24-衆-商工委員会-51号 昭和31年05月17日

昭和三十一年五月十七日(木曜日)午前十時二十六分開議
 出席委員
   委員長 神田  博君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君
   理事 永井勝次郎君
      秋田 大助君    阿左美廣治君
      内田 常雄君    椎名悦三郎君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      鈴木周次郎君    田中 角榮君
      田中 龍夫君    野田 武夫君
      濱野 清吾君    淵上房太郎君
      南  好雄君    森山 欽司君
      伊藤卯四郎君    加藤 清二君
      佐竹 新市君    多賀谷真稔君
      田中 武夫君    田中 利勝君
      松尾トシ子君    山口丈太郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  石橋 湛山君
 出席政府委員
        総理府事務官(公正取引委員会事務局経済部長)坂根 哲夫君
        通商産業政務次官       川野 芳滿君
        通商産業事務官(大臣官房長) 岩武 照彦君
        通商産業事務官(重工業局長) 鈴木 義雄君
        通商産業事務官(軽工業局長) 吉岡千代三君
        通商産業事務官(繊維局長)  小室 恒夫君
 委員外の出席者
        労働事務官(職業安定局失業対策部長)  渋谷 直蔵君
        専  門  員 越田 清七君
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五月十七日
 委員水谷長三郎君辞任につき、その補欠として山口丈太郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
 繊維工業設備臨時措置法案(内閣提出第八三号)
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[前略]

○鈴木(周)委員 ただいまの御答弁では、繊維でもない繊維でもある、こういうような話である。しからば綿花を利用する、あるいはその他スフというような植物性繊維あるいは合成繊維、こういうようなものに添加された場合には繊維らしく言われるが、そのものだけで織った場合には繊維ですかどうですか、あるいは逆から言えば、合成的にした繊維についてでないとも言えますが、そこら辺のはっきりした定義を聞いておきたい。

○吉岡政府委員 具体的な用途について申し上げた方がはっきりするかと思いますが、現状から申し上げますと、量的には断熱材料として石綿と類似のような用途に使われておる場合が多いわけであります。ただ将来の問題といたしまして、先ほどちょっと申し上げましたような絶縁性を利用いたしまして、たとえばモーターの巻き線に逐次代替して参る傾向がございます。従ってこういう場合には綿等の代替物として利用されるわけであります。それから合成樹脂の強化剤として利用される場合には、これはいわば今後における一つの新しい用途でございまして、ガラス繊維そのものとしての固有の用途であり、今後非常に発展を予想されるものである、こう考えております。なおアメリカ等におきましては、たとえば劇場等のカーテンでありますとか、防火の見地から防火規則によりましてガラス繊維を使用するというふうなことがきめられておるような場合もあるようでございまして、それらの場合には繊維と全く同様に織物等として利用されておる、こういう現状でございますが、それらの点につきましては、まだ日本におきましては現在試作をしておる段階である、かように御了承願えばけっこうかと存じます。

○鈴木(周)委員 ただいまの御答弁のうちで、定義がまだきまらないで、でき上ったものによって繊維であるか繊維でないかというような判定論のように承わりますが、それでお差しつかえございませんか。

[中略]

○鈴木(周)委員 現在の状況においては、日本においてはガラス繊維が発達する途上にある。また世界中の織物全体においても、発達する傾向にあります。そういう場合において、今日本においてはどういう程度においてガラス繊維を今後発達させなければならない状況にあるか、また現在産業方面において、非常に需要が増しておると私は思うのだが、それに供給が足りないのか、また供給する場合において、現在日本に発達しておるのをつぶしても外国資本を入れて、そして織物とともに競争さしてもいいのかどうか、そういうことも、一つこの際お聞きしておきたい。

○吉岡政府委員 ガラス繊維は、戦争中に石綿の輸入が困難になりましたので、その代用品というような形で発足したのが最初のようでございます。しかし現在におきまして、われわれの注目すべき用途といたしましては、一つは先ほど申し上げました、絶縁性を利用いたしまして、モーター等の巻線にこれが代替されていく傾向がございます。それからいま一つは、ポリエステルと申します合成樹脂にこれを強化剤として入れることによりまして、いろいろの建築材料でありますとか、あるいは自動車、航空機というようなものの構造材料に発展していく、これは日本におきましても、すでにスクータとか、部現在使いつつあるわけでございます。ただこれらの電気関係、あるいは構造材料にこの合成樹脂の強化剤として利用いたします場合には、その化学的並びに物理的の性質に非常にむずかしい技術士の要求がございまして、これらの点について相当今後努力をする必要があるであろう。そこで現在これらの関係のガラス繊維の生産をやっている会社が二社ございますが、まだそれらの品質等の点において、十分でございませんので、潜在的の需要はあるわけでございますが、現在のところ操業度はきわめて低いわけであります。大体三割前後ではないかと考えております。
 そこで、先ほど申し上げました絶縁材料並びにいわゆるプラスチックの強化剤としての将来性を考えますと、どうしてもこの技術を至急に導入する必要があるということが考えられるわけでございます。ただその場合に、戦争中から長年これを研究しておる既存のメーカーとの関係があるわけでございますので、これらの点につきまして調整を加えまして、既存のメーカーの従来の努力なり、あるいは人的物的の設備、これをもできる限り活用し、その犠牲を少くする形におきまして、新しい技術を導入いたしたい、そういうことで、ただいま具体的に関係企業内において打ち合せが進行しておるという状況でございます。

○鈴木(周)委員 ガラス繊維ができたあとにおけるものは、まだ考慮のうちに入れていない、研究中だというお話ですが、もはや非常な勢いで、今日市場に出ていると思います。それがこの繊維からはずしておくというようなことはどうかと考えるが、どこまでも助長発達させる意味において、これをやるのかどうか、それも一つ聞いておきたい。

[後略]