19-衆-大蔵委員会-69号 昭和29年08月11日
昭和二十九年八月十一日(水曜日)午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 黒金 泰美君 理事 有田 二郎君
理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
理事 井上 良二君
大上 司君 苫米地英俊君
福田 赳夫君 藤枝 泉介君
宮原幸三郎君 三和 精一君
福田 繁芳君 佐々木更三君
柴田 義男君 春日 一幸君
平岡忠次郎君 山村新治郎君
委員外の出席者
総理府事務官(自治庁次長) 鈴木 俊一君
大蔵事務官(主計局次長) 正示啓次郎君
大蔵事務官(主計局給与課長)岸本 晋君
大蔵事務官(主計官) 谷川 宏君
大蔵事務官(理財局長) 阪田 泰二君
大蔵事務官(管財局長) 窪谷 直光君
大蔵事務官(為替局外資課長)太田 亮一君
中小企業金融公庫理事 中野 哲夫君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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八月十一日
理事淺香忠雄君の補欠として有田二郎君が理事
に当選した。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
税制に関する件
金融に関する件
国有財産の管理状況に関する件
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[前略]
○千葉委員長 次に税制に関する件、金融に関する件、国有財産の管理状況に関する件の三件を一括議題として審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上良二君
[中略]
○井上委員 東条為替局長が来ていないようですから、外資課長さんにちよつと質問をいたしたいのですが、先般本委員会で日本の小野田セメントとアメリカのジヨン・マン石綿会社との合同によります日米石綿会社の設立に関連して、これがわが国のいわゆる中小石綿会社の運営に重大な関係があるというところから、大蔵大臣及び所管の関係者に本問題について質問をいたしましたところ、国内産業を圧迫するがごとき外資の導入は全然しないし、かつ石綿会社の設立というようなことは考えてない、かような答弁がございました。また外資の審議会においても、事態はなかなか他にも影響するところがあつて、この外資導入を許可するということにはなかなか意見はまとまらぬ、こういう考え方の一つの答弁が局長からございました。ところが最近これをことさらに設立しようという運動が依然として執拗に行われて、日本にこれの市場を求めれば日本の産業を圧迫するから、日本でつくつたものは全部輸出をする。輸出をするならば日本に何ら問題はないじやないかというように、輸出を条件にして、近く開かれます委員会ではさような条件のもとにこれを決定するがごとき方向にきわめて慎重な態度で動いておるということが、中部経済新聞に報道されておるのですが、さような事態になつておりますか。この点を一応当面の外資審議会の、多分幹事をおやりになつているだろうと思いますが、外資の方の責任者であります太田課長に御説明を願いたいと思います。
○太田説明員 ただいま御指摘になりました日米石綿の問題でございますが、これは前会において為替局長からたしか御説明申し上げたと思うのでございますが、現段階は今先生もおつしやておられましたように、審議会におきまして慎重に審議をされているところまで行つております。ただ新聞の記事に出ておつたということで御引用になりました事例は、私幹事をいたしておりますけれども、大蔵省並びに当面の関係者、通産省でございますが、幹事の方といたしましては、そういう動きは具体的に何ら承知をしておらないのでございます。全部各委員の自由な御判断に実はおまかせしている段階になつておりまして、まだその面で結論が出ておらないというところまでしかわれわれとしては承知いたしおりません。
