22-衆-決算委員会-20号 昭和30年06月23日

昭和三十年六月二十三日(木曜日)午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 上林與市郎君
   理事 椎名悦三郎君 理事 徳安 實藏君
   理事 山中 貞則君 理事 山田 長司君
   理事 吉田 賢一君
      床次 徳二君    横井 太郎君
      生田 宏一君   小笠原八十美君
      片島  港君    三鍋 義三君
      細田 綱吉君
 出席政府委員
        大蔵事務官(管財局長)  窪谷 直光君
        国税庁長官        平田敬一郎君
 委員外の出席者
        大蔵事務官(管財局国有財産第一課長) 天野 四郎君
        大蔵事務官(国税庁長官官房会計課長) 喜田村健三君
        大蔵事務官(国税庁直税部長)     村山 達雄君
        大蔵事務官(国税庁徴収部長)     中西 泰男君
        会計検査院事務官(検査第一局長)   保岡  豊君
        専  門  員 大久保忠文君
        専  門  員 岡林 清英君
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本日の会議に付した案件
 昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和二十八年度政府関係機関決算報告書
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[前略]

○上林委員長 それではこれより昭和二十八年度決算報告中、大蔵省所管について審査を進めます。すなわち昭和二十八年度決算検査報告九十五ぺージより百二十七ページにわたる報告番号五四ないし八三三を一括議題として、審査の促進上そのうち報告番号五四ないし五八、七五、七九、九二、九六、一〇一、一〇三ないし一〇九、一二四ないし一二六、一二八及び一二九を重点事項といたします。右のうち租税の項については会計検査院及び国税庁当局より説明を聴取いたし、質疑に入っておりますので、本日はまず大蔵省所管のうち租税の項を除く部分についての説明を聴取し、そのあとで大蔵省所管について一括して質疑に入りたいと存じます。
 会計検査院の説明を求める前に、お手元に昭和二十八年度決算審議重点事項案というものを配付してありますが、これは昨日の理事会でいろいろ御相談申し上げました点を重点といたしまして、調査員室の調査員並びに調査主事の御勉強を願い、審議に資する点だけをとりまとめて配付しておりますので、御参考にしていただきたいと思います。なお決算委員会審議日程表を配付しておりますので、これも御参考にしていただきたいと思います。それでは保岡検査第一局長より説明を求めます。保岡説明員。

[中略]

○上林委員長 それでは質疑の通告がございますので、順次これを許します。私の手元には二人から通告がございますが順序はどうしましょうか。
  〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕

○上林委員長 それでは吉田委員。

[中略]

○吉田(賢)委員 転じまして大口滞納の分について質問さしていただきたいと思います。
 前回の委員会におきまして御説明になりました五千万以上の滞納のうち、現に配当を継続している会社があるということでございます。そこでその会社は一体何ゆえに配当の継続をして、そうして五千万以上も国の税金を滞納しておるのであるか、この間のいきさつと、何ほどの配当が行われておって、どんな事業であるのかというようなこと、これを一つ御説明願いたい。

[中略]

○平田政府委員 それでは徴収部長から先に事実を詳細に申し述べさせます。

○中西説明員 お手元の資料の十四番目でございます。これはいずれも法人税の滞納でございまして、二十九年の四月には一億三百万円、それがこの二十九年度中に六千九百万円の収納がございまして、五千六千万円の滞納になっております。これはただいま長官から申し上げましたように、石綿パイプ製造業でございまして、これは売掛金の回収が非常に遅延いたしましたために、資金繰りが非常に窮屈になって参りました。こういった関係から増資を計画いたしまして、その増資の目的、あるいは金繰りをうまくつける金融等のために、若干無理な利益計上をいたしたような状況になっております。これに対しましては、すでに工場、住宅その他建物等をすべて差し押えをいたしておりますが、現状におきましては、先日付の小切手等の納付預託がありまして、七月末までにこの残税額の完納を予定しておる、こういう分納の計画になっております。
 次はお手元の資料の十番のパルプ業でございます。これは同じく二十九年の四月末で九千九百万円の滞納になっておりましたが、二十九年度中に新規に一千百万円滞納が発生いたしましたが、同期間中に四千万円滞納の分の収納がございまして、差引いたしまして三月末でなお七千万円の滞納になっておる、こういった状況でございます。この滞納の原因につきましては、この会社の工場は富山地区にあるわけでございますが、原木の集散等の点から見まして、立地条件が非常に悪くなっておりまして、そういった原木の手当の関係から九州地区の方に工場の増設を計画いたしまして、その建設資金はおもに借入金によってまかなったのでありますが、一部やはり手持ち資金に食い込みまして、そのために滞納が発生した、こういった関係になっておるのであります。その後、二十九年の十月に増資をいたしまして、この資金は一部借入金の返済にも充てられたのでありますが、滞納税金の納付に一部が充てられておる、こういう現状になっております。差し押えの関係は、簿価約五億五千万程度に上るのでありますが、いずれも工場財団の差し抑えをいたしておるのであります。この配当の関係につきましては、これは増資あるいは金融画の考慮からこういった利益配当をいたしておるのでありますが、これは関係会社並びに会社の重役等に対する配当は一切未払いの方で停止いたしております。ただいまの処分方針といたしましては、押えております工場財団が遠隔の地にありますことと、売却が非常に困難であるというようなことも考慮いたしまして、さらに滞納者におきまして適切な納付計画を立てるならば、それに従って若干の期間は猶予しても、完全に滞納税額の整理を見る方が徴収上有利ではなかろうかという考え方から、一時処分を猶予しておるのであります。目下のところ、この十二月ごろまでには大体完納の見込みを分納計画その他におきまして検討いたしておるのでありますが、さらにこの点は突っ込んだ調査をいたしましてできるだけ猶予期間を短縮したい、こういう方針でございます。

