19-衆-通商産業委員会木材利用…-2号 昭和29年03月11日

昭和二十九年三月十一日(木曜日)午前十一時二十六分開議
 出席小委員
   小委員長 中崎  敏君
      小平 久雄君    首藤 新八君
      中村 幸八君    笹本 一雄君
      山手 滿男君    永井勝次郎君
 出席政府委員
        通商産業事務官(軽工業局長) 中村辰五郎君
 小委員外の出席者
        議     員 田中 龍夫君
        農 林 技 官(林野庁林政部林産課長)   田中 重五君
        通商産業事務官(軽工業局建材課長)     前島 敏夫君
        参  考  人(森林資源総合対策協議会常務理事)田中 申一君
        専  門  員 谷崎  明君
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本日の会議に付した事件
 木材利用合理化対策に関する件
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[前略]

○中崎委員長 それではそのように決定いたします。
 本日は木材利用合理化に関する件について森林資源総合対策協議会常務理事、田中申一君より、参考人として御意見を承りたいと思います。田中申一君。

○田中参考人 森林資源総合対策協議会といたしまして、木材利用合理化問題をどういうふうに進めておるか、また今後どういうふうにこれを進めなければならないかということにつきまして、御説明申し上げます。
 < 略>
 お手元に配付いたしました木材利用合理化推進対策一覧表というのをごらんいただきたいと思いますが、現在私たちが特にこの合理化方策の中で効果があると思う問題を取上げて表にいたしましたのがこれでございます。
 まずまくら木につきましては、< 略>
 < 略>
 それから、その次の下見板、木ずりの関係でありますが、下見板と申しますのは一般の住宅の外側に木の板を若干重ねまして、ずつと張つてあるあの板でございます。木ずりと申しますのは、壁を塗ります前に、中に細い木をずつと張りまして、その上にしつくいその他を塗るあの木のことでございます。これにつきましても、実はばかにならない数学でございまして、ここに三百五十万石と書いてございますのは、実は上の三千六百万石という木造建築の中に入つております内数というわけでございますが、現在この程度は下見板と木ずりにこれが使われているだろう、こういうふうに解釈しておりますが、もしもここにございますように、石綿スレート、メタルラスというようなものに切りかえることができますならば、全部はもちろんむづかしいと思いますけれども、五分の一切りかえ得たといたしましても七十万石という数字の節約になるわけでございます。相当これも問題として取上げるべきだと思いますが、これを推進いたします方法といたしましては、私たちの考えとしては、現在ございます建築基準法というものに、ある程度これを使わなければならない、一定の建築については、石綿スレート、メタルラスというようなものを使なければならないというような規定を入れるということが一番効果的じやなかろうか、こういうふうに思つております。
 < 略>
 以上申し上げましたところが一応私たちのおもな推進目標になるわけでございますが、数字はここにございますように、今申しました新炭材におきまして五千六百六十万石、従いまして用材と合せまして九千二百五十三万石というものがここで節約できるという一応の結論を持つておるわけでございます。< 略>
 < 略>

○中崎委員長 以上で参考人よりの意見開陳を終りました。次いで質疑に入ります。

[中略]

○山手委員 私はこの際、政府側の方でも出席をしておられますから、軽工業局長にひとつ懸案の問題をお尋ねしておきたいと思います。それはこの間同僚の永井委員から質問がございました日米石綿の問題であります。私はその後いろいろ話を聞いて参りますと、反対者にも疑義にも、いろいろ理由もあることであろう、こういうことを一応考えますが、きようも御説明をいただきました下見板なんかでも、ああいう問題を技術的にも解決して行けば、相当な効果のあることであるように思うのでありますが、どうしてもやはり政府が積極的にこういう方法に対しては、手を打つて行かなければいけない。この委員会で今御説明を聞いた合理化の推進をいたしますにいたしましても、行政当局が、積極的に解決して行こうという考えがなくては、とうていこの合理化促進はできない、こういうふうに考えております。そこでいろいろ反対の理由も私は聞いて、反対側のお話も承つたのでありますが、その反対の理由は、第一点は、日米石綿という会社ができるんだそうでありますが、この会社の資本構成がどうであろうか、五五%以上を外国資ホンにゆだねるという結果になるんじやないか、その点について、こういう会社が長く日本のこういう住宅問題にまで入つて行くということは好ましくないという疑義が一点あります。私も、こういうことであるならば、これはよほど考えなければいかぬと思うのでありますが、新しい会社の資本構成はどういうふうになつておるのか、政府側において御調査になつておるようでありまするから、この際お聞きをしたいことが一点。それから反対の理由の第二点は中小企業の問題としまして、こういう外資につらなる事業が起きますというと、今日の日本の中小企業は全般的に崩壊をするんではあるまいか、全部つぶれてしまうであろう、こういう危惧が反対の重要な第二点であります。私は、中小企業の現状から見ましても、同感の意を表せざるを得ないのであつて、この中小企業を押しつぶしてまで、極端なやり方をすることには、決して賛成をすることはできないのでありますが、この中小企業とこういう新しい高度の技術を日本に入れるということとを、数量的に質的に調和をして入れることができるかどうか。そういうふうな点について政府側の御見解をこの際承つておきたいと思います。

