13-衆-大蔵委員会-83号 昭和27年06月04日

昭和二十七年六月四日(水曜日)午後二時二十三分開議
 出席委員
   委員長 佐藤 重遠君
   理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
   理事 松尾トシ子君
      大上  司君    川野 芳滿君
      島村 一郎君    清水 逸平君
      高間 松吉君    苫米地英俊君
      夏堀源三郎君    三宅 則義君
      宮幡  靖君    宮原幸三郎君
      武藤 嘉一君    中野 四郎君
 出席政府委員
        外国為替管理委員会委員長   木内 信胤君
        外国為替管理委員会委員   大久保太三郎君
 委員外の出席者
        大蔵事務官(理財局管理課長)      横山 正臣君
        大蔵事務官(管財局閉鎖機関課長)    堀口 定義君
        通商産業事務官(通商振興局経理部長)  石井由太郎君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
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六月四日
 委員有田二郎君及び宮原幸三郎君辞任につき、その補欠として高間松吉君及び水田三喜男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員水田三喜男君辞任につき、その補欠として宮原幸三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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六月三日
 織物消費税廃止に伴い既納税額の一部戻入に関する陳情書(日本商工会議所会頭藤山愛一郎)(第二一一一号)
 商工組合中央金庫及び国民金融公庫の融資迅速化に関する陳情書(日本商工会議所会頭藤山愛一郎)(第二一一二号)
 外資導入に関する陳情書(日本証券協会連合会会長遠山元一)(第二一一四号)
 公認会計士制度改正反対に関する陳情書(日本計理検査協会理事長木村禎橘)(第二一一五号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出第一四三号)
 緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九八号)
 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇三号)
 接收貴金属等の数量等の報告に関する法律案(内閣提出第二三一号)
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○奧村委員長代理 これより会議を開きます。
 閉鎖機関令の一部を改正する法律案、緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、接收貴金属等の数量等の報告に関する法律案の四法案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。中野四郎君。

[中略]

○清水委員 緊要物資輸入基金特別会計について二、三伺いたいと思います。現在この会計で輸入されて、政府の手持ちになつておる品物はどういう額か、概略でよろしゆうございますか……。

○石井説明員 緊要物資輸入基金で現在買付契約をいたしましたものは、ニッケル約五百六トン、合成ゴム千七百八十六トン、石綿百七トン、苛性ソーダ六百トン、コバルト三トン及びアメリカからの原皮約四十二万六千ポンドでございます。但しこれは現在全部自由価格品というわけではございませんので、入つておりますものはニッケルが四百三十七トン、合成ゴムが六百七トン、石綿二十四トンというような景況になつております。うち売り払いましたものはニッケルが約三十六トン、合成ゴムが約五十トンという景況でございまして、ニッケルにつきましては従来非常にやかましい規制が行われておりました関係上、非常に足がのろいという景況でございます。

○清水委員 そういうこの会計で扱つておる物資の配給というか割当とか、こういうふうなものはどういうふうな御方針で……。

○石井説明員 ニッケル、コバルトと申しますような物資は、御承知のごとく民主主義諸国家は国際的な規制を受けつつ使用、輸出あるいは輸入等をいたしておるわけでございます。わが国におきましても新物調法と申しますか、国際的供給不足物資等の需給調整に関しまする法律に基きまして、需要者に対します切符割当ということが行われておるわけでございまして、これらに対しましては切符引きかえとともに納めるということに相なりまして、国際的な規制がこの程度に至りませず、最終消費を民主主義諸国家目的に合致するようにするとか、あるいは再輸出を制限いたしますとかいうような、たとえば石綿でございますとか合成ゴムでございますとかいうような物資につきましては、切符引きかえというほどの強い規制はいたさないわけでございまして、あるいは特需の原材料あるいは国家の幾多の需要、ないしは産業の合理化のための需要、ないしは輸出の増進のための需要というようなものに対しましては、それぞれのケースに応じまして輸入いたしました価格をベースとして、売渡しをいたすわけでございますが、爾余の物資につきましては、これは一般の国内市価をもつて会計原則に従つて売り渡す。このような考えでおるわけであります。

○清水委員 その割当の場合でございますが、業者のおそらく要望するだけの割当は、もちろんできないことは当然と思います。そうした場合に政府の払下げ価格と市場価格に非常に開きがある。そういうようなことが従つて製品面にも、でき上つた第二次製品にも響いておるというようなことに対して、何か通産省として取締りとか監督とかいうようなことは、されておりますかどうですか。

