19-衆-大蔵委員会-76号 昭和29年10月26日

昭和二十九年十月二十六日(火曜日)午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 千葉 三郎君
   理事 有田 二郎君 理事 久保田鶴松君
   理事 内藤 友明君 理事 井上 良二君
   理事 山本 勝市君
      大上  司君    大平 正芳君
      田中 萬逸君    苫米地英俊君
      福田 赳夫君    藤枝 泉介君
      小川 豊明君    柴田 義男君
      福田 繁芳君    本名  武君
      春日 一幸君    平岡忠次郎君
 委員外の出席者
        公正取引委員会委員長     横田 正俊君
        総理府事務官(公正取引委員会経済部調査課長)岸川 忠嘉君
        大蔵事務官(主税局税制第二課長)    塩崎  潤君
        大蔵事務官(銀行局特殊金融課長)    加治木俊道君
        大蔵事務官(為替局長)  東条 猛猪君
        通商産業事務官(通商局通商政策課長)  今井  博君
        通商産業事務官(企業局長)       徳永 久次君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
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十月十四日
 委員本名武君辞任につき、その補欠として加藤高藏君が議長の指名で委員に選任された。
同月十九日
 委員宇都宮徳馬君辞任につき、その補欠として有田二郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
 委員小西寅松君及び加藤高藏君辞任につき、その補欠として田中萬逸君及び本名武君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員本名武君辞任につき、その補欠として古井喜實君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員古井喜實君辞任につき、その補欠として本名武君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 坊秀男君及び有田二郎君が理事に補欠当選した。
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本日の会議に付した事件
 理事の互選
 参考人招致に関する件
 税制に関する件
 金融に関する件
 国有財産の管理状況に関する件
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○千葉委員長 これより会議を開きます。
 税制に関する件、金融に関する件、国有財産の管理状況に関する件の三件を一括議題として審査を進めます。
 まず参考人招致の件についてお諮りいたします。金融に関する件につきまして、来る十一月十日の委員会に住友信託銀行の名古屋支店長の平井光治君を参考人として当委員会に招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

[中略]

○千葉委員長 引続き質疑に入ります。質疑は通告の順序によつてこれを許します。小川君。

○小川(豊)委員 私は先般来問題になっておりまするところのアメリカのジヨン・マンと小野田セメントの提携に関する件について質問をいたしたいと思うのであります。
 この問題は、当委員会では数次にわたって論議がかわされて来ておりますけれども、いまだ政府当局の態度が明確でありません。この質問を通じて看取できることは、理論的にも良心的にも賛成ではないが、認可せざるを得ない事態を内部に包臓している、こういう解釈が私どもには下せるのであります。そういうわけですから、数次にわたる質問応答を通じても何の進展も見ないわけで、われわれ委員から見ますならば、当局はただ言葉を濁して、回避しておる、こういうようにしか考えられぬのでありまして、この点に対してますます疑惑を深めて行くばかりであります。直接の関係者はこれに対して不安と焦慮に陥るばかりであろうと思います。すでに問題化して相当の日数もたっておるのですから、はっきりした見解を下すべきではないかと考えるのであります。なぜ一商社の利害に対してわれわれがこんなに論議を展開するかというならば、これは一商社の問題ではなくて、日本の産業、日本の経済が隷属産業の形をとるか、それとも自主性を保持するかにかかる問題でありますし、またひいては民族の発展の方向、あるいはその将来を示唆する問題だ、こう考えるからであります。かつて日露戦争の講和の問題がポーツマスで開かれたときに、ロシヤの経営しておった南満州鉄道の経営が日本の手に移った。当時政府は、これをアメリカの一政商と合併の形で経営することを承諾して契約した。ところがアメリカから大任を果して帰って来た小村全権はこれを聞いて、日本の血であがなった権益をアメリカの極東進出の拠点にすることを憂えて、閣議までひっくり返してその自主性を守ったということをわれわれは聞いておるのであります。ところが今日政府当局は、その自主性を犠性にしてまでアメリカ資本の導入に血道を上げている。その態度はわれわれにはまったく不可解なのであります。なぜそうしなければならないか、しかもこの導入に対して自信と確信を持ってやっておるのではなく、おずおずとして、へっぴり腰で、しかも外資を入れるということに対して深い執念の態度を持っておられるということをわれわれは遺憾千万に考えておる。日米石綿会社の問題に対して、当局の態度はこの点をよく表明しているのでありますが、この問題の論議を通じて今までにわかったことは、外資法による認可の条件、すなわち国際収支の改善に寄与する、日本の技術がこれによって向上する、公益に寄与することが大である、この三つの条件のうち、この問題は日本の技術の向上に寄与するかどうかの一点が認可、下認可の岐路に立っておるのであります。
 そこで双方の製品を工業試験所で比較してみたところが、これには優劣がないということが判明しておる。さすればこの問題の決定の大筋はすでに出ておるのであります。ところが不可解なことには、第一次試験には不備があるからというので、第二次試験を命じた、これとまた符節を合せるように、大蔵大臣も外遊に先だつて、個人としては認可する方針だと言明しておるのです。それ以来当局もまた答弁が濁り始めて来たのであります。
 そこで私どもがお尋ねしたいのは、外資審議会の会長である大蔵大臣は、たとい個人の見解とはいえ認可するという言明をしたということは、これは通産、大蔵両事務当局並びに外資審議会に対して威圧を加える行為であり、不謹慎きわまる謀略的行為であると私どもは言わなければなりません。そこで先般技術院長はこの試験の問題に対して、東京工業試験所は信頼の置ける、日本において最も権威のある試験所であると言明されておるのであります。ところが企業局長は、この試験の結果は予期に反したということも言つておられる、またこの試験は信用できないとも言つておられるのであります。企業局長はどういうことを予期したから予期に反したと言われておるのか、またこの試験所が信用できないということはどういう根拠に立つて言われておるのか、これをひとつお尋ねしたいと思うのであります。
 さらに東条局長にお尋ねしたいのは、外資審議会は諮問機関にすぎないということをこの席上で言われておる。また次の場合には、外資審議会が目下慎重審議してその結論をお出しくださるとも言われておるのであります。この外資審議会の意見に基いて結論を下すのか、それともまつたく単にこれは意見を聞き置くにすぎない、外資審議会の決定なりその権威をどう尊重なさるのか、この点をお尋ねしたいのであります。