○中村(辰)政府委員 ただいまの御質問でありますが、第一点の資本構成の問題でありますが、これは先般のこの委員会におきましても申し上げました通り、最終段階におきましては、ジヨンスマンビルの投資が二五%に相なるのであります。問題になつております点は、このジヨンスマンビルの石綿その他の輸入関係等におきまして、関係の深い東京興業貿易という会社が、この日米石綿の会社に出資いたすのでありますが、これを加えますと、御指摘のように五〇%以上を越えるのでなかろうかというぐあいに考えられるわけであります。この東京興業貿易の会社の性格の分析に相なりますが、これは日本側の出資からできておる会社でありまして、法律的に申しますれば、ジヨンスマンビルの出資と同一視し得られるかどうか、この点につきましてはむしろ疑義があるのであります。ただ実質問題といたしましては、そこに支配関係が過半数以上に達するのではなかろうか、こういう問題点があると思います。この技術導入、あるいは外資導入を認めるか認めないかの問題を離れて、純粋に資本構成を考えるとすれば、もしそういつたような実質的にいろいろ問題があるというこてであれば、その点についての資本構成を別途考えるということで、問題の点を解決するという道はあり得ると思います。
 それから第二点の中小企業に対する問題でございますが、この点につきましては、どの程度の技術導入あるいは製品がどの程度の範囲に及ぶものかということにおいて広狭の差は出て参ります。ただ私の方で本問題を解決いたします重要な一つの。ポイントにしておりますことは、この外国の技術が、すでに国内で生産の進行中でございます製品との性能上の問題につきまして、積極的に技術を入れるべきものかどうかということについて、技術的な判定と申しますか、これをして参りたいというのが私の方の考え方であります。外資導入あるいは技術導入ということが、わが国の合理化、あるいは近代化ということにおいて促進しておるものではございますが、具体的な問題として、性能上の可否という点は、やはり相手が中小企業であります場合、あるいは中小企業でない場合におきましても、私の方としては他のケースについても、これらの技術的な問題ということは検討した上で採否をきめるというくらいな方針で参つておるのであります。たまたま本件の中小業との影響、関係ということが顕著な点が特に問題にされるという意味ではないと思うのでありますが、外資、外国技術の導入につきましては、ただいま申しましたような国産技術との優劣ということを、一つの判定基準として検討を加えることが、すでに国内にあります産業の育成という見地からも必要ではなかろうか、こういうぐあいに考えまして、目下検討を加えておるという状況でございます。

○山手委員 東京興業貿易の性格の問題をもう少し承りたいと思うのですが、この会社の性格は、現在の株主はどういうことになつておるか、この支配力はアメリカから直接及ぶようなお話がありましたが、現実には、先般私は二、三参考意見を聞いてみたのですが、全株主が日本側にあつて、ただ向うの代理店——このジヨンスマンビルというのは、世界的な会社であつて、各国に一代理店だけを認めておつて、その代理店を引受けておる会社である。こういうふうに聞いておりますが、株式の構成はどういうふうになつておるのか、そういう性格の問題をもう少し承りたいことが一つ。それから今の技術的な面については、私自身も実は渡米をした際に、この方面の関係のことをたまたま調べてみた経験もあるのでありますが、とにかく日本の建築は、海外のアメリカあたりの建築と、価格そのいろいろな点おいて非常に遅れておる。その遅れをとつておる原因の一つは、こういうふうな技術が導入をされておらない。大工だとか左官だとかいうような非常に封建的な技術に塗りつぶされた現在の日本の建築界というものが、木材利用や何かともからんで、非常に住宅を高価なものにしておるし、不健なものにしておる。それがこういう下見板あたりが簡単にばんばんと打ちつけられ、穴もあけずにくぎを持つて来てどんどん打ちつけられるというふうな、非常にしろうとでもできるような製品が大量にできて行くところに、向うの住宅の合理性があるのだ。私はこういう言うに考えておつて、これは確かに日本にも取入れた方がいい、私はこういうことを考えて帰つて来たものでありますが、この技術の制定については、いろいろ困難もあるのじやないかと私は思います。それはぜひこれをはつきりと技術自体として研究をしていただくことが必要だと思いますが、その技術的な断定というものは下されるものかどうか、あるいは下されるということになると、昨年からこの問題は懸案になつておつたのですが、いつごろ断定を下されるものであるか、これを承つておきたい。
 それから、これも大量に入れるということは必ずしも賛成できないという反対の立場の人々の気持もよくわかります。しかしこれを日本の全生産の一割か一割五分程度のものを入れるというふうなことであるならば、むしろ国内のこういう方面の業界に刺激を与えることであつて、私は何も鎖国的に出る必要はないと考えますが、この一割程度以内で制限をして許可をするという方法がとれるものかどうか、この点について、政府側の方から御見解を承つておきたいと思います。

