19閉-参-経済安定委員会-7号 昭和29年11月10日

昭和二十九年十一月十日(水曜日)午前十一時二分開会
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  委員の移動
本日委員岡田宗司君辞任につき、その補欠として、小笠原二三男君を議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     小林 政夫君
   理事
           笹森 順造君
   委員
          小笠原二三男君
           八木 秀次君
           八木 幸吉君
  事務局側
   常任委員会専門員       桑野  仁君
   常任委員会専門員       内田源兵衛君
  説明員
   経済審議庁審議官       山村  章君
   大蔵省為替局外資課長     太田 亮一君
   通商産業省企業局長      徳永 久次君
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  本日の会議に付した件
○日本経済の安定と自立に関する調査の件(外資導入に関する件)
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○委員長(小林政夫君) それでは第七回経済安定委員会を開会いたします。
 本日の議題は、日本経済の安定と自立に関する調査の中で、外資導入に関する件であります。先ず大蔵省為替局のほうから、外資導入の現況の説明を聴取して、それからまあ当然外資法、外国為替管理法、或いは日米通商航海条約等との関連における今後の問題点等について概論的に説明を聴取します。

[中略]

○委員長(小林政夫君) ちよつと数字的なことを先に聞いておきますが、外国投資家預金勘定ですね、今どのくらい預金がありますか。

○説明員(太田亮一君) ちよつと今手許に数字を持ち合しておりませんが……。

○委員長(小林政夫君) あとで詳しい数字は出してもらつてもいいのですが、概数的にどのくらいということは頭にないですか。

○説明員(太田亮一君) 大分動いておりますので、連絡してから……。

○委員長(小林政夫君) 今の説明のニユアンスから言うと、我々も全く同感なような印象を受けるんですが、ただ新聞に報ぜられておるところによると、あなたの説明されたニユアンスと大蔵大臣の考えているニユアンスとはむしろ逆のような印象を我々は受ける。というのは外国為替管理法の特例としての外資法によつて、まあ外資法は特例なんだが、それによつて外資法の特例を与えるほどの技術援助、外貨導入の価値はないが、日米通商航海条約にいうところの企業活動の自由、これによつていささかも制限されないで勝手にやる、こういうことで今問題になつておるようなパイン・ミシンの問題とか、日米石綿の問題だとか、却つて外為替管理法の運用によつてその導入を有利にならしめるような発言というか、心持ちが大蔵大臣にある。むしろ勝手にお入りなさい。そのときの外貨事情によつて送金或いは果実等を持つて帰り得るかも知れないが、持つて帰り得ないかも知れない。こういうことで何か別に外資法によつて許可を与えなくても企業活動の自由を阻害したものではないと、こういう腰強い折衝が相手側になされておるのかどうかという点については、どうも最近の新聞報道だと少しその点は逆に動いているのではないかという気がするのですが、その点はどうですか。

○説明員(太田亮一君) 新聞その他の記事でいろいろまあ推測、或いは記事として興味本位に大分書かれておる点もあるかと思います。我々事務当局のほうといたしましては、管理法の建前とそれから外資法の建前というものは飽くまでその間に性格的に違つております。管理法のほうで今申上げましたように具体的な例はありませんけれども、いつでも入つて来てからあとのやつを面倒を見るという形は、これは現にできておるわけであります。法律的には取扱いができるようになつておるわけです。従つて特に管理法のほうで考えてやるということはこの際改めて行わなくてもできておるわけなのであります。でこの際外資法のほうで取扱いました、そしてそれによつて認められるような条件、これを意に適うようなものであれば、これは仮に管理法のほうで始めから外資法を経由したいでやつて来ましても、あとからこれに応じた取扱いをしてやるということは当然あると思います。これは又同町に外資法のほうで認められるまでには資格を得ておらないような程度のものになりますと、これは当然管理法のほうでもそれに相応した実績をみての取扱いをするということになるべきである。牝に管理法のほうで特別に途をあけてやるとか、そういうようなことは現実にあり得ないものだということになつておりますし、又その必要も全然ない。建前としてもそういうことを、やりますと、おかしいというつもりで、我々といたしましては外資法は外資法の建前でやります。管理法のほうで仮に例がありましても、外資法のほうでの取扱いというものを十分に見てもらつて、これと一歩調を合せてやつてもらうように内部の事務を進めて行くつもりであります。

[後略]