[中略]

○清水委員 御答弁を伺つて安心をいたしました。最後に、この会計で扱つておるものが相当にございますけれども、今の国際情勢からいつて、これが緩和されて来るのじやないかというような観察を私はしております。当局のお考えとして、今後この会計で扱う物資が多くなるが少くなるか。また金額等においてこの会計で二十五億が予想されておりますが、そういう金額で十分間に合うかどうか、お見込みを聞いておきたいと思います。

○石井説明員 国際関係につきましては、御説の通り米国におきましても、諸多の統制物資の需給を緩和いたして参りました関係上、統制を緩和する傾向も明らかであります。また、いわゆる国際マーケットは買手市場に逐次かわりつつある景況でございますから、このような基金によりまして、政府は保有する必要はないのじやないかということも一応検討され、また考慮もされたのでございますが、国際情勢につきましては、実は変転の見通しが、だれから申しましてもこれはなかなか断言できがたい状況でございますので、もちろんいわゆる先高見越しとか、あるいは先へ行つての動乱必至というような見地に立ちましての買いだめ、備蓄的な買付はもちろん必要はないと思うのであります。しかしただいま申しましたようなニッケル、コバルトあるいはタングステン、モリブデンといつたような、わが国といたしましては、どこを探してもなかなか出し得ないというような物資につきましての買付を確保いたしておきますること、これは必要ではないかと考えまして、今回の法案改正に及んだ次第でございまして、計画といたしましては、昨日申し上げました通り約ニッケル八百トン、コバルト二百四十トン、タングステン三百トン、モリブデン三百五十トンこの価格約二十億、ほかに特需の原材料その他、これはOIT物資でございまして、ただいま申し上げましたのがIMC、国際原料割当物資の価格でございます。その他、アメリカの国際貿易局からの割当物資、石綿、牛皮あるいは亜麻仁油等の不足物資が若干考えられるのではないかと考えまして、年間を通じて三十億から三十五、六億程度と考えられております。従いまして、本会計の基金の増加等も目下考慮しておらないというような状況でございます。

○高間委員 閉鎖機関令の一部改正のことについてお尋ねいたします。今までの閉鎖機関整理委員会が、今度提案理由に説明されているところの特殊清算人というふうにかわつた場合に、今までのやり方と今後未結了のものを処理して行くのに、どういうふうなかわり方がありますか、説明していただきたい。

[中略]

○小山委員 緊要物資輸入基金特別会計であるいは質問があつたのかもしれませんが、きわめて愚問かもしれませんけれども、一、二点伺つておきたい。
 それは緊要物資輸入基金特別会計の第一条がかわりまして、「政府において取得することを緊要とするもの」ということになつたのでありますが、これがかわつたということは、従来日本で必要があろうがなかろうが、割当物資はとらなければならぬという制度であつたものを、今度は日本政府の希望するものだけをとることになつたという意味でありますか。その点を一つ伺つておきたい。

○石井説明員 従来の緊要物資輸入基金特別会計におきましては、外国において生産されたいわゆる特需の原材料に向け得られる物資ということが書いてあつたのでありまして、「特殊需要に応ずるため」云々という表現でありましたので、実際特需に入用のありそうな物資でございますれば、これはたとえば国際条約、国際協定等で割当等のございません物資でも取得できる。そのかわり特需の関係のない物資になりますと、たとえば石綿のごときはよい例でございますが、特に特需ということはないと思います。そのようなものは国際協定あるいはOITの割当というようなものがございましても、それを取得するために、どうしても政府買付をするのが有利であり、また適当であるという場合におきましても、手が出せなかつたのであります。そういう制約を——特にと申しましても独立後のことでありますので、その辺にかかわり続けて行くのもあまり自主性のない経済政策でありますので、今後の行き方といたしましては、国際割当物資等のものであつて、特に重要なものは、用途のいかんを問わず、この会計で取得し得るということにいたそうというのが、今回の改正の要点なのであります。

○小山委員 その割当物資というものは、日本政府がそういうものは輸入しなくてもよいというものでも、買わなければならぬことになつておりますか。たとえばここに例が出してありますように、硫黄は日本がむしろ輸出するくらいにあるものであろうと思いますが、こういうものも買わなければならぬという義務があるのですか。

[後略]