○井上委員 そういたしますと、そういう運動や、そういう計画や、そういう意図を持ち、そして外資審議会でそういう方向で通してもらうということについては、あなた自身としては、そういうことを感づいてもおらなければ、そういう情報もキャッチしていないということは、一応今の答弁で明らかになりましたが、かりに国内には全然販売をしない、輸出をするのだ、こういうことになりました場合には、ここれは大体許可をいたす方向にありましようか。一応合同の新会社ができて、輸出を目的にしてつくるということにして会社をつくり、今度輸出をしようと思つてもなかなか値段が合わぬとか、あるいは販路がそううまく行かぬとかいうことから、国内に滞貨をして、それを国内の市場に出すということがなきにしもあらずだし、またそういうことは多分に起り得る実際の現象でないかと思いますが、そういう輸出をするという美名に隠れて新会社をつくつて——国内の全石綿関係団体が反対し、そうしてあらゆる労働組合がこれに反対しております実情を考えて、あなたの方はさような美名の裏に隠れて新会社を設立することに審議会は進むとお思いになりますか、進まぬとお思いになりますか。あなた自身幹事として、さような方向には断固として反対する、こういうおつもりでおりますか。これから上になつて来ると、ちよつと政治的に多少考えなければならぬからむずかしいと思いますが、事務当局として、特に会を主催している幹事として、そういう方向に持つて行こうとする動きがあるということを明らかにしました以上、そういう方向へはわしの方は絶対反対だ、こういうおつもりでおりますか。その点を明らかにしていただきたい。これが一点。
それからその次に、これと似たもので、シンガー・ミシンが国内のパイン・ミシンと提携をいたしまして、これは聞くところによると、前大蔵大臣の向井忠晴氏が先般総理の顧問役というか、相談役で、総理が外遊するに先だつてアメリカへ向井さんが行きまして、そのみやげということがもつぱら伝えられておりますか、このシンガー・ミシンの国内進出に対して、これと同じように日米合同のミシン会社をつくろうという動きが最近相当強くなつて来ている。これもやはり外資を輸入し、非常な機械を入れて大量的にこのミシンをつくる、その結果は、国内におけるミシン業者に大きな圧迫を加えて、日本のミシンは御存じの通り今日まで相当外貨をかせいで来ておりますが、これらの上に非常な影響を来して、反対に向うさんにお得意を奪われるという状態になつて参りますが、これらの問題について、あなたは外資審議会の幹事としてどうお考えになりますか。またこの問題については、お帰りになつて局長にもぜひ御相談を去れて、さような国内産業を圧迫するがごとき外資の導入及び新会社の設立には、大蔵省としても断固反対という立場を明らかにしてもらいたいが、さようなことができますか、この二点を伺いたい。
○太田説明員 最初の御質問の、日米石綿が輸出だけでやつて行つた場合にこれを認めるという方向に行くものだろうかどうかということでございますが、実はあの当初の申請の説明の中には、相当部分を輸出するんだということは書いてあるわけでございます。その後もいろいろ説明の中間段階におきまして、場合によつて海外の輸出は非常に困難であるというふうに心配するなら、向うの親会社でございましたか、ジヨンス・マンビルの方で全部日米石綿の製品を買い取つてもいいというようなことを漏らしておる、そんな話も聞いておつたわけでございます。ただそういう事態になつて参りました場合に、国内への——輸出を目的とすれば横流れということになりましようが、これを完全に防止する手があるかどうか、また相手方にそういつた誠意を期待することができるかどうかという点、それから、はたして目的とするように相当額の輸出、つまりわが国からいえばある程度の外貨の獲得ということになりますが、これが期待できるかどうかという二点が、やはり問題として残るわけでございます。国内への横流れ防止ということになりますと、現実に製品を販売していかぬということは、これは現行法としてチエツクする方法がございません。やはります原料として石綿を輸入しなければならない、これの輸入割当の場合に、国内へ出しておるからだめだといつてとめる、そういう行政措置の一点にかかつて来るのではなかろうかと思うわけであります。
それからもう一つ間接的に押える方法といたしまして、合弁会社でございますので、向うの持株についての利潤の配当を外国へ送金するということがございますが、それについて、輸出をした場合でなければ向うへ送らせない、こういう条件をつけることも、これは可能でございます。しかしいずれにいたしましても、それらの点だけでは完全に活動を防止するというところまでは、あるいは行かないのではないかという懸念は残るかと思います。
