13-衆-経済安定委員会-10号 昭和27年03月18日
昭和二十七年三月十八日(火曜日)午前十一時四分開議
出席委員
委員長 前田 正男君
理事 志田 義信君 理事 有田 喜一君
理事 中崎 敏君
岩川 與助君 小野瀬忠兵衞君
圖司 安正君 奈良 治二君
福田 喜東君 細田 榮藏君
苫米地英俊君 村上 清治君
横田甚太郎君
出席政府委員
経済安定政務次官 福田 篤泰君
経済安定事務官(産業局長) 近藤 止文君
委員外の出席者
経済安定事務官(産業局産業政策課長)樋詰 誠明君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
—————————————
三月十八日
国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案(内閣提出第八一号)
同月七日
石油の統制撤廃に関する請願(江崎真澄君紹介)(第一一九七号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案(内閣提出第八一号)
—————————————
○前田委員長 これより会議を開きます。
本日は、ただいま委員会に付託となりました、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案を議題といたし、まず政府より提案理由の説明を求めます。福田経済安定政務次官。
—————————————
[中略]
○前田委員長 次に補足説明を、政府委員より求めます。近藤政府委員。
○近藤(止)政府委員 ただいま政務次官から、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案の、提案理由の御説明を申し上げましたが、これに関連したしまして、お手元に差上げてございます資料につきまして、多少具体的の問題につきまして、御説明を申し上げたいと存じます。
ただいま提案理由で御説明を申し上げましたように、臨時物資需給調整法は、昭和二十一年の制定でございまして、きわめて臨時的な立法といたしまして、その有効期限は一年ごとに更改されて参りまして、本年の三月三十一日をもちまして、現在の法律が失効することに相なつておるのでございます。その間に統制をいたしました物資は、非常に広汎にわたつておりまして、特に経済の回復、安全ということのために、供給の不足する物資につきましては、すべて省令の手続によりまして、その割当、配給あるいは制限、禁止等の措置が行われたのでございますが、その後逐次経済の回復に伴いまして、統制をいたしております物資の範囲が、だんだんつぼまつて参りまして、現在におきましては、お手元に資料といたしまして、臨時物資需給調整法に基く現行命令一覧表、それから臨時物資需給調整法に基く割当配給統制物資一覧表というものが差上げてございますが、一時に比べますと、その品目の数も非常に少くなつております。かつ現在におきましては、規則上一応品目の指定がございますけれども、すでにその統制を停止いたしておりますものが相当多数にございまして、現在割当配給を行つております物資は、指定生産資材といたしましては、石油の関係、ニツケル、コバルト、それからソーダ灰及び苛性ソーダ用の塩、燐鉱石、カーボンブラツク、石綿、この程度のものが現在割当配給の対象になつておりまして、また指定配給物資の方におきましては、砂糖、業務用の酒、医薬品、石油及び石油製品、こういうものが統制の対象になつておるのでありますが、これらの品物のうち、今後におきましてもなお統制を継続することを必要と思われます物資は、先ほど提案理由の説明のときに申し上げましたように、国際割当物資あるいはアメリカにおける輸出制限物資、そういつた品目につきましては、なお需給関係が相当逼迫いたしておりますし、これを輸入に仰がなければなりません情勢が簡單には解消いたしませんので、継続いたす必要があると思われるのでございますが、石油、それから塩あるいは燐鉱石あるいはカーボンブラツク、石綿の類、それから配給物資といたしまして、砂糖、業務用の酒あるいは医薬品、同時に石油製品、こういつたものにつきましては、今後なお相当期間にわたりまして、統制を継続するという必要性が、現在においてはなくなつて来ておると考えられるのでございまして、そういう観点から従来の臨時物資