○東条説明員 ただいまのお尋ねの外資審議会の性格をどう考えるか、あるいはその審議の結果に対して政府としてどういう態度をとるのかという点でございますが、お言葉の通りに、外資審議会は政府の諮問機関でございます。その意味におきまして、行政委員会が持つておりまするような権限を持つておりませんので、外資審議会の審議の結果が即行政行為ないし行政処分ということには相ならないのでございますけれども、政府といたしましては外資審議会の審議の結果を十分尊重しなければならないことになつておるのでありまして、従いまして過去の外資審議会に付議されました案件につきましては、諮問機関ではございますが、その審議の結果を極力尊重する、もちろん極力尊重ということと諮問機関たる性格の間には法律上はギヤツプがあるわけでありますけれども、今まで処理をいたして来ました具体的な結果を振り返つて見ますと、政府は現在まで外資審議会の審議を十分に尊重して来た、従つて今お尋ねの日米石綿の問題につきましても、できるだけその審議を尊重する、かような建前でございます。

○徳永説明員 先刻御質問の中にお尋ねでございました、私が工業試験所の試験に対して疑義があるというようなことを申したというお話でございますけれども、これは先般私ここて相当詳に私の考えを申し上げたつもりでございますが、速記録にも載つておると思うのでありますけれども、私いまだかつて工業試験所の試験というものにいささかの疑念をはさんだことはないのであります。日本で最も信頼できる厳正公正な試験が行われたということには十分の確信を持つておるわけでございます。ただ私どもこの前申し上げましたのは、試験そのものは最も厳正公正に行われたと思うのでありまするが、試験のデータになります試料のとり方というものが適当でなかつたのじやないかということから、試料のとり方を、本件の目的に照し、この前と異なつた方法をとるということが妥当であるということで、その意味の再検査をしてもらうということでございまして、試験そのものを否定したわけではないのであります。試験の試料採取は、この前の方法は誤つておつたのでわれわれの本件の判断資料として適当かどうかという疑念をはさみまして、新たな試料の採取をやりまして、新たに試験所の試験をお願いしようという手順をとつてもらうことを通達当局と相談してきめたということであります。

○小川(豊)委員 企業局長にお尋ねしますが、今のあなたの答弁を聞きますと、試験所を信用しないということは毛頭考えたこともなければ、そういうことを言つたこともない、こういうことで、これは当然だと思うのであります。また技術院長もこの席に出られて、最も権威のある、信用のおけるところであるということを言明しておられる。ところがこの全商工労働組合、これは通産省関係の職員の労働組合ですが、そこから出ている議案集というものを見ますと、企業局長が思わしい結果が出なかつた、東工試の試験は信用できないといつて再試験を命じたということを言つておるのであつて、今のあなたの言われたこととまつたく反したことが出ているわけです。そうすると、この全商工労働組合の言つておることはうそだあなたはそういうことを言わないのにうそを書いている、こういうことになりますけれども、これはどつちが正しいと解釈していいでしようか。