それから輸出の見込みの方でございますが、これはいろいろ見方によつて違うようでございます。日米石綿社側の説明では、いろいろこういう方面、こういう方面に期待できるという資料を持つて参つておりますし、また反対の意見を持つておられる方からは、とても現状では、そういつたところへは伸びはしないという意見で、これまた資料をお持ちになつておるわけであります。この辺になりますと、非常に判断がむずかしい問題になつて参ります。現に今審議会の方で、各委員に慎重に御審議を願つておるという点も、輸出ははたしてどの程度できるものか、かりに国内をあの手この手で相当押えて、もつぱら輸出の方に向ける、それによつて相当かせぐことができるということでなければ、わざわざこういつたものをつくるに当らぬじやないかという結論になりますので、その点の慎重な御検討を願つておるわけでございます。今のようにもつぱら海外へ向うということをいわれて参りました場合におきましても、やはりわれわれとしては、その点を十分についてみなければならない。そう簡単に、こういう説明があつたからということだけで結論を出すことはなかなかできないのではなかろうかと感じております。
それから第二の、これは別個の会社の例でございます。大分いろいろ新聞その他にも出ておりますので、問題を御承知になつておると思いますが、シンガー・、ミシンとわが国のパイン・ミシンとの提携によつて、シンガーの販売網を通じまして大いに海外に売り出そうということに趣意書は書いてあります。一応そういう形でなければむろん外資法に基きます申請は受けられないかつこうになるわけであります。これにつきましては、先ほどの日米石綿の場合と一つ違つた面があるわけであります。それは、日米石綿の場合には、わが国のこれに代替するような石綿製品は従来ほとんど海外には出ておりません。ところが、ミシンの場合には、わが国のミシンの生産の大部分、八〇%くらいにもなるかと思いますが、これは全部海外に輸出しておりまして、一部はアメリカにも出ております。そういう点、非常に日米石綿の場合と条件が違つておるように感ぜられるわけであります。これは何分にも、まだ私どもの方といたしましてもまた通商産業省の方におきましても十分に検討しておりません。と申しますのは、申請が正式に出て参りましたのはつい最近でありまして、まだわれわれの方で説明を聞いておらない段階でございます。また最終的には、技術の面では通産省の方か、スタックの方でも検討していただくことになるわけであります。技術面の差が一体どの程度のものであるか、わが国の現在の業界でもつて一応世界的水準に達しておるというふうに自負されておるわけでございますが、申請の方の内容では、まだまだその間にギヤツプがあるのだということになつて、この点に一つの問題がある。さらに本件につきましては、ミシン、特に家庭用のミシンでございまして、基礎産業、あるいはそれに類するような重要産業という面にはちよつと当りかねるかと思います。本件を取上げるだけのメリットがあるとすれば、国際収支の改善、言葉をかえていいますれば、この場合には輸出の増進に大いに役に立つということでなければならぬわけでございます。現在すでに日本の製品が出ておるわけでありますが、本件がかりに提携ができて実施された場合に、従来のわが国のミシン製品の輸出に、さらにこれが別の階層というか、あるいは別個の相手国というか、そういつた新しい分野を開拓するなり何なりして、全然プラスのものになつて行くということであれば、これは一つの利点があるが、これが単にわが国が従来出しておりましたものに置きかわるというようなことであれば、全然意味がない。そこで、究極の問題は日米石綿の場合と同じように、他に影響を与えないで輸出をさらにプラスすることができるかどうかというところに行くのじやなかろうかというふうに、われわれ実は感じおるわけであります。この点の検討、これは技術面並びにシンガーの商標と申しますか、それの持つている値打ち、それからわが国ミシンか海外の市場においてどういつた評判をとつておるかというような点等をにらみ合せまして、検討を要することであると思います。この辺が十分に有利だというふうに結論が出ない限り、やはりこれもなかなかむずかしい問題である、かように感じております。
○井上委員 よくわかりました。あなたは幹事役ですから、ここではつきりどうするという言明はなかなか困難で、審議会がどう結論をつけるかということで、実際はあなたとしてはどうにもならぬことではないかとも想定はされますが、しかしながら委員会は近く開いてこの問題を審議する予定になつておりますか。たとえば今の日綿の問題を最近議題に供して、この結論をつけるような動き方にあるということがもつぱらいわれているのですが、ここ二、三箇月に委員会を開いて、この問題の解決を委員会としてはばかろうとしておりますか、それともそう簡単には解決はつかぬという見通しをあなたは幹事として各委員の意見を総合して御判断になつておりますか、その見通しを一応伺いたい。
