19-衆-通商産業委員会-64号 昭和29年08月14日

昭和二十九年八月十四日(土曜日)午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長代理理事 中村 幸八君
   理事 福田  一君 理事 山手 滿男君
      小金 義照君    始関 伊平君
      土倉 宗明君    笹本 一雄君
      長谷川四郎君    柳原 三郎君
      片島  港君    加藤 清二君
      伊藤卯四郎君    川上 貫一君
 委員外の出席者
        大蔵事務官(主税局長)    渡邊喜久造君
        大 蔵 技 官(主税局鑑査課長)      木谷 忠義君
        通商産業事務官(通商局通商政策課長)    今井 善衞君
        通商産業事務官(重工業局次長)       小山 雄二君
        通商産業事務官(軽工業局長) 吉岡千代三君
        通商産業事務官(繊維局長)  永山 時雄君
        通商産業事務官(鉱山局長)  川上 為治君
        通商産業事務官(石炭局長)  齋藤 正年君
        中小企業庁長官        記内 角一君
        通商産業事務官(中小企業庁振興部長)    秋山 武夫君
        労働事務官(労政局長)           中西  實君
        労働基準監督官(労働基準局長)       龜井  光君
        労働事務官(職業安定局失業対策課長)    村上 茂利君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 越田 清七君
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本日の会議に付した事件
 中小企業、石炭鉱業及び繊維等に関する件
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○中村(幸)委員長代理 それではこれより会議を開きます。
 咋日に引続き、通商産業行政に関し調査を進めます。質疑を許します。始関伊平君。

[中略]

○伊藤(卯)委員 川上局長に特にこの際私奮起を促しておきたいと思いますのは、さきに国家が一億三千万円の助成金を出しました。やはりこれは出しつぱなしということでなくて、これはいわゆるポンプの迎え水であつて、会社が自己資金なりもしくは国家の融資なりを受けて、そうして国家援助の足らざる分をみずからの補いによつて開発計画をやれということが、当時の要請である。従つてこの際開発銀行なりその他国家機関からの会社に対する開発への融資資金については、鉱山局長が特にお骨折りをさるれことが、一億三千万を出した意義を一層成果あらしめることであるから、この点をひとつ局長に強く要望しておきたい。
 それから、帝石に政府代表を意味して重役を入れて国家目的に沿うようにということは、これはこの委員会全体の要請といつてもよかつたのである。そういう意味において岡田氏を入れられたとするなら、私どももこれには賛成である。従つて、帝石のみにくいああいう状態を再び起さないように、人事とともに計画事業が完全に遂行されるように、ひとつ十分監督鞭撻をしてやられるように、この機会に局長に強く要望しておきたい。
 最後に軽工業局長に一点だけお尋ねいたしますが、これもさきの国会で十分論議されたことであるから、もう内容的に申し上げる必要はありません。御存じの日米石綿に関して、この会社を成立させ、あるいはこれに外貨を導入をするかどうかという問題について、われわれがさきに論議をするまでの政府側の意見としては、アメリカ側からの製品が、日本の製品と比べてどこがいいかという長所が明確にならぬという点が一点。それからせつかく輸出向けにつくても、輸出先がはつきりせぬ。こういう点から、外資導入等の委員会では、ちよつと許可が与えられないでおるという報告を聞かされておつたのである。ところがその後、この八月十一日に、さらにアメリカ側とのそういう製品について再試験をして許可をするかしないかということをきめようとしておられるということを聞くのであるが、試験場でもかなりしばしば繰返して、試験をされたこの品物を、またさらに再試験をされるという意味は、一体どういう意味のためにやられるのか。あるいは許可をしないという終止符を打つ意味において再試験をされるのか、あるいは、品物の優劣の差がわからぬ。国際的にも売り先の市場がわからぬし、国内的にもあり余つているのだから、こんなものを再び入れて、国内産業を圧迫するのは許されない。しかしながら行政措置上は非常に慎重に慎重を尽した結果、これはいかぬという終止符を打つ意味においてそういうことをやられるのか。何とかして、どこかに優秀であるということを見出して許可を与えようという意味において通産省が無理に何べんも何べんも試験をして、そういうところに持つて行こうとしていられるのか、この辺のいきさつについて、ひとつ政府側の腹のあるところを伺いたい。

○吉岡説明員 お答え申し上げます。御承知のようにこの問題は正式に日本銀行に申請の出ましたのは昨年の十二月でございます。それ以前における最初の実際上のいろいろな問題の発生からいたしますと、すでに一年以上いろいろ論議が闘わされておるというように承知いたしております。ただいまお話のように、外資委員会におきましては、本年の五月から両三回にわたりまして審議をされたわけでございますが、結論としてまだ十分決定を見るに至つておらない。さらに通産省においていま少し諸般の点について検討した上で意見を申し述べてもらいたいというような形において現在保留になつておる次第でございます。そこで内部の問題にわたりまして恐縮でございますが、関係の担当局長もかわりまして、私も実は最近にこの問題を取扱うことになつたわけでございますが、私といたしましては、いずれにいたしましても十分の心証を得た上で、さらに意見を述べさせていただきたいということで、現在、いろいろ関係局と打ち合わせました諸般の点につきまして、さらに具体的に検討を進めておる次第でございます、その一環として、ただいまお話の比較試験につきましても、実は前回の試験の方法並びにその結果につきまして、関係者の解釈と申しますか、これが必ずしも一致していない点がある。もちろんこういう技術的の問題でございますし、ことに一方は現実に製品を出しておる。片方は今後入れようとする外国の製品を試験の材料にしておる。それらの点につきましても、その試験の結果そのままをただちに優劣の判断に資し得ないという点もあるかと思いますが、実情はそれ以上に著しく解釈が違つておるという関係もございまして、その意味で私ども関係者としてこの問題の処理について確信のある心証を得る意味におきまして、さらに比較試験をもう一回やりたいということにいたした次第でございます。こういう具体的案件の処理としては、もちろん急いでやるべきだと思いますが、何分にも非常に長期間にわたつていろいろ問題のあつた案件でございます。特に私として実は率直に申し上げまして遺憾に考えておりますところは、技術的の関係その他企業を認めるべきかいなかという点について意見のわかれる点はやむを得ないという関係があるかと思いますが、関係者間におきまして気持の上でも必ずしもしつくり行つていない点がございます。従つてこの点は少くともそういう感情上のことで必要以上に意見が食い違うということはぜひなくしたいという考えを実は持つておるのであります。具体的に申し上げますと、実はこの点につきまして関係の最も深いと思われます会社の方にお出でを願つていろいろお話合いをしたいというようなことですら必ずしも円滑に行かないという状況でございます。この点につきましては、従来の処理の上で、われわれの側においても反省すべきものは十分に反省いたしたいと思いますから、少くとも気持の上では虚心坦懐な基盤の上でお互いに十分検討いたしまして、また私どもとしても十分確信のある意見を申し述べまして処理をいたしたい、従いましてただいま御指摘のこの再試験の目的はこれを入れる材料を得るためにやるのがあるいは反対であるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、そういう先入主なしに私としては実施いたしたい、かように考えております。

[後略]