7-衆-予算委員会-11号 昭和25年02月08日
昭和二十五年二月八日(水曜日)午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 植原悦二郎君
理事 池田正之輔君 理事 尾崎 末吉君
理事 上林山榮吉君 理事 小峯 柳多君
理事 苫米地英俊君 理事 川崎 秀二君
理事 川上 貫一君 理事 圖司 安正君
理事 今井 耕君
淺香 忠雄君 天野 公義君
井手 光治君 江花 靜君
岡村利右衞門君 小淵 光平君
角田 幸吉君 北澤 直吉君
小金 義照君 小平 久雄君
坂田 道太君 高橋 等君
玉置 實君 中村 幸八君
丹羽 彪吉君 西村 英一君
松野 頼三君 南 好雄君
稻村 順三君 武藤運十郎君
北村徳太郎君 村瀬 宣親君
米原 昶君 奧村又十郎君
小坂善太郎君 山本 利壽君
松本六太郎君 黒田 寿男君
世耕 弘一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
農 林 大 臣 森 幸太郎君
通商産業大臣 稻垣平太郎君
建 設 大 臣 益谷 秀次君
国 務 大 臣 青木 孝義君
国 務 大 臣 本多 市郎君
出席政府委員
大蔵事務官(主計局長) 河野 一之君
通商産業政務次官 宮幡 靖君
経済安定政務次官 西村 久之君
委員外の出席者
專 門 員 小林幾次郎君
專 門 員 小竹 豊治君
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本日の会議に付した事件
昭和二十五年度一般会計予算
昭和二十五年度特別会計予算
昭和二十五年度政府関係機関予算
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[前略]
○中村(幸)委員 ただいま天龍川の問題が出ましたが、この天龍川は諏訪湖に源を発しまして、浜松附近を流下して太平洋に注いでおります。比較的渇水の少い急流でありまして、沿岸にいまだかつて斧鉞を入れたことのない大森林資源もありますし、また良質の石灰石が無盡蔵に包蔵せられております。さらにまた下流の二俣町附近には久根銅山、峰ノ沢銅山もあるし、最下流に、は工業都市浜松市がある。こういうように総合開発をするには、最も適当な河川であると思うのであります。最近上流の平岡発電所の工事は再開せられたようでありますが、その下流の佐久間にダムを建設いたしますと、三十五万キロの発電ができるのでありまして、さらにその下流の横山に発電所を設けますと十万キロの発電ができる、合計いたしまして四十五万キロの発電が可能となるのであります。この発電計画を前に申し上げましたような総合的な開発をいたしますと、電力原価も比較的安くつくのであります。しかも上流下流を通じまして物、質的にも精神的にも、沿岸数十万の住民に與える利益は、実に莫大なものがあると思うのであります。大臣におかれましてはすでに御認識になつておるようでありますが、どうかこの天龍川総合開発もぜひとも強力にお取上げいただきたいと思うのであります。
次に問題をかえまして地下資源の開発についてお尋ねいたしたいと思います。申すまでもなく、金属鉱物はあらゆる産業の基礎物資でありまして、これを合理的に開発するということによりまして、初めて輸出産業は振興せられる、また輸入資金の節約もできるのであります。日本の経済を安定せしめ、さらに進んで積極的に復興をはかつて参りますためには、地下資源を急速に開発するということが、急務中の急務で、あると考えておるのであります。ところが戰時中の濫掘と戰後の経済界の混乱によりまして、設備は老朽荒廃し、また金のごときは昭和十八年の金鉱業整備の犠牲となりまして、その施設のほとんど全部が撤去せられておるのであります。その上に最近の有効需要の減退、あるいは資金難、あるいは価格補給金の撤廃等によりまして、金属工業は現在非常に苦境に追い込まれておるのであります。これに対しまして政府におきましてはいかなる方策を講じておられますか、鉱物資源開発促進に関する基本的の構想を承りたいと存じます。
○稻垣国務大臣 地下資源の開発につきましては、通産省といたしましても今日貿易の振興と並びまして、どうしても少い地下資源の開発ということに力を盡さなければならない、かように存じておるのであります。御指摘のように戰争中ずいぶん荒廃に帰せられた点が多いのでありまして、これらにつきましても、いろいろこれがため要するところの資金も相当かかるだろうとかように考えておるのでありまするこれに対してはわれわれの方といたしましても、できるだけ資金のごあつせんをいたしておるのでありますが、大体われわれの方といたしましては、探鉱費の補助金といたしまして一億五千万円が計上されておるのであります。大体これは金鉱山が三十箇所で三千五百メートルを予定いたしましん千四百万円、銅鉱山が二百箇所、三万メートル、一億二千万円、その他新鉱床が二、十箇所で四千メートル、千六百万円を予定いたして、その他石綿三箇所、黒鉛三箇所に対してもそれぞれ二百四十万円、二百六十万円の探鉱補助金を出すことにいたしておるのであります。二十四年度の補正予算で大体六千万円の銅鉱業の補助金を出したのでありますが、それに比較いたしますれば、銅鉱業につきましても実は一億二千万円、倍額を計上いたしたような次第でありまして、ことに産金政策その他については、特別にわれわれは今日力を入れなければならぬ、かように考えておるような次第であります。そのほか石油の試掘、これも地下資源といたしまして必要なものでありますが、北海道における石油の徹底的な調査につきましては、見返り資金から出す。そのほかの試掘補助金といたしまして一億一百八十七万五千円を計上いたしておるので島ります。そのほか最近問題になつておりますのは、例の天然ガスの新潟、あるいは静岡の焼津でしたか、あるいは千葉の大多喜、天然ガスの利用についても十分考慮を拂わなければならぬのではないか。これもパイプ、ラインによつて東京に直結するというようなことも、一応考えなければならぬじやないか、これについても、実はこれを計画されておる人々と、それぞれ御協議を申し上げておるような次第であります。
○中村(幸)委員 探鉱奨励金につきまして、二十四年度に比べて二十五年度におきまして、非常に増額せられておりますことは了とするのでありますが、金の探鉱奨励金の千四百万円は、小額に過ぎはしないかと思うのであります。産金を最も奨励いたしました昭和、十五、六年当時は、大体五、六百万円奨励金を出しておつたようであります。今日の物価指数から申しますれば、二億円や三億円の探鉱奨励金を金に対しまして支出しても決して多過ぎるということばございません。先日通産大臣また大蔵大臣より金の買上げ価格を四百五円にして、国際価格にさや寄せしたい、こういう御説明があつたのでありますが、さらに進んで金の価格は二重価格制を採用いたしまして、買上げ価格と拂い下げ価格に差額を設け、その差額を探鉱奨励金その他に使用したらと思うのでありますが、政府におきましては、さらに一層金に対しては、積極的に探鉱奨励金をお出しになる考えがあるか。またただいまの金の価値つきまして、二重価格制を採用するようなお考えを持つておいでになるかどうか承りたい。
[後略]