それからあとのミシンの問題ですが、これは御存じの通り、もしこのシンガー・ミシンとパイン・ミシンとの合同のミシン会社ができて、日本でどんどんシンガー・ミシン型を生産されて、これが東南アジア方面にどんどん出ました場合は、日本の弱小のミシン業者などというものはひとたまりもなく倒れてしまい、市場が全部失われてしまうことは明らかであります。現に私どもの推定するところによると、ミシンの輸出は年間八十億から百億になつているといわれている。ここまで日本のミシン工業が発展して外貨を獲得するまでになつて来ておりますから、彼らの持つておるよい技術は大いに導入し、また生産施設の近代化への道は大いに政府も力を入れなければならぬが、向うの資本をもつて、そうしてアメリカの一つの手先になるような会社をつくるということは、もつてのほかであります。ぜひこの点は外資審議会においてもつと日本の産業の立場と国民生活と、あわせて外貨の獲得という面を考えてひとつ御検討願うように幹事としてごあつせんを願いたい、こう私は思うのです。
そういう意味で、先ほど申しました第一の日米石綿会社の設立に関する外資の導入に関連する問題を外資審議会は近く議題に供することになつておりますか、それとも結論はなかなかそうは簡単につかぬとあなたはお考えになつておるか、これをもう一度ごめんどうでしようけれどもお答え願いたい。
○太田説明員 外資審議会におきまして日米石綿の件が議題に供されて、結論が出される段階になるかどうかという御質問でございます。先ほどちよつと説明のときにその点はつきり申し上げなかつたかもしれませんが、審議会自体として、幹事会の段階から審議会の段階にすでに移りまして、審議会の各委員の御判断にお願いしておりますので、委員の方でこの件についてそろそろ結論を出してもいいというように御判断になれば、問題点としては出て来るかもしれませんが、ただあらかじめ議題として幹事会の方から持つて行つて用意をするということにはなつておらない。形式的に言えば、ずつと継続審議に実はなつておるわけなのでございます。そういう状況でございます。
それからなおこの際一言申させていただきたいのは、毎々井上先生からわが国の輸出産業全般にわたる非常な御鞭撻をいただいておりますが、われわれ外資を導入いたします場合にも、今お話のありましたようにわが国の産業の力、あるいは現在ただちに及びませんでも、努力によつて容易に追いつき得る程度のギヤツプ、そういう段階のものにつきましては極力と申しますか、原則としてそういうものは許可しない、これがわれわれとしてのとるべき立場ではなかろうかというふうに感じられます。幹事会といたしましては、私が出ております限り、その趣旨は十分に体して努力をいたすつもりでございます。できますれば今後とも御鞭撻を賜わりたいと思います。
○春日委員 ただいまの問題に関連をいたしますが、この日米石綿の問題があいまいな状態に置かれておりまする事柄から、次から次へと同じようなケースの問題——技術の導入とか、外資の導入とかいうような形で申請運動が次々と新しく頭を持ち上げて来つつあるのではないかと思われるのであります。ただいま井上委員からお話のありましたパイン・ミシンとシンガー・ミシンとの合弁の問題がありまするし、さらには明治製パンがアメリカの製パン会社の大資本と提携することによつて高度の製パン機械を輸入するような計画もあるようでありますが、こういうようなぐあいに次々といろいろな製品産業の中において、アメリカの技術とアメリカの資本によつて、高度に機械化された生産に移されるというような形になつて参りますと、現在日本にありますところの産業はほとんど手をあげざるを得ないような状況になるのではないか、このことを通産委員会も本大蔵委員会も最も深く憂え、心配をいたしておるのであります。先般そういうような所論の上に立ちまして、東条局長に対してわれわれが質問いたしましたことは、いずれにしても日本の産業がアメリカの植民地産業に堕し去つてはならない。たとえばインドに高碕達之助氏が昨年参りまして、目印合弁の鉱山、製鉄事業について話合いをしたけれども、向うは断然これを蹴つた。あるいはまた南方諸地域においても、開発会社等の問題でいろいろのプランは立てられておるけれども、これまた経済の自立と独立の完成は一心同体の事柄であるとして、それぞれの国国がこれを蹴つておる。これはやはりわが国におきましても、経済上の支配がアメリカによつて行われれば、やがてそこから政治の支配が行われる。