22-参-決算委員会-24号 昭和30年07月04日

昭和三十年七月四日(月曜日)午後三時五十三分開会
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  委員の異動
七月一日委員石井桂君辞任につき、その補欠として横山フク君を議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           谷口弥三郎君
           野本 品吉君
           岡  三郎君
           中川 幸平君
           石川 清一君
   委員
           大谷 瑩潤君
           白波瀬米吉君
           長島 銀藏君
           宮田 重文君
           飯島連次郎君
           亀田 得治君
           木島 虎藏君
           白川 一雄君
           市川 房枝君
  委員外議員
           八木 幸吉君
  国務大臣
   通商産業大臣  石橋 湛山君
  政府委員
   通商産業政務次官       島村 一郎君
   通商産業大臣官房長      岩武 照彦君
   通商産業大臣官房会計課長   出雲井正雄君
   通商産業省企業局長      徳永 久次君
   通商産業省重工業局長     鈴木 義雄君
   中小企業庁振興部長      秋山 武夫君
  事務局側
   常任委員会専門員       池田 修藏君
  説明員
   大蔵省主計局司計課長     柳澤 英藏君
   通商産業省軽工業局アルコール
   事業長     菊地 淳一君
   工業技術院調整部長      讃岐 喜八君
   工業技術院調整部助成課長   伊藤?太郎君
   会計検査院事務局検第二局長  上村 照昌君
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  本日の会議に付した案件
○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算(内閣提出)
○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算(内閣提出)
○昭和二十八年度政府関係機関決算報告書(内閣提出)
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○委員長(山田節男君) ただいまから第二十四回決算委員会を開会いたします。
 昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和二十八年度政府関係機関決算報告書
 を議題といたします。
 本日は通産省の所管の部を審議いたします。検査報告批難事項は第一千八百八十一号から第一千八百九十七号までであります。
 本日御出席の方は石橋通産大臣のほか、出雲井会計課長、岩武官房長、鈴木重工業局長、成田工業技術院会計課長、徳永企業局長、秋山中小企業庁振興部長、菊地アルコール事業長、会計検査院側からは上村検査第二局長が出席いたしております。
 まず石橋通産大臣の説明を求めます。

[中略]

○飯島連次郎君 先ほどお尋ねがありましたが、私は内部監査について、私どものいただいた監査機構並びに業務実績調という資料があるのです。この内容について大臣にお伺いするのではない。これを拝見すると、ほかの官署でもそうですけれども、直接の内部監査というのは、とかく枝葉末節なところに大体いきがちなものなんです。この通産省の内部監査を拝見しても、大体ここに監査の結果、関係責任者に対してとられた処置がかなり詳細に出ておりますが、やはりこれはきわめて月並みな処置であつて、こういうことでは、われわれ決算委員会に毎年報告されて参る批難事項に対し、大臣が今おっしゃったような官紀の粛正であるとか、あるいはかなり思い切つた予算についての効率的な使用とか、実効が上りにくいのではないかと、こう思うわけです。そこで内部監査について、これが効果をあがらしめるには、何か大臣としては特別のお考えをおもちにならなければ、これは効果はあがらないと思うのですが、何か特別の効果あらしめるための方途をおもちかどうか。この点を一つお伺いいたします。

[中略]

○委員長(山田節男君) それでは会計検査院の方からこの批難事項に対しての概略の御説明を願います。

○説明員(上村照昌君) 二十八年度の通産省関係の検査報告に掲載しましたのは十七件で、機械の管理が一件、補助関係十二件、その他四件というふうになっております。
 < 略>
 次は補助金のうち工業技術院関係の補助の千八百八十二号から千八百八十六号の五件でございます。この関係は二十七年度、二十八年度に補助金を出されました件数が千百二十五件ございまして、二十八年度中に出されましたのが六百三十四件ございまして、そのうち検査をしましたのが百件、検査報告に掲記しましたのがそのうち五件、こういうふうになっております。この件数は内容は大体同じような案件でございますが、補助金を出されますときに、研究等がなされる場合に、それぞれの選考要件に、仕事をなされる場合にその前提になります研究等が十分進んでおらなかったり、あるいはそのほか研究される補助等についての十分の検討がなされておらないで補助金が出された事態でございまして、その結果、補助金が年度内に使われることがなかったり、あるいはその使用見込みもなく事業を廃止しておる、こういうような事態でございまして、これらにつきましては、今後とも十分、補助金を出される場合及びその後におきまして、実態の調査等をなされることが必要ではなかろうかとかように考えております。
 < 略>
 次は千八百九十六号の石綿の輸入関係でございますが、これは特需関係で必要であるということで、輸入業者から二百四十六トンを六千五百万円で購入せられておるものでございまして、その後購入価格及び諸経費をみました場合、それよりも安い価格で売られたために、約一千万円が政府の損失になっておる事態でございます。これはどういうわけでかような事能が生じましたかと申し上げますと、当時民間の会社で民間の会社自身が石綿の輸入を外貨割当を受けましてすでに契約しておりました千三百七十五トンのうち二百四十六トン余りは、業者が資金事情が悪化したために、これを引き取ることができないということになったわけでございまして、かたがた通産省といたしましては、特需の関係で必要だからということで買われたわけでございますが、木会計の運用上資金事情の悪化ということをあまり念頭において運用されることが適当であるかどうかという点について疑問があるばかりでなく、これを購入せられた場合に将来迷惑をかけないという一札が入れてあるのでございますが、これらにつきましても、その後において十分な措置が講ぜられなかった、かようなために一千万円の政府損失を生じたという事態でございます。
 次は千八百九十七号の鉱害の補助金でございますが、これと同じような事態は厚生省関係にも掲げてございますが、通産省の鉱害補助の方でもやはり同じ事態が起っておるわけでございまして、この鉱害補助につきましては、当初四百十七万円ということで事業の認定をされておったわけでございますが、その後におきまして物価の値上りで五百七十三万余円に再査定をされたわけでございまして、これに対しまして補助金を交付されたわけでございますが、実際はその経費はそれほどかかかったわけではございませんで、すでに前に事業が進んでおりまして、かかりました経費が四百十五万円、こういうふうになっておりますのに、再査定をされて五百七十三万円にされたということと、四百十五万円の中にはすでに石炭のプール資金から出ておる経費等がございますので、これを控除して計算しますと百万円ばかりが補助超過になっておる、かような事態でございます。

