採取地選定の問題であります。この工事は、旧路盤を自動車専用道路にするため、延長十一キロ余にわたり切込砂利を搬入し、転圧する路盤工を主体とする工事でありまして、予定価格の算定にあたり切込砂利一万四千二十立米の全量を、平均運搬距離一七・一キロの阿武隈川の双石から採取するものとして立米当り八百六円と積算し、請け負わせて施行していましたが、工事途中砂利の数量をさらに四千二百四十五立米を増することとし、この分は平均運搬距離六キロの黄金川から採取するものとして立米当り六百三十七円として、この分を増額したものであります。しかし本件工事は切込砂利が大量で工事施行延長も長いのでありますから、できるだけ施行現場に近い所に砂利採取地を選定し、経済的に施行する配意が必要と考えられます。従って当初から距離の近い黄金川からも採取するということで予定価格を立てられたならば、工事費が約四百七十万円は節約できたものと考えられます。
 次は工事の施行が設計と相違するもので、千百十一号から千百十四号の四件であります。千百十一号から千百十三号までは大阪、仙台、札幌、各鉄道監理局で請負に出されたいずれも電気関係の工事でありまして、通信用木柱の取りかえ工事あるいは照明用鉄塔新設工事でありますが、いずれもその基礎が設計と異なるでき上りになっている事態でありまして、その後これらに対しましては、業者の負担において手直しまたは補強を行なっております。
 千百十四号は、札幌工事事務所で二千七百余万円で請負わされた、のり面防護その他工事ほか三件の工事におきまして、設計通りにできたものとして検収しておられますが、のり面防護の編さく工の編さく高等が設計と相違しており、約八十九万円が出来高不足となっておる事態であります。
 右のように工事の施行が設計と相違する事態の多いのは、工事施行に当って関係者の指導監督が十分に行われず、また検収が適正に行われなかったこと、任意に設計と異なる施行を指示したことなどによるものでありまして、設計と異なる工事をする場合、強度にも影響がありますので、今後十分の留意をお願いしている次第であります。
 次は物件関係に移ります。最初は予定価格の積算の問題で、千百十五号から千百十六号の二件であります。千百十五号は、国有鉄道資材局で信号器材株式会社から、レール絶縁金物L型板と継目板を、単独またはPLF絶縁金物等と組み合せ、購入せられたものについてでありますが、この購入は、L型板及び継目板については右会社に製造設備がないのに、会社の特許品でありますPLF金物と大部分は組み合せて購入せられたものでありまして、私の方で同会社からL型板及び継目板を下請している製作業者について調査しますと、L型板については、購入価格はこれを使用する軌条によって異なりますが、大体五千十三円から六千三百六十五円に対し、実際は三千八百六十九円から四千八百三円となって相当の開きがあります。これは特許品と組み合せて購入する扱いをするなど、価格の算定及び購入処置が適切でなかったものでありまして、製作の実情に合せて購入したといたしますと、約五百十万円は節約できたと考えられます。
 千百十六号は、北海道ほか六地方資材部で、三好式車両用保温帯を、種類によって単価は五十二円から百九十円と異なっておりますが、総額千八百二十余万円で購入されたものについてであります。その予定価格の積算を見ますと、主要材料である石綿リボンの価格が、所要量を多く見過ぎたり、原料は低価品をも併用するのが通常であるのに、高価品のみで見込んだり、実情に沿わない過大なものとなっております。その結果約三百二十万円は高価となっている計算であります。