われわれはただ単にコマーシャル・ベースとして限つてこれを論じておるのではないのでありまして、やはりわれわれはどんなに困難であるとしても、その困難を乗り越え、追いついて、アメリカと競争できるだけの研鑽をみずからの力で積んで行かなければならないのであつて、われわれの調査によりますと、浅野セメント、スレートその他において、やはりフレキシブル・ボードの研究もずいぶん積んでおる様子であります。いわんやシンガー・ミシンに匹敵するソーイング・ミシンのこの精度の問題等も論ずるまでのこともありません。さらに製パン事業等におきましても、これはなるほどアメリカに相当の遅れはありますけれども、しかし相当の遅れがあるとするならば、粉食について政府が相当の考え方を持つて腹をきめるならば、これまた相当の資金を導入しさえすれば、国内のそれぞれの業者の手によつて、それぞれの目的、必要とするところの要請はかなえ得るわけなのであります。従いまして私どもの強く強調いたしたいことを、あなたは幹事ですから、お帰りになりましたら特に東条君にお伝えを願いたいのだが、この日米石綿の問題は当然六月一日に結論が出るべくして出ないで、しこうして七月、八月と二箇月ずれておる。ずれておる間にシンガー・ミシンの問題が出て来、この明治製パンの問題ができ、今度は電気機械の問題ができ、いろいろな問題がアメリカと日本との資本の提携によつて高度の機械生産、大規模生産というような形になつて来れば、しまいには収拾のつかないことになつて来る。一つを許して他を許さぬということには参らぬでありましよう。そうすれば、今あなたが言われた基礎産業以外の一切の産業は、資本的にアメリカに従属せざるを得ない。結局日本は植民地経済になり、植民地そのものに堕し去つてしまうのだ、こういうことをわれわれは心配をいたしておるのであります。従つて東条君に特にお伝え願いたいことは、六月一日の委員会の賛否は、大体認可の方針をとつたものが、大蔵、通産、外務の三者、反対の方針をとつたものが経審並びに民間側、三対六であつたそうだが、しかしこれは審議未了、継続審議という形で結論が出てはいないそうであります。しかしそんなに結論が出せないような問題ならば、これを不許可にすればよろしい、こういうような申請は一応却下する、そうして問題を明確にしてやる。そうすればあと次々とミシンだとか、電気機械とか、ハンとか、きびすを接して同様のケースのもとに問題をさらに新しく起して来るということはないわけなのです。問題を明確にして処理するために、ひとつすみやかにこの問題に結論を出して却下する。却下しなければ当分これを審議会にかけないで、何らかの形で、この問題についてもうそういうばかげた方針をとらないものであるということを、日本の産業界に対してよく納得の行けるように布告をしてもらいたいと思うわけであります。いずれにいたしましても、先般、東条さんの言質によりますと、七月二十一目の委員会にかかるかということを質問いたしたら、当分特別の新しい条件がなければかける意思はありませんし、もちろん七月二十一日の委員会にはかけませんということであつた。それではいつかけるんだと言つたら、その見通しはありませんということであつた。それで、聞くところによると、今度は国会の休会中に結論を早く出してしまえというようなことで、八月の十七日か何かにその委員会が持たれるそうでありまするが、その委員会で結論を出して許可の方針へ強引に持つて行こうというような動きがあるようでありまするけれども、問題はもつてのほかのことであり、もしそういうような前例が開かれますると、ミシンも許さなければならぬ、パンも許さなければならぬ、電気冷蔵庫も許さなければならぬ、いろいろな問題全部許さなければならぬということになると、今度はたいへんなことになり、東条局長の首つ玉を百や五百ねじり切つても問題の解決がつかぬ形になるわけであります。このことをひとつ十分お伝え願いまして、日本の労働者、日本の中小企業者が、このことについてずいぶん心配をしておる、だから早期にこの問題は結論を出す。その結論たるや、そういうばかげた方針はとらないで結論を出していただきますことをお伝え願うことを強く希望いたしまして終りといたします。
○福田(繁)委員 先ほどから自由党、社会党、改進党の方から、目下の急務であるところの中小企業に対する金融対策を、ぜひとも大蔵並びに通産両省の首脳部をこの委員会に招致して、根本から検討を加えてみたい、こういう熱心なるお声が全会一致でありますので、委員長は可及的すみやかに理事会を開かれまして、これを決定せられんことをお願いします。
本日はこの程度にて散会されんことを願います。
[後略]