○吉田(賢)委員 十一号の説明を願います。

○中西説明員 十一号の運送業でありますが、これは審査請求にかかる事案でございます。審査の内容は運送契約、公用の請負契約に基きまして、運送中に損害が発生した場合に、その損害の補てんに充てるために収入金の一部を相当以前から積み立てておったのでありますが、この積立金は事故発生に伴う弁償金の確定がきまらないために留保されておったのであります。この積立金が果してお金になるかどうかという点について審査請求になっておったのでありますが、これは事実関係が相当広範にわたりますし、また相当複雑になっておりますために、ただいま協議団の方におきましてせっかく審査を進めておるのであります。大体この秋ごろには結論に到達し得るのではないか、こういう状態になっております。徴収面におきましては、審査請求にかかわるものにつきましては、その審査の請求の内容につきまして相当の理由が認められるような場合におきましては最後の差し押え、公売といった段階までは行かないで、一時猶予して審査の決定を待って最終的な処理をする、こういう方針をとっておるのであります。

○吉田(賢)委員 十号のパルプ製造、製紙業並びに十四号の石綿パイプ製造業、この分についてはいずれも株主に対する配当があるのですか。それは何ほどの率でありますか。

○中西説明員 十四号のパイプ会社でございますが、これは二十九年の十一月期の配当率は一割になっております。それから十番のパルプ業は、最近の二十九年の十二月期の配当は二割の配当になっております。

[中略]

○平田政府委員 実は私、一年ぐらい前ですか大口滞納をいろいろ調べてみまして、配当しておるのに滞納がある。いろいろな事情があるにしても常識上おかしいではないか、そういう点、もう一ぺん配当しておるものについては特に審査を厳重にして、早く片づけるようにしたらどうかというので、実は部内でもそういう趣旨で一ぺんやらせたのでございます。そこでだいぶ片づいたのもございますけれども、御指摘の通り三件ほど大きなのが残っておる。ところがその後だんだん督励しまして、向うもだいぶ勉強して納めてきておるという事実が一方においてある。それから一方におきましてはやはり会社が金繰りに困って、いろいろな関係で減配してしまうと事業の遂行上非常な影響がありまして、ひいては納税上もかえって思うような納付がいかないといったような懸念がある場合には、これはやむを得ずしようがない、なるべく早く納めさせることにして処理をしたらどうか、こういうことで来たわけでございまして、もう一ぺん最近の事情に基きましてよく調べまして、さらに一そう早く促進することができるかできないかということを検討してみたいと思います。大体考えようとしましてはお話のような頭でいって、それでもなお片づかないものが残ってきておるということでございますればよく検討いたしたいと思います。

○吉田(賢)委員 この問題はやはり長官は簡単に考えておるようでありますけれども、私どもといたしましては、つまり国民の感情といたしまして、やはりこういうような大口滞納につきましては一応は配当なしという状態が望ましいのであります。たとい五分といえども配当するというのであるならば、それは納税の方へ回すべきではないか、また株主といえども七千万円も税金をうっちゃっておいて——これは何ほどか入ったとおっしゃっておるけれども、また十四号の石綿パイプの会社も五千六百万円の税金をうっちゃっておきまして配当するということは、それは過去において何ほどかの納税があったにいたしましても、完納するまでは配当を打ちとめるというような措置こそ国民の感情に合うと思うのでありますが、もっと厳重な態度でこれは臨まれないものであろうか、こういうふうに思うのですが、いかがですか、その点を伺いたい。

○平田政府委員 原則論としましては私ども実は全く同じ考え方を持っておるわけでございまして、大部分のものにつきましてはそういう趣旨で督励を加えまして、それぞれ処理をいたしておるわけでございますが、この大きな方で本件が残っておるという情勢でございます。しかしもう一ぺんこの辺で、お話のようなことはまさに私も社会一般の感情だと存じますので、もっと早くできないかをよく検討いたしまして、適切な措置をとりたいと思います。

[後略]