5-参-経済安定委員会-12号 昭和24年05月18日

昭和二十四年五月十八日(水曜日)午後二時九分開会
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  本日の会議に付した事件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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[前略]

○藤井丙午君 第二の問題につきまして、今回の爲替レートの決定に伴ないまして、必然この輸入物資の補給金が相当不足することになつておるわけであります。鉄鋼等でも二十数億、全体を合せれば八十億程度の補給金の不足になるだろうと推算されるわけでございますが、この補給金の不足は、この予算面では増額することは不可能な現状でありますので、勢いこれを補填して行くために、一方におきましてはまあ企業の合理化等によりまして、極力これが吸收をする方策を講ずることは無論でありますけれども、これも物價改訂をされたばかりのところでございまして、相当今度の物價改訂につきましては、嚴密な査定が物價廳で行われておりますが、この企業の合理化により、或る程度吸收ということも考えられましようけれども、これは限度があるものでございまして、從いまして結局予算の増額ができないということになれば、今まで國の補給金を出しておりました品目について一部廃止をするなり、或いはそれと裏腹になつての價格の改訂ということが当然問題になつて参ります。又一面輸出によつて有利になりまする面もございますので、これらの輸出から生じて來る利益金等も、場合によつては輸入不足と見合つてプール計算にするというような方法も考えられるだろうと思います。最近新聞等にもしばしば散見するのでありますが、これに対して政府もいろいろ施策をお考えになつておりましようけれども、その中には、例えば鉄鋼で申上げますれば、銑鉄、特に鑄物用銑鉄の販賣價格を値上げするなり、或いは又半成品、鋼塊等の値上げで、最終の鋼材の値上げをしないで、その中間の段階において何とかこれを吸收しようということも一部考えられておるようでございますし、又補給金を出しておる品目の中で、これは國内の價格調整費ですけれども、銅であるとか、ソーダであるとか或いは肥料であるとか、そういつた関係品目の價格調整費を一部削減して、これに振充でるとか、或いは石炭の特定産業向けの補給金の中でガス、コークス、硫安、ソーダ、こういつたものの一部の特定向け石炭の補給金を廃止するというような操作によつて、輸入補給金の不足を補填、調整して行かれるというようなことも十分考えられておるやに伺うわけでございますが、これはもう現実の問題としまして、それぞれの関係業界としましては、理論の問題でなくて、具体的な現実の問題ですが、何らか至急これが対策を決定されまして、それに伴い、例えば價格の改訂なり、何なりの措置を講じなければならん、かように考えるわけでございまするが、それに対して政府としては今どういうふうな措置方針をお考えになつておるのでありますか。一つお説明を伺いたいと思います。

○國務大臣(青木孝義君) この輸入物資に対しまして補給金の調整をするということでありますが、御承知の通り爲替レートが三百六十円の設定によりまして、この輸入補給金の不足額の調整につきましては、閣議に決定に基いて既定の物價政策の方針の下に、培給金の増額によることなく、輸入補給金及び安定帶補給金の総額の範囲内におきまして、大体その要領によりまして措置するものといたしました。これによりまして、輸入補給金の総額は八百十七億に止めまして、既定額に対しては若干の留保額を設けることといたしました。そこで物資によりまして、輸入の緊要度の割合小さいものは輸入補給金を削るというようなこともいたしております。それには骨粉であるとか、それから黄麻であるとか、樺太パルプであるとか、そういつた物を挙げておりますが、石綿につきましては現行拂下價格を國際正常價格まで引上げるものといたしまして、これに対する輸入補給金を節約するということ、それから硫化鉱工業用加里につきましては、新たに所要の輸入補給金を支出する、或いは石炭、銑鉄につきましては所要の補給金を定安帶補給金の節約額から支出する。これがためには鉄鋼の消費者價格を小賣企業の段階におきまして吸收し得る限度まで引上げ、それから國際價格に近付けるというような措置を考慮いたしました。それから又黒鉛につきましては、石炭窒素用のみについて補給金を支出することといたしましたし、且つ又これを肥料の安定帶補給金の節約額から支出する。それからその外の輸入物資で既定の輸入補給金の支出対象であるものにつきましては、三百六十円レート設定による所要額について輸入補給金を支出するというような措置を取つた次第でございます。

○藤井丙午君 そうすると、只今の長官の御説明によりますと、今お話になりましたような物資については、もうすでに決定しておるのでございますか。大体そういう方向で今檢討中でございますか。

[後略]