7-衆-通商産業委員会-9号 昭和25年02月15日
昭和二十五年二月十五日(水曜日)午後二時二十五分開議
出席委員
委員長代理理事 神田 博君
理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君
理事 今澄 勇君 理事 有田 喜一君
理事 風早八十二君
門脇勝太郎君 首藤 新八君
關内 正一君 高木吉之助君
中村 幸八君 平井 義一君
福田 一君 前田 正男君
高橋清治郎君 柳原 三郎君
伊藤 憲一君 田代 文久君
田中伊三次君
出席政府委員
通商産業政務次官 宮幡 靖君
(通商企業局長)通商産業事務官 石原 武夫君
(資源庁石炭生産局長)通商産業技官 田口 良明君
委員外の出席者
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
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二月十五日
電気事業再編成に関する陳情書(富山県知事高辻武邦外二名)(第二九七号)
笹ヶ谷鉱毒防除施設促進の陳情書(島根県鹿足郡畑迫村長石田重信外十二名)(第三〇八号)
指定を解除された賠償工場の自立再建に関する陳情書(名古屋市中区広小路通り明治屋内三菱
航空機整理事務所長平松永)(第三一二号)
電力対策に関する陳情書(大阪市大阪府知事赤間文三外十一名)(第三五七号)
工業技術庁陶磁器試験所の移転反対に関する陳情書(京都市京都府議会議長岩本義徳)(第三六七号)
大森川開発事業促進に関する陳情書(高知市帶屋町県庁前総同盟事務所内高知県電力対策協議会)(第三七〇号)
特別鉱害復旧臨時措置法制定促進の陳情書(福岡県議会議長稻員稔)(第三七四号)
九州地区電源開発促進に関する陳情書(福岡市長浜町三丁目二十五番地
福岡地方経済安定局長鶴野收)(第三九七号)
かんがい排水用電力料金国庫負担の陳情書(仙台市宮城県議会議長椛澤敬之助)(第三八二号)
電気料金の適正化に関する陳情書(福岡県議会議長稻員稔)(第三九四号)
富山県水力発電施設を県へ復元の陳情書(富山県議会議長高原耕造)(第三九九号)
東北地方の電気事業確立の陳情書(山形県東田川郡手向村長阿部良雄)(第四〇〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
小委員及び小委員長選任に関する件
産業復興公団法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
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○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。
前会に引続きまして私が委員長の職務を行います。
ただいまより産業復興公団法の一部を改正する法律案を議題として、討論に付します。討論は通告の順序によつてお許しします。門脇勝太郎君。
[中略]
○神田委員長代理 次は風早八十二君。
○風早委員 私は日本共産党を代表して、この改正案に対して反対を表明するものであります。
第一に、産業復興公団は不正腐敗の巣窟となつております。わが党はこのような状況のままで、政府の無責任な監督のもとに、これを存続させること自体に対して反対であります。復興公団はその業務を遂行して行きます過程におきまして、公団に結びついた一部の大会社、大やみブローカーに不当な利得を得させ、これをめぐつて無数の不正腐敗の事件を生み出しておる点では、御多聞に漏れない機関であります。現に検察当局にかかつているものには、昨年十月の産復大阪支部の繊維、生ゴム切符にからむ收賄事件など多数の横流し事件がありますが、それにとどまらず、大体滯貨の拂下げの代償を取立てることもできないようなややこしい仕組みで、いたずらに赤字をこしらえております。最近日鉄に特殊鋼やマンガン鉱、約二十五億に上る滯貨の拂下げをやつたのでありますが、その取立てができない、こういう事件がある。これは日鉄が日本鋼管に株名義を貸しただけで、支拂い義務はないと言つておる。でありますからその取立てもなかなかできないというような状態であります。こういうことは、この公団に対して監督の責任を持つておる通産大臣の重大なる責任問題として、われわれは強くこれを糾弾するものであります。同時にこれに対して少しも責任を感じない政府の監督のもとに、こういう不正腐敗の巣窟を温存させるということ自体に対して、断固として反対いたします。
反対理由の第二点は、公団の不正の赤字のしりぬぐいをやるために、国民負担を新しくかけることに対してであります。先ほど今澄委員からも御指摘ありましたが、本改正案の提案理由によれば、復金の借入金返済のために不足を生ずる運転資金を、預金部から借り入れる道を開くためだと称しているのでありますが、これははなはだ妙な話であります。それでは預金部に対してはどうして返すか。これは目くそ鼻くそといいますか、まつたくわれわれにはわけがわからないやり方であると考えます。公団の滯貨をダンピングすることなく、正常な値段で処理するならば、赤字が出るはずはないのであります。しかもこの赤字の穴埋めを、国民辛苦の結晶である預金部資金に仰ぐに至つては、あの薪炭特別会計の不正赤字を、国民の税金負担でしりぬぐいした、その二の舞を演ずるものではないか。ほかの公団がどんどんと今縮小され、すでに清算事務に入つているのに、ひとり産復公団のみが、新たに預金部から特別融資を仰いで、手広くやつて行こうという理由はどこにあるか。政府のいうところの復金の借入金返済のためということでは、われわれは絶対に納得が行かない。聞くところによりますと、政府はこの際緊急重要物資の備蓄制度を設けようとしているようであります。そのいわゆる緊急物資というのは何か。これはボーキサイト、錫、タングステン、ニッケル、クローム、マンガン鉱、亜鉛、黒鉛、水銀、鉛、工業用ダイヤ、軸受鉱石、雲母、石綿、ヨード、アヘン、ゴムといつたようにいずれも特定の外国が現在特に必要としている物資と符節を合するということは、はなはだ注目すべき点であろうと考えます。これらの物資の備蓄が、いかなる機関でなされるかは、現在必ずしも明確ではないのでありますが、産業復興公団が、この際このような新たな任務を負わされるという疑問は相当の根拠があるのであります。公団の職員の間ではすでにそのことが一般的にとりざたされておる。しかも産業復興公団が預金部からの特別融資の道を開く必要があるとするならば、いわばこの戰略物資の備蓄という以外には考えられないのであります。はたしてそうだとするならば、これはまことにゆゆしき問題ではないかと考える。日本政府は国民負担において、特定国の戰争準備の下請機関をつくることにならないでありましようか。この点は私が再度にわたつて政府委員にただしたのでありますが、政府委員はその都度言を濁して、何らわれわれを納得させる説明を與え得なかつたのであります。私はますますこの点に関する疑いを深める印象を受取つたのであります。この意味においても私は本改正案には反対せざるを得ないのであります。
< 略>
以上の四点の理由によりまして、私は本改正案に対し、絶対に反対の意を表明するものであります。
○神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。引続き採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
[後略]