19閉-参-大蔵委員会-4号 昭和29年09月08日

昭和二十九年九月八日(水曜日)午前十時五十八分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           藤野 繁雄君
           杉山 昌作君
           菊川 孝夫君
           東   隆君
   委員
           青柳 秀夫君
           木内 四郎君
           白井  勇君
           土田國太郎君
           豊田 雅孝君
           前田 久吉君
           成瀬 幡治君
           森下 政一君
           井村 徳二君
  国務大臣
  大 蔵 大 臣  小笠原三九郎君
  事務局側
   常任委員会専門員       木村 常次郎君
   常任委員会専門員       小田 正義君
   説明員大蔵省主税局税制第一課長    白石 正雄君
   大蔵省理財局長        阪田 泰二君
   大蔵省銀行局長        河野 通一君
   国税庁長官          平田敬一郎君
   中小企業庁振興部長      秋山 武夫君
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  本日の会議に付した事件
○租税、金融制度及び専売事業等に関する調査の件
 (租税及び金融問題に関する件)
 (大阪証券取引所の争議問題に関する件)
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[前略]

○委員長(西郷吉之助君) それでは只今小笠原大蔵大臣が御出席になりましたが、大臣に申上げておきますが、先般来今日で四回目の委員会を開いておりまして、主として税制問題、又中小企業金融の問題を議題としておりますので、これらに関しまして大臣より御発言がありましたならばこの際よく御説明願いまして、その後におきまして各委員から御質疑を願いたいと悪います。

[中略]

○成瀬幡治君 あなたが行つて、通貨の問題、これは一つ大きなネックですから、これを一つやつて頂くことは非常にいいことだと思う。バトル法につきましても、この間四十二か幾つか緩和されたわけですね。併し、私たちが聞いているのは、例えばイギリスや或いは西ドイツのココム協定ならココム協定を若干緩和したい、もう少しやりたい。併し、端的にいえばアメリカが非常に強硬に反対しておるために、例えば三輪車の問題にしろ、オート三輪の問題にしろ、貨物自動車にしろ、そういうようなところにネックがあつて、非常に困難だということを聞いておるから、一つあなたが、非常にいい機会だと思うから、そういうイギリスや西独も破りたい、緩和したいという方向にあるなら、これが戦略物資だとは思えないのでもうちよつとやらしていいわけですから、是非こういう点で努力して頂いて、これを緩和して頂くことをお願いをしたいと思います。
 続いてそれと関連して、中小企業の育成というようなことに関連して、外国資本が今相当入つて来て、例えばミシンの問題にしろ、石綿の問題にしろ、かれこれぼつぼつといろんな問題がある。これを通産省の問題だと、こういえばそれまでかも知れませんが、大臣としては、こういう問題について、どういう見解を持つておるか。或いは今後これを閣議などで大いに主強して、例えば五十対五十という比率がいいのか、そんな問題についてどういうふうにお考えになつておるか、又やろうとするのか。

○国務大臣(小笠原三九郎君) それぞれ具体的問題についての……。

○成瀬幡治君 これも私は中小企業を守るという立場から一つ。

○国務大臣(小笠原三九郎君) よくわかつております。これは私も中小企業を守るということは非常に必要だと思いますが、例えば今お話になつたミシンのごときもので言えば、これは私は全部まだ相談を受けたわけではありませんが、私個人の意見を述べさせて頂けば、ミシンに外資を入れる必要はないと私は考えております。というのは日本のミシンは相当外国へ輸出しておるのでありまして、アメリカ等へも出ておるのです。アメリカはどこへ行くか知りませんが、相当出ておる。そういうような事実もあり、又日本でミシン業というものは相当進歩しておつて、よその技術をそう必要とするようなことはないように私は思つております。そうすればやはり日本のこれに携わつておる業者に対して失業その他のことのないよう措置するということが政治ではないか、こう私は考えておるわけであります。ただこれは一般論を特に言わして頂けば、技術が非常に向うは進んでおるものはこれは日本に入れたらいいと思います。余り進んだ技術を、日本で鎖国主義でやつておると、丁度戦争のあの軍閥跋扈時代のようなもので、自分ばかり何だか進んでおると思つてあとから見れば全然世界からとり残されておつたという問題もありますので、余り経済的に日本の立場を守るに急にして一切鎖国経済、鎖国主義をとることは私はよくない、やはり進んだ技術を飽くまでこれは導入すべきだ、こう思いますが、特に導入する必要のないようなもの、例えばミシンのごときものについてお話になるなら、これは私は日本のミシンは相当世界的水準に達しておると思う。従つて大資本を持つて来てそれがかれこれ日本の市場に対して脅威となるなら、さようなことは避けたい。私自身はさように考しえております、但しどうも自分の所所管で。ございませんのでミシンのことについてまだ相談を受けておりませんが、私の意見だけを申述べさせて頂きます。

[後略]