需給調整法といつた意味の法律は、これをこの際廃止いたしまして、新しい情勢に対応いたしました新規な法律をこの際立法いたしたい、かつこの新しい法律におきましても、実はこれはどこまでも臨時措置といたしまして、これを規正して参る考えでございまして、單に新法におきましても、法律の有効期限はこれを一箇年に限定することにいたしておりますし、また新しい法律におきましては、その需給調整いたします対象となります品目につきまして、これをできるだけ狭い範囲に限局をいたしまして、従来のように供給の不足する物資であれば、すべて統制の対象になるというようなことをいたしませんで、できるだけ局限された範囲の物資について需給調整を行い得ることにいたしますし、また同時に割当配給というような、相当細目にわたりまして嚴格な統制の行われる物資につきましては、これを法律の別表に掲上いたしまして、それらの品目を追加いたします場合におきましては、法律改正の手続を要するということにいたしまして、広範な権限を委任するという形を避けた次第でございます。従いまして新しい法律の対象になつておりまする品物は、第一が、先ほど提案理由の説明にございましたように、国際的な——現在国際割当物資と申しておりますが、国際原料会議におきまして、日本が輸入なりあるいは輸出につきましての割当を受けております物資、これが第一の範疇のものでございます。
それから次には、日本における生産がきわめて少うございまして、どうしても外国から輸入をしなければならぬ、しかもその輸入する場合におきまして、相当強力に輸入の要請をいたさなければ、国内に入つて来る見込みがない、そういつた関係から、同時に輸入は認めるけれども、その入つて来ましたものについて、それが不要不急の用途に流れることを防止するというような厳重な条件がついて参りますような物資、これはアメリカにおきまするOIT物資、輸出制限物資、こういう物資につきまして需給調整をいたす、それからもう一つ、これは必ずしも国際割当物資なりOITの範疇には入りませんでも、国内の供給が非常に不足いたしまして、その需給調整措置をいたしませんような場合におきましては、国民経済の正常な運行に著しい支障を生じますばかりでなく、公共の利益をも阻害するというようなおそれがありますものにつきまして、この需給調整の措置をいたすということにいたしておるのでございます。しかもその場合におきまして、割当配給まで持つて参りますものはすべて法律の別表に掲げますし、制限禁止程度のものにつきましては、こういつた物資の範囲をしぼりまして、これを臨時措置として実行して参る、こういうように、法律におきまして規正をいたします対象を局限いたした次第でございます。こういう立て方にいたしまして、しからば今後におきましてどういつた物資につきまして、制限あるいは禁止、あるいは割当配給を行うかと申しますと、さしあたり割当配給を実施いたそうと考えております品物は、法律の別表にございますように、ニツケル、コバルト、タングステン、モリブデン、白金、この五品目を、さしあたり割当配給の対象品目に予定いたしております。これらの品目のうちで、使用制限をこれに伴いますものは、ニツケル、コバルト、タングステン、モリブデン、こういつたものを予定いたしておりますが、そのほかにも先般来いろいろ問題になつております銅製品製造制限、つまり奢侈的な品物、ぜいたく品に類するようなものにつきましての製造につきまして、これを制限するという措置を実施して行かなければならぬかと思つておりますが、現在のところでは、大体そういつた品目を予定いたしておりまして、従来割当配給なり、あるいは制限を行つております品目につきましては、さしあたりのところといたしましては、これをこの法律によりまして規正をいたす必要がないのじやないかというように考えておる次第でございます。従いまして臨時物資需給調整法は、この三月三十一日で法律が失効いたしますので、その際に現在実行いたしておりますこの割当配給の措置が、解消いたします品目が相当多いのでございまして、あるいはこの新しい法律の附則に、過渡的に、経過的な措置を要する品物につきましては、一応従来の物調法を六月三十日まで有効にいたしまして、その期限を三月延ばすようにいたす附則の経過規定がございます。