○中村(辰)政府委員 ただいまの第一の東京興業貿易の性格の問題でございますが、ただいまの御質問にございましたように、ジヨンスマンビルの日本における代理店というような形になつております。私の聞く範囲で、正確に取調べたのじやないのでございますが、前にこのジヨンスマンビルに勤めておつた者が、東京興業貿易におるというようなことで、反対者側の方では、この点を非常に心配しておるというようなことを私は聞いております。先ほどもお管えいたしましたように、この資本構成から、日本側に支配権がないのじやないか、なくなるのじやないか、こういうような問題につきましては、本問題の根本問題が片づきますれば、その憂いがないようするとにいう方法も考えられますので、その点についての問題は、私はむしろ本問題解決の他の問題と関連して考えますときには本質的でない、こう申すとおかしいのでありますが、ややその問題についての考え方は他にあり得る、こういうぐあいな気持を持つております。もちろんこれは私見でありまして、本問題は、ただいま申しましたように技術的な問題につきまして、根本的な点を検討しておりますので、私どもの私見が、あるいは実現するかしないかというようなことについては、何ら確信あるものではありません。ただそういう思いつきという点を申し上げたにとどまります。
 第二点の問題でございますが、この技術が非常に世界的に有名であるということは、御指摘の通りだと私も思います。まだ今日までの国内の耐火建築あるいはその他の点におきまして、非常に遅れておる、封建的な点が非常に多過ぎるということもその通りだと思います。もとよりそういうことが小委員会で検討されております重要問題の解決すべき点であることは、私もその通りであると存ずるのであります。それともう一つは、技術導入、資本導入を制限付というような意味合いのようにお聞き取り、できるのでございますが、国内産業との調整をはかりつつ導入できないかどうかという問題でございますが、この点につきましては、ただいままでの国産企業というものの伸びが、これらの用途を受入れる利用者側の知識、あるいはこれに対応する態度、あるいはその他のことからいたしまして、今日までは、国産も相当努力しても伸びていなかつたというような点もあるかと思います。ただ問題点は、今後の趨勢といたしまして、こういつたものが相当伸びるのじやないかということも一応考えるのであります。今日の石綿スレートの年生産額から申しますと約六百万枚、二十九年度におきましては七百二十万枚程度を考えたい。日米石綿の生産計画は七十万枚を予定しておるというように承つております。ただ問題点としまして国産の同一品種の問題に関連しましては、私は先ほど申し上げました国産の技術の伸びというものもやはりある程度考えられるということからいたしまして、この技術をやはり入れた方がいいかどうか、あるいは入れなくとも国産の技術がやはり伸びて行けば、国内の新しい需要に対応して行けるかどうかというような点も実は私として知りたいということから、通産省内で技術的にこの問題を研究いたしておるのであります。その研究の結論は、やつてみませんと申し上げられない事項でありまして、私としても今から予知し得ないものでありますから、どういう結論が出ますか、やはりその結論を見た上で、総合的にただいま御指摘のような調整をしつつ入れる余地があるかどうか、こういうことも慎重に検討をして行きたいというような気持でおります。従いましてこの技術の問題につきましては、できるだけ急いでやりたいのでありますが、先般工業技術院が技術的な研究の関係もございまして、ここが中心に良製品の見本を取入れて、実地試験をいたすという段階でございまして、この試験がどのくらいの期間かかりますか、私としては技術的な問題の関係もございまして、早期にこれをやつてほしいという希望は申しておりますが、これを何日間でやれということが可能かどうか、目下のところ予定はつきません。しかしできるだけ早くこの結論を得たいということで試験の方を急がしております。試験以外のノーハウの問題等につきましては、当事者の意見をすでに聴取いたしておる状況でございますので、この点をお含みの上御了承を願います。

○中崎委員長 他に発言はありませんか。——参考人の方には御多忙のところ御出席まことにありがとうございました。
 次会の予定は一応十六日の午前十時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時五十四分散会