10-参-大蔵委員会-30号 昭和26年03月29日
昭和二十六年三月二十九日(木曜日)午前十一時二十一分開会
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本日の会議に付した事件
○鉱工品貿易公団の損失金補てんのための交付金に関する法律案(内閣提 出・衆議院送付)
○国税徴收法の一部を改正する法律案(内閣提出・衆議院送付)
○たばこ專売法の一部を改正する法律案(内閣提出・衆議院送付)
○復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出・衆議院送付)
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案(衆議院送付)
○日本開発銀行法案(内閣送付)
○関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出・衆議院送付)
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[前略]
○委員長(小串清一君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。先刻杉山委員より御説明になりました関税定率法の一部を改正する法律案の一部を更に修正するという意見は大体皆さんにおわかりになつたと思いますが、なお不明な点は提案者にお聞きになつて、そうしてこれを成るべく早くきめて頂きたいと思います。
[中略]
○愛知揆一君 それに関連して、私は引き延ばす意味は毛頭ないのですが、ちよつと発言さして頂きたいのですが、政令の定めるところによりというような規定もございますから、一応議事録にとどめる意味から申しましても、大体どういう機械類が現在予想されておるか、又これを免税することによつて大体どの程度の減税になるかというぐらいのことは正式にやはり伺つて置きたいと思うのです。(「賛成」「その通り」と呼ぶ者あり)
○委員長(小串清一君) 只今愛知委員の御発言は、通産省のかた、関税部長も聞いておられたのですが、それに対して御説明を願いたいと思います。
○政府委員(首藤新八君) 只今愛知委員の御発言の問題でありまするが、詳細はあとで大蔵省と愼重に打合せいたしまして、最終的な決定をいたしたいと思つておりますが、大体におきましてこれに該当をいたすと考えておりまする例を挙げますると、
一 当該業種における既存の生産方式に革新的変化を與えるもの、例えば特殊捺染機、連続式石鹸製造装置、油脂分解装置。
二 当該業種において全く新らしい製品又は品質の均一化等により既存のものより著しく優良な製品を製造し得るもの、例えば石油分解ガス化装置、ポリエチレン電線製造設備、螢光燈自動製造機、真空プレス成型機、各種選鉱選炭設備。
三 作業を連続的又は高速度に行い、生産能率を著しく増大せしめるもの、例えば連続式精錬漂白機、連続式石鹸仕上装置、自動式連続マツチ製造機械及び箱詰機械。
四 生産工程又は作業工程を著しく集約化し、又は簡略化し得るもの、例えば心無ねじ、研磨盤、連続紡糸精練装置。
五 手動又は半手動操作を機械的自動操作に改めるもの、例えば自動作動式ダイキヤスト機、自動秤量包装機、自動積込機。
六 圧力、温度、濃度、濕度、重量、長さ等作業中常に変動する要素を所定の條件に保持し得るように自動的に調整し得るもの、例えば自動旋盤、琺瑯鉄器自動燒成炉、(蒸解自動調節装置)
七 原材料の所要量を著しく節約し、原単位を著しく引下げ得るもの、例えば密閉式硝化装置、コーテング自動塗布機、石綿用流線機。
八 生産上発生する副産物又は廃物(ガス、熱、蒸気、液等)を同時に有効に回收し得るもの、例えばコークス炉ガス中より硫化水素回收装置及び附属硫酸製造装置、密閉式電気炉廃液回收装置。
かように、企業の合理化を促進する上におきまして、著しい効果のあるものと、かようなものを大体対象といたしまして輸入を促進し、そうしてそれに対して無税といたしたい、かように考えておるのであります。
○佐多忠隆君 今のお話を聞きますと、実は非常に広汎な多岐なものであつて、ちよつとこう考えさせられるのですが、成るほど今お挙げになつたような機械を入れる、その特定の企業は企業の合理化ができるかも知れないけれども、その他の企業については同種の産業についても非常に大きな影響を與えるのじやないかと、そういう点が一点と、もう一つは、製作が国内で困難なものであることがはつきりしていればいいが、二に挙げたように、非常に漠然とした規定で、それに該当するものだとして相当広汎にそういうことをやられると、それを使う業種、企業はいいかも知れないが、それを製作する日本の機械製作業に対する産業政策としてそれでいいのかどうかというような問題が生じて来て、非常に大きな問題だと思うのですが、それらの点は通産省でどういうふうに御検討になつたのですか。
○政府委員(首藤新八君) 通産省といたしましては、別個に近代化法案というものを現在議員提出で用意しておりまするが、この法案が若し通過いたしますれば、大体課税面におきまして相当償却が可能な方法がとられて行くのでありまして、必ずしも大きい事業体のみが恩典に浴するということのないような措置も実は考えておるのであります。同時に又只今佐多委員の御発言がありましたが、成るべく国内の機械業者に影響を與えないということも考慮いたしまして、おのおの技術庁を通しましてかような有効な機械を輸入いたしまして国内でテストいたす。同時にそれが有効でありまするならば、それをサンプルとして国内の機械業者に早く、成るべく全般的に作らして国内に普及させたいということも、対策として現在考慮いたしておるのであります。
○松永義雄君 それは特許権のあるようなものでないのですか、どうなんですか。
○政府委員(首藤新八君) 特許権のあるものに対しましては、全部が政府輸入ということには参りかねるかと思いまするが、こういう場合には、只今佐多委員の御発言のような嫌いもできるかとも考えますが、併し成るべくそういう一方における弊害は除去いたすような措置も講じて参りたいと考えております。
○松永義雄君 速記を止めて下さい……。
[後略]