これはたとえて申しますと、砂糖の統制は四月一日からこれを撤廃いたすわけでございますが、現在砂糖につきましては、家庭用に切符を発行いたしておるものがございまして、これが四月一日から全部この規則が無効になるということにいたしますと、現在家庭に配つております切符の中で、現物化をいたしませんものが出て来るおそれがございます。そこで家庭用の砂糖につきましては、価格の問題も実はきまつておりますし、いわゆる自由市場におきまして買いますよりは安い公定価格で手に入れることができますし、またある地区の消費者がこれを現物化いたし、また他の地区では切符の配給その他が遅れました関係で、現物化ができないというようなことがありますと、非常に不均衡を生じますので、こういつたものが、一応家庭に配りました切符が現物化するまでの期間、従来の物調法の効力を有効に残しておこう、こういつた趣旨で経過的の規定を置いておるものがあるわけでございます。その経過的の措置をいたしております品物は、附則の第三号に列挙してあるのでございますが、ただいま申し上げました砂糖の需給調整規則の関係、それから規則の名前がたくさん並んでおりますが、品目といたしましてはガソリン、燈油、軽油、重油という石油製品の中で、現在統制の残つております品目につきましては、これらのものはなお三箇月間の有効期限を付しまして、六月一ぱいでこの統制がおしまいになる、この関係は現在すでに第一・四半期の割当をいたしておりまして、その割当によつて現物化をいたします期限が六月一ぱいまでございますので、その経過的な意味におきまして、これを有効にいたしたわけでございます。
それからそのほかにくす使用制限規則というのがございますが、これはくすの木をしようのう用以外に使うことができない。現在しようのうは専売品になつておるのでありますが、くすの木を伐採いたしましてこれを他の用途に充てるということを制限いたしまして、すべてこれはしようのう製造用に充てなければならぬ。天災地変その他の場合を除きましては、そういつた制限を現在やつておるのでございますが、この関係は専売公社の方におきまして、現在くすのしようのうの専売の問題につきまして、根本的な考え方をいたしておられるようでございますので、その成案ができますまでの間、一応くす使用制限規則というものを残しておく、つまり六月末まではこれを残しておくということであります。
それから外国自動車譲受規則というのがそのほかに載つておりますが、これはいわゆる輸入の中古自動車の譲受けの問題でございまして、これは一—三月、つまり第四・四半期における外貨資金の割当を現在定めておるのでございます。その為替資金の関係は、六月末までその資金の割当が有効ということになつておりますので、その有効な外貨資金の関係だけを六月末まで延ばして行くというような経過規定を置きまして、いずれも新しい法律の方には乗りかえずに、従来の物調法によりましてこれを処理いたすということにいたしておるわけでございます。そういつたことで、大体臨時物資需給調整法関係の法令を整理いたしました。そうして現在新しい要請に基きまして需給調整措置を必要といたしますものを、新しいこの国際的供給不足物資等の需給調整の臨時措置に関する法律案に盛り込むことにいたした次第でございます。
なおそのほかに、お手元に「昭和二十七年度重要物資生産見透し」という表を差上げてございますが、これは大体二十五年度の実績、二十六年度の実績等に比べまして、二十七年度がどのくらいの生産の見通しになるかという作業の結果をお目にかけた次第でございまして、この見通しから参りますと、大体二十六年度の生産実績に比べまして、平均して七、八%の生産増という結果になるわけでございます。電力あるいは石炭、あるいは石油の関係、そういつたいわゆる動力源の不足の問題がありますけれども、現在の供給見通しから参りますと、重要物資の生産はその程度まで伸び得る可能性があるように思われるわけでありまして、従来物調法によりまして相当嚴格に統制をいたしました品物も、今後におきましては大体需給のバランスがとれるものと考えられるわけでございます。御参考までにこういつた資料をお目にかけた次第でございまして、なお御質問によりましてこまかい点その他をお答え申し上げたいと思います。これで一応補足説明を終ります。
○前田委員長 これにて政府の説明は終了いたしました。横田委員より議事進行に関し発言を求められておりますので、この際これを許します。横田君。
[後略]