22-衆-社会労働委員会-26号 昭和30年06月22日
昭和三十年六月二十二日(水曜日)午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 中村三之丞君
理事 中川 俊思君 理事 松岡 松平君
理事 大橋 武夫君 理事 山下 春江君
理事 山花 秀雄君
植村 武一君 臼井 莊一君
亀山 孝一君 草野一郎平君
小島 徹三君 床次 徳二君
森山 欽司君 横井 太郎君
越智 茂君 中山 マサ君
八田 貞義君 岡本 隆一君
多賀谷真稔君 滝井 義高君
中村 英男君 受田 新吉君
吉川 兼光君 中原 健次君
出席政府委員
厚生事務官(保険局長) 久下 勝次君
通商産業事務官(鉱山保安局長) 正木 崇君
運輸事務官(船員局長) 武田 元君
労働基準監督官(労働基準局長) 富樫 總一君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
専 門 員 浜口金一郎君
専 門 員 山本 正世君
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六月二十一日
委員小島徹三君、堂森芳夫君及び吉川兼光君辞任につき、その補欠として芦田均君、岡良一君及び井堀繁雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
委員芦田均君、井堀繁雄君及び岡良一君辞任につき、その補欠として小島徹三君、吉川兼光君及び堂森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
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六月二十一日
医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案(大石武一君提出、衆法第二一号)歯科技工法案(内閣提出第一三五号)(予)
同月二十日
クリーニング業法の一部改正に関する請願(塚原俊郎君紹介)(第二四〇二号)
[中略]
国立公園施設整備費国庫補助復活に関する請願(田子一民君紹介)(第二五〇九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案(内閣提出第七二号)
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○中村委員長 これより会議を開きます。
けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案を議題とし、質疑を続行いたします。森山欽司君。
○森山委員 前会逐条的に質疑事項が残っておりましたので、政府の所見をお伺いしたいと思います。
第二条第一項第二号に、粉塵作業として「けい肺を生ずるおそれがないと認められる政令で定める作業を除く。」となっておりますが、これについては、けい肺審議会において三年間けい肺健康診断をやってみて、それから政令を定めるのだということでありますが、そういうことでございましょうか。
[中略]
○富樫(總)政府委員 確かに三年間全然実績が出てこないというのも一つの基準であり得る。しかし、政府の健康診断によって、現在すでに過去十年なり二十年そういう粉塵作業に従事しておったにかかわらず、全然起っておらないというものも考えられる。それからいわゆる恕限度が千である。——千であるということについては問題がありますけれども、明瞭に百とか五十とかいうふうに、通常考えられている幅の恕限度より極度に低い。そうしてけい肺が診断の結果現在一人もいないというようなものも一つの基準にもなり得る。そこら辺はもう少し基準を検討したい、こういうことであります。
○森山委員 そうしますと、六月九日の本委員会の公聴会で、北里参考人が「金属鉱山に例をとって申し上げますと、石灰石あるいは石膏あるいは石綿、水銀というふうな業種は、一応鉱業法の鉱物の採掘ではございますけれども、ただいま申し上げたように、今までにけい肺の一人も発生しない事業場でございます。また将来も、岩石その他の分析によって、科学的にその可能性がないということが立証されておるものであります。」こういうものも、当分の間一応粉塵作業としてやるというのはおかしいという見解を述べておるのですが、この種の事業場は、さしあたり審議の上で政令で除く、こういう御意図を持っておられるわけでございますね。
○富樫(總)政府委員 ただいまのおあげになりました岩石は、そのもの自体にはけい酸を含んでおらないのでありますが、それを掘る際に、まわりから石英なり花崗岩なりから一渚に遊離けい酸が出る場合がむしろ多いのであります。従いまして、さしあたりは除かないで、現地の調査の結果、この山はなるほどほんとうに出ないというようなことがわかった場合にそれを逐次はずしていく、こういう考えであります。
[中略]
○富樫(總)政府委員 純然たる炭肺は——私しろうとで詳しいことは存じませんが、医者の結論だけを申し上げますと、それは肺臓機能にそれ相応の障害をもたらしましても、けい肺とは格段の差がある、こういうふうにいわれておるのであります。実は従来、ことに戦前から数年前までの炭鉱においては、遊離けい酸の粉塵がないのだから、レントゲンで出てくる結節像はすべて炭肺であるというふうに過去においては誤まって処理しておったという場合が、率直に申しますと相当あったかと思います。しかしながら最近におきましては、われわれの方で石炭山を巡回検診をいたしまして、現実に粉塵測定をあわせ行った結果、これは肺臓を切って見なければ実際にはわからないのですが、現実の粉塵測定によりまして遊離けい酸がある場合は、これは単なる炭肺でなく、けい肺であるという扱いにここ数年来是正いたしております。今後はこの法律におきまして、炭坑内も遊離けい酸粉塵の飛ぶ作業場であるという前提のもとに扱いますから、数年前の過去におけるがごとき乱暴な誤まった扱いは、すっかり是正されると考えておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、結論的に申しますならば、大体炭肺というものは、遊離けい酸を含む粉塵、こういう解釈のもとに、それはけい肺の取扱いをしていくということですね。そうしますと、もう少しその範囲を広めて、いわゆる塵肺です。こういうものは石炭山ばかりでなく、石綿、滑石、アルミニウム、黒鉛、鉄、バリウム等いろいろなところで塵肺が起ってくるわけです。こういうものは今の石炭山における取り扱いと同じように、けい肺として取り扱ってもらえるかどうかということなんです。
○富樫(總)政府委員 他の塵肺とともに遊離けい酸粉塵が現実にそこの職場にある限りは、肺臓の中にできた結節像は、他の塵肺とともに遊離けい酸粉塵のためにできた結節像であると推定するほかはない。それを積極的にくつがえす根拠がない限り、他の塵肺であると同時にけい肺であるというふうに診断するほかない、こういうことであります。
[後略]