12-参-通商産業委員会-11号 昭和26年11月17日
昭和二十六年十一月十七日(土曜日)午後二時十分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹中 七郎君
理事
古池 信三君
栗山 良夫君
委員
入交 太藏君
中川 以良君
松本 昇君
片岡 文重君
小松 正雄君
島 清君
山内 卓郎君
境野 清雄君
油井賢太郎君
政府委員
資源庁長官 始関 伊平君
事務局側
常任委員会専門員 山本友太郎君
常任委員会専門員 小田橋貞壽君
説明員
通商産業省通商振興局長 井上 尚一君
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本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件(石油開発に関する件)
○輸出信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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[前略]
○委員長(竹中七郎君) では次に輸出信用保険法の一部を改正する法律案、これは衆議院のほうから上つて参りまして本審査になりましたので、質疑を続行いたしたいと思います。御質問願います。
[中略]
○栗山良夫君 大体明らかになつて来ましたが、要するにポンド地域向けに相当輸出が伸びておりますけれども、ポンドだけ持つても、日本の経済の復興には余りならない、やはりその地域に輸出をするならば、見返に相当な原材料を入れなければ意味がないということが、私は明らかになつたと思うのです。そこで日本は非常に疲弊した経済力の国なので、プラント輸出というのは、これは一種の資本投資、海外への資本投資に当るわけですね。非常に経済的に弱い国が海外の開発をやつてあげるということは非常に結構でしようけれども、国の中すら治まらんのに、よそへどんどん資本投資をするというようなことは、これは私は余り好ましくないと思うのです。従つて今局長のおつしやつたようにポンド地域から輸入を推進したいということが、これが最も重要なポイントになると思う。ゴアを盛んに力説せられておつて、私はこの法律はゴア法律かと思つてさつきから聞いているのですが、そのほかにそういう所から近々どうしても輸入を促進しなければならぬ、そういう見通しでお考えになつている品物があれば、相当公算の高い品物があれば、一つお教えを願いたいと思います。
○説明員(井上尚一君) 東南アジア地域の問題につきましては、先般当委員会でモロー調査団の報告についても御要求がございまして、モロー調査団の報告に対しましての資料もお配り申してありまするが、この内容によりまして東南アジア地方のいろいろ資源については御理解願えることと存じます。今後の問題としまして、まあ今の御質問中に、日本としまして今資本投資をやることが適当かどうかというようなことについての御懸念がありましたようですが、例えば紡織機械等につきましては、これは内地の繊維工業の能力というものは、すでにまあ十分と申しますか、飽和点になつている。紡織機械、繊維機械の生産能力というものは非常に余つておる。或いは又電気機械だとか、或いは車両でございますとかいうような、そういう重機械類の輸出ということは、日本内地を差しおいて外国へ云々というような今の御質問のような懸念の点はないのではないかと私は考えております。なおプラント類の輸出の結果、やはり重要原料の輸入が必要である。ついてはプラント類の輸出の対象としても重要原料の入手の可能性のある例としてはどういう例があるかというのが今の御質問のポイントであつたかと存じまするが、鉄鉱石について申しますれば、フイリピンにララツプという会社とサマールという大きな有名な会社がありまするが、こういうようなフイリピン地方の鉄鉱石のマイニングの会社について申しますと、現在露天掘の状態でありまして、これを一層能率的に、抗道を今後ますます掘つて参るという場合には、これに必要な開発用の機械ということがここでも問題になつて来るわけであります。或いは又香港に馬鞍山鉱山というようなものがございまして、こういうような開発に協力するということによりまして、当該原料の入手が可能であろうと考えておりますし、或いは又、今は鉄鋼の例を申したのでありまするが、ニツケル鉱石について申しますれば、ニユーカレドニア地方への現在の開発の能力を一層大きくするという意味で、かなり鉱山開発用の機械投入が必要になるのでありますが、その結果、そういう原料の入手の途ができる。或いはクローム鉱石とか鉄鉱石、或いはマンガン鉱石、或いはボーキサイト、或いはアスベストとか、そういうようないろいろな例について、今のプラント類の輸出によつて向うから原料の入手の期待し得るような場合というものは、決して少くはないと考えております。
○栗山良夫君 まあものの考え方なんですけれども、例えばニユーカレドニアのニツケル鉱石などは、これは日本に輸入して見たところで、恐らく単価の高いもので、これはまあ経済引合いにはされないようなものなんですね。向うで精錬してしまえば別ですけれども、内地へ運んだんではこれは問題にならないことは、この委員会でも審議をした通りなんです。そこでまあ最後に結論的なことを一つお聞きしたいのは、要するに私は先ほど日本の国内の経済が非常に弱いのに海外投資をするというのは、私は行き過ぎではないかということを申上げた意味は、ポンド地域から、はつきりした輸入原材料というものを確保せられて、そうして交換ができれば私はさほどに申上げないのですけれども、何しろ長期の鉱山開発用のプラント輸出をやるということになれば、相当長期に亘るわけです。これは富んだ国が植民地開発をやつたときのようにやるということになれば別ですけれども、国内で生活のできないような状態において、そういうことをするのはどうか。これに対して局長はそうじやないのだ、例えば繊維機械のごときは国内で飽和状態に達しておるので、繊維機械を支えるためには海外に出さなければならないということを言われた。そういうことになりますと、一つ私は疑念を持つているのは、賠償関係でインドネシアにしても、その他フイリピン或いはその他の国々においても日本に対して相当強い要求をされておるわけです。従つてそういう国々が、日本の輸出貿易の状況を見ておると、相当余裕のある状態において貿易を始めておる。政府も柤当業者に対して便利のいいような保険をつけてどんどんこれを進行させている。それほど経済力の余裕があるならば賠償はもつと出すべきではないか。こういう意見が私は飛び出して来はしないかということを心配するわけですが、そういうようなことについてはちつともお考えになつたことはございませんか。
[後略]