5閉-参-農林委員会-1号 昭和24年08月18日

昭和二十四年八月十八日(木曜日)午前十時三十六分開会
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  本日の会議に付した事件
○水稻單作地帶対策に関する調査の件(化学肥料の補給金問題及び昭和二十四年度産米早期供出奨励金問題)
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○委員長(楠見義男君) それではこれから委員会を開会いたします。本日は公報で御案内申上げましたように、議題は目睫に迫つておる早期供出の奨励金の問題、それから同じく單作地帶における畑作轉換の問題、それから化学肥料の補給金の問題、これらの問題を中心にして政府当局から一つ御説明を伺い、又意見の交換をいたしたいと存ずるのであります。政府委員の方の御出席の都合によりまして、最初肥料の補給金存廃問題につきまして、御承知のように今いろいろ問題になつており又閣議でも審議されておるようでありますが、その問題についてその経過、或いはそれに伴う農業経済、或いはその他の農業増産についての影響等も檢討を必要といたしますので、それらの問題を中心にして先ず御審議をお願いいたしたいと存じます。
 最初に申上げますが、御出席になつておる方は農林省から坂本政務次官、それから物價廳から渡邊第一部長、長谷川第二部長、安定本部の方から前谷生活物資局次長、農林省から藤田農政局長、その外課長の方々もお見えになつております。それでは一應渡辺さんからお話を伺つた方がいいと思いますが……、それでは経過を御説明頂きましよう。

○説明員(渡邊喜久造君) それでは、補給金の問題は現在閣議で引続き審議中でありまして、今日も午後一時からの臨時閣議で更に審議することになつておりますので、政府の案としてはまだまとまつた段階に至つておりませんが、一應現在話題に上つております点について簡單に御説明申上げたいと思います。
 物價廳の方としまして補給金の削減につきましては、いろいろ檢計を重ねて参つたのでありますが、御承知のように今年の補給金は総額二千億、そのうちで輸入補給金八百三十三億、それから二十三年度分の繰越が百五十億、安定帶物資補給金約千億これが一應の予算に上つております補給金の極く概括的な内訳でございます。この二千億につきましては一應予算の上ではこういうように、一つは当時爲替レート設定という問題が重なり合つておりましたので一應こういう予算には組んでありますが、できるだけこをけ節減したいということは政府の意向でありまして、同時にその節減によりまして浮び上りました財源を以ちまして、現在これも論議されております税制改正の問題と結びつきましてその減税財源に充てたいとういのが政府の意図であると思います。その線に沿いまして物價廳といたしましては、一方において現在設定されております三百六十円のレートの基礎を描かさないという意味の物價水準を堅持するというそうした一つの方針を持ち、同時にそれに支障を來さない限りにおいてできるだけ補給金を打ち切つて行く、こういう意図を以ちまして現在いろいろな作業をやつておりますが、一應の節減額といたしまして議論されておりますのは大体三百億から三百二十億、或いは大藏省の方では三百五十億見当は何とか出ないかといようなところで今審議をされておる最中であります。
 話題に上つておりますものを極く簡單に御説明いたしまして、そうして当委員会の当面の関心の的であります肥料補給金の点に移りたいと思いますが、今申しました三百億乃至三百五十億の中で一番大きな金額が出ますのは、何と申しましても鉄鋼の補給金であります。鉄鋼につきましては現在鉄鋼の補給金、或いは銑鉄の補給金、石炭の補給金というようないろいろな段階と輸入補給金を併せまして全部で七百億、二千億の中で七百億の補給金が出るのでありまして、これにつきましては司令部といろいろ折衝がありまして、現在といたしましては石炭の方は安定帶補給金を廃めるというこの線で作業が進めらめております。影響といたしましては鋼材の價格が消費者價格で五割程度上るのではないかと思つておりますが、いろいろ細かい作業をしておる最中であります。これによりまして補給金の額といたしましては本年度におきまして百四十五、六億見当というようになつております。それから後は金額がずつと小さくなりますが、ガスに使つております石炭が、これはすでに七月の十日で以てガス用炭に対する補給金は止めまして、このためにガスの値段が七月二十一日から七割八分程値上りになりましたが、これによりまして約二十五億の節減、これはすでに実施済みであります。それからコークスに対しても補給金が出ておりますが、これにつきましては八月十六日から値段を三割引上げまして、現在御承知のように石炭の統制廃止が議論されております。その場合において石炭の價格をどうするかということが議論されておりますが、物價廳といたしましては價格の方につきましてももつと統制を廃止したいということを希望しておりますし、又そういう時期になりましたらコークスにつきましても補給金を廃めていいのではないかという意見を持つております。司令部との折衝がありまして必ずしも決定的なことは申上げられませんが、大体この分で三百六十億程出ます。それから曹達の関係で補給金を少し出す。大体これは石炭に現在出ておるのでありますが、その石炭に出ておる補給金を打切ることを中心にいたしまして、曹達の四割四分切つて約九億を出す。それから銅は現在予算には二十八億計上されておりますが、最近における銅の市場における状況から見まして、これは半額の十四億出したら残りは打切つてしまう。司令部の方から一應の指示がありまして、大体これは方針が決つております。そういつたようなものとそれからもう一つ輸入補給金についてこまごましたものを相当切ろうということを考えております石綿でありますとか、コプラでありますとか、油脂、ゴム、そういつたようなものが切られるわけでありまして、この関係で大体現在物價廳で予定しておりますのは約八十億見当のものを予定しております。その外にドル價が最近大分下つておりますので、その関係で以て六十三億程の輸入補給金の節減が考えられます。まだこまごましたものがございますが、それやこれや合せまして、それから三百六十円レートの設定になりますときに輸入補給金がこの方では一時殖えたのですが、それらを全部差引加算しまして大体三百二十億から三百五十億見当、物價廳としましては三百二十億見当、大藏省は更にこれに対して三百五十億見当の金を出せんかというのが現在論議されている最中でありまして、まだ最終の結論に至つておりませんことは先程申上げた通りであります。
 < 略>
 私の方で議論されておりますのは、一應こういう試計をしておりますが、大体この際実現される考え方としましては(1)にあります石炭、コークスに対する補給金を廃止するということを第一段階として、來年の春肥ぐらいから実行することにしてはどうだろうかということを中心にしまして、今閣議で御檢討を願つておる段階であります。どういう結論になりますか、今日の一時から又閣議がございますので、結論のことは何とも申上げられませんが、一應私の方で作業しておりますところを御報告申上げまして御参考に供したいと思います。大体以上であります。

○委員長(楠見義男君) 何か御質問がありましたらどうぞ……

[後略]