○委員長(山田節男君) 通産省側でなおこの事項に関して補助的な説明の希望があれば許します。御説明の必要ありますか、ありませんか……。なおただいま島村政務次官がおみえになっております。そのほか先ほど御報告申し上げました方々のほかに、讃岐工業技術院の調整部長、通産省安達輸出保険課長、石炭局の阿部鉱害課長もみえております。
 では順次御質疑願います。

[中略]

○飯島連次郎君 私は内部監査についてこういう意図で質問をしたいのですが、それは私どもが先ほど大臣がおられたときに申し上げましたけれども、決算を各省にわたってやつてきて、そうして私どもに提供されておる会計検査院からの批難事項、もしくは皆さんの力から自発的に出された内部監査についての実績だとかいろいろな書類を検討してみて、私どもが皆さんの、通産省から出された特に内部監査に関する資料は目立って非常にずさんなんです。どういう点がずさんかというと、皆さんにはぴんとこないらしいから、たとえば一つの例をあげましょう。
 < 略>
 それからもう一つ指摘をしますと、この昭和二十八年度の決算に限定して考えましても、たとえば輪出保険特別会計であるとか、米国の対日援助物資処理特別会計であるとか、そういった会計について多少の問題がある。そのほか中小企業信用保険特別会計あるいは緊要物資輸入基金特別会計、これは先ほどもお話しがありましたように、石綿等について、報告番号で千八百九十六という案件が批難されておる。それから特別鉱害復旧特別会計でも同様に千八百九十七号で批難されておる。こういう会計等については当該年度監査を実施していないということがここに報告されているわけです。
 ですからこれらから考えてみると、内部監査というのは実際どういう意図でやつておいでになるか、私どもは疑問を持つわけです、決算あるいは会計の見地からですね。しかし、事実こまかなところを見ると、少いとはいえども六十八万円の予算を使つて、そして監査期間が百四十九日ですか、延人員二百四十三人という人数がこれに当つておるわけです。そういう点からさっき大臣に私はあえてお尋ねをしたわけですが、むしろ省全体とされて、少くともこれだけの大きな予算執行をやつておいでになる通産省とされては、私は転ばぬ先にもう少し内部監査というものを、職員の指導をなさることはもちろんけつこうなことだと思うけれども、もう少しさっき私が指摘しましたように、業者との関係でとかくあるいは新聞種になつたり、われわれ議員の耳にすらときどきいろいろなことが入ってくるような、そういうことが決してないわけではないのです。それから許可とか認可の点なんかの点については、よほど厳正なる監督をされなけ止ればならないという特殊の行政庁であるだけに、私は内部監査というものは一会計課にまかせつ切りでなしに、もう少し高い見地で、少くとも官房なり大臣直属のところで、十分、中を大所高所からにらむような内部監査の機構というものがあつてしかるベきたと思うのです。ですからあえて私は与えられたこの資料の枝葉末節を云々しようとする意図ではないので、そういう点について、大臣も先ほどの質問では、別に特別の構想もここに臨まれるまで
 はお持ちになっておらないようです。内部の皆さんはいろいろな欠陥等については通暁されておられるに違いな甘い。外の声もあるいは国会の声も十分皆さんがお聞きの通りなんですから、私はやはりここらで、一つ内部機構について監査を中心にした、単なる会計の専務の末梢をただ指導監督、監査をするという範囲でなしに、もう少し高い見地でおやりになる必要が私は非常にあると考えるのですが、こういう点に関しては官房長はどういうふうにお考えですか。

○政府委員(岩武照彦君) まことにごもっともな御意見だと拝聴いたしました。実は先ほど私亀田先生のお話に対しましてお答えしましたゆえんも、この会計経理面だけの監査ということだけではおそらく通産省の現状では不十分だろう、もう少し事務全般のやり方について見直す必要があるのじゃないか、これは実は私個人といたしましてもいろいろ感じた点もあるのでございますし、ひとり会計上の不正防止に努めるのみならず、さらにそれ以上、各般の会計に直接関係ない事務につきましても、いろいろなうわさ、あるいは問題等を起さないように、事務処理の適正化という問題として考えたいと思っております。
 なおそれにつきましては、先ほどいろいろ膨大な機構というようなお話もございました。実は機構の問題もさることながら、われわれとしましては、事務のやり方あるいは事務の簡素化という点も相当問題であろうと思います。そういう面につきまして、広い見地から自己反省あるいは内部粛正の意味から、もう少しはっきりした組織なりあるいは要領等きめましてやつていきたいと思います。これは私、大臣はいらつしやいませんが、おそらく大臣もそういう御意見かとも存じております。なお十分練りまして、大臣の御決裁を得ました上で実施したいと思います。

[後略]