 次は、資材の調達に当り購入規格の選定が適切でなかったため不経済となったものとして、千百十七号と千百十八号の二件が記述してあります。千百十七号は、資材局で信興産業株式会社から、銘柄指定により千六百余万円で購入せられた殺虫剤フヂサイトについてでありますが、本品採用の経緯を見ますと、国鉄における総合比較試験の結果、駅舎散布用剤としては、フジサイトのほかにガンマー乳剤、強力ネオジクロン等が同等品として選ばれましたが、あとの二つについては、毒性が強いとか、仕様書の試験規格を作るため試験品を再提出させられましたところ、さきに比較試験のとき提出した試験品と違っているという理由で排除し、フヂサイトを採用されたものであります。しかし、当局で行なった総合比較試験の毒性試験の数値から見ますと、採用されましたものがかえって毒性が多いということになっており、また試験品がさきに提出したものと異なっていたものについては、再提出させることができたものと考えられます。従って、本件の品だけを採用する理由は乏しく、排除したものを含めて競争させれば有利と考えられ、そのような処置がとられれば、約八百万円は有利に購入できたものと考えられます。
 千百十八号は、北海道地方資材部外五カ所で、高価な削成製品を指定して、分岐器用タイプレートを千六百余万円で購入しておられますが、分岐器用タイプレートとしては、削成製品のほか使用上優劣のない鍛造製品がありますから、これを購入せらるるようにせられた方が、購入事例から見て約四百七十万円は有利であったと考えられますものであります。
 次は、千百十九号の古ボイラーの売却についてでありますが、これは鷹取工場で、三十一年度中機関車のボイラー取りかえ工事で発生した古ボイラー二十三基を、解体切断して鋼くずとして売却せられたため、有姿で売却した場合に比べて約三百四十万円が不経済になっている事態であります。
 次は、千百二十号の東京鉄道監理局における高架下の使用料の決定についてであります。土地建物等の使用料については、従来著しく低廉でありましたので、二十九年度に従来の料金を当局が時価相当と認めた料金に改定されましたが、その際、改定料金が従来の料金に比べて著しい値上りとなるものについては、三十一年度において改定料金に達するように漸増する扱いとして、二十九年度分実施料金を定め、三十年度においては当初予定の漸増料金によらないで、二十九年度分実施料金に据え置いたため、改定料金に比べて著しく低廉に決定せられたものがあることにつきましては、すでに三十年度の検査報告に記述した通りでありますが、東京鉄道監理局においては、さらに実施料金がなお、一部に値上りが著しいことなどを理由とする値下げ陳情、納入拒否等の抵抗がありましたので、継続使用者についてはある程度の補正による軽減処置をとることが、社会慣行にも合致し国鉄収入確保の上からも適当であるということから、二十七年度以前から三十一年十一月まで引き続き同一名義人に使用承認している三百四十六件、使用名義人鉄道弘済会外二百七十四名の使用料について、二十九年度に設定した改定料金から三割相当額を減額した額を基準として、二十九年度から三十一年度分の使用料を改定することとし、二十九、三十年度分については既往にさかのぼり、千七百余万円を軽減し、三十一年度分については三十年度減額前の料金より八百余万円を軽減することにされたものであります。しかしもともと減額前の料金は高額であったとは認められないものでありまして、二十八年の従来の料金に比べて実施料金が大幅の値上りとなりましたのは、従来の料金が低廉に過ぎたからでありまして、本件軽減処置は適当とは考えられません。しかも当局の調査によって見ましても、減額の条件の継続使用は名義だけで、実際は当局の使用承認に反して他に使用させているものが少なくなく、また料金負担能力も十分あると認められる会社等も多数含まれている状況であります。
 最後に千百二十一号の不当行為でありますが、特に説明する点はございません。
 以上説明いたしました個別事項のほかに検査報告の概説の所に、工事につきまして古軌条を構造用等に使用する場合、または石炭がらを工事に使用する場合、十分経済性を考慮する必要があること、また東京操機事務所の運営及び本社運用の工事機械の稼働が良好とは認められませんので、十分の考慮が望ましい点を付記しております。また固定資産の管理運用の点につきましては、部外使用財産の料金等の適正化をはかる必要があると認められるほか、補助汽船の運営について配置及び料金の適正化について、考慮が望ましい点等を記述しております。以上で説明を終ります。

○委員長(小西英雄君) 次に日本国有鉄道から概要の説明を願います。

[後略]