○徳永説明員 私そういうものにどういうことが載つておるか存じませんが、全商工の連中とも会つたこともございませんし、従つて今お話のように載つておるとすれば、明白に事実無根の記事だと思います。私の見解というものは、先般この委員会で申し上げましたように、速記録にも正確に載つておるというふうに考えるわけでございます。

○小川(豊)委員 当然そういう御答弁だと思います。私もあなたからそういう御答弁をされるのではないかと思いましたから、この組合の諸君と会つて、だれがこういう記事を書いたか、この記事に対してはだれが責任を負うかと聞きましたら、委員長、副委員長、一人でなく大勢が会つてそのときに聞いたのであるから、その席上に出た人はみな責任を負います。こういうことを言われておる。そうすると、これはあなたの意見と全商工の意見とは完全に食い違つておる。従つて私は、この問題についてはいま一度この諸君を呼んで、場合によつてはあなたとこの点をはつきりさせなければならぬ、かように考えております。
 次に為替局長にお尋ねするのですが、六月一日の外資審議会において、新しい事態が見出されるまではこの問題は保留する、こういうことになつておるように聞いておりますが、この六月一日の外資審議会後において新しい事態というものが何かできて来ておりますか。それから試験の結果、大差がなければ導入は認可しないというような言葉をあなたが言われたかどうか知りませんが、そういうことは、日米石綿の問題の真相というこのプリントが私どものところにまわつて来ておる。この中にこういう言明がされておるということになつて来ると、国際収支の改善の問題でもなければ、あるいは公益に寄与する問題でもなく、技術の進歩に関する問題の一点に要約されておるというふうに申し上げたのは、こういう言明をされておるがゆえにこういうことを申し上げたのです。こういう言明をされた記憶か何かございましようか。

○東条説明員 外資審議会で審議せられましたときに、新たな資料が出て来たならばたらためて審議をしようという結論になつておりますことは、小川委員のお話の通りであります。そこで私は新たな資料、新たな事態ということは二つだろうと思います。一つは従来の試験の結果では、ジヨンス・マンビルの技術に一日の長があるのだということが試験所の結論であると承知いたしておりますが、その技術面に関してさらに新たな資料がここに出るかどうかということが一つと、いま一つは国際収支の問題であります。今小川委員は国際収支の問題でにないというお話でありましたが、私は必ずしもそう考えておりませんので、会社側でもいろいろと検討いたしておりまして、この日本の輸出増進ということに今回の技術なり資本の提携がはつきり役立つということがあらためて立証せられるということであるならば、これはやはり新たな資料であり、新たな事態である。その意味におきまして、新たなる資料、新たなる事態と申しますのは、技術面と国際収支の面、二つながら今日としてもなおある、こう考えております。
 それから後段の仰せの、私個人が何か技術関係の試験の結果がもう少しはつきりしなければ認可できないとかなんとか、それに類したことを申したかどうかという点でありますが、私はこの種案件のみならず、外資審議会に付議せられまする案件は、外資審議会の審議の結果をまたなければ、関係者は意見を軽々しく申すべきものでない、こう考えておりますがゆえに、今小川委員の御指摘になりましたような趣旨の、つまり外資審議会の意見がはつきりしないのに、為替局長としてこの件が認可できるとか認可できないとか、さようなことは申すべき筋合いのものでないと確信しておりますので、そういうことは記憶しておりません。もし何月何日、だれに会つてこうだということがございますれば、あらためて自分の記憶をとりもとしてみますけれども、ただいまのところは記憶がありません。

○小川(豊)委員 この点は私もまだこれを見ただけで、これを書いた人から聞いておりませんから、この点は先ほどの企業局長に対するようなことははつきり言えないわけです。それは私の方で調査いたします。ただこういうことは、試験の結果大差がなければ導入は認可できないのだというような言葉であつたということがここにはつきりうたわれているところを見ると、その後における国際収支の問題とかなんとかいうのは、私が先ほど冒頭に申し上げたように、どうしても認可しない事態というものは内部に包蔵してしまつておる、その認可しなければならない事態に持つて行くために、国際収支の改善とか、そういう問題があとからくつついて来るので、最初はあなたの方はそういうことはお考えになつておらなかつた、試験の結果だけで決定できると思う。ところが試験の結果優劣がないということになつて、そういうことから国際収支の改善に寄与するという点まで結びついて来ておるのではないか、こういうふうに一連の経過を見るときに考えられるのであります。従つて今日この試験の結果に大差がなければ、導入は認可しないというようなことを言われた、そういうことを言わないという問題がここに出て来てしまうのです。私も、この点はまだこれを書かれた人から聞いておりませんから、一応あなたがそういうことを言われたか言われないかということだけをお聞きして、あとに譲りたいと思います。

[後略]