4-参-商工委員会-2号 昭和23年12月10日

昭和二十三年十二月十日(金曜日)
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  本日の会議に付した事件
○廃兵器等の処理に関する法律案(内閣送付)
○特殊鋼に関する請願(第三十三号)
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   午後二時三十八分開会

[前略]

○栗山良夫君 ちよつと政府当局にお尋ねをいたします。前回の委員会で廃兵器に関する終戰後の大体の状態、並びに今回問題になつておりまする産業復興公團の内容について、一通り御質問をいたし、且つ御答弁を頂いたわけでありまするが、もう少し復興公團の内容について御質問を続けて行きたいと思います。
 先ず最初に、現在の産業復興公團のやつておられまする業務を、部門別にいたしまして、全体の仕事の各部門に対する比率と申しますか、ウエートと申しますか、そういつたようなものを、或る程度お聽かせ願いたいと思います。

○政府委員(山本高行君) 産業復興公團の業務の内容についてお尋ねがあつたのでありますが、復興公團の行います仕事は、大きく申しまして三つに分れております。それは復興公團法の第十六條というのに規定があるのでございますが、その第一には、「経済安定本部総務長官が定める方策に基く産業設備の建設及びその貸付又は賣渡」、これを一口に建設業務と略称いたしておりますが、それが一つでございます。それから第二に、「経済安定本部総務長官の定める方策に基く産業設備又は資材の買受及びその貸付又は賣渡」、これが二番目の仕事でございます。三番目に、指定業務と呼んでおりますが、「経済安定本部総務長官の指定する業務」、公團法の第一條に公團の目的が書いてございますが、「産業復興公團は、経済安定本部総務長官の定める基本的な産業政策及び産業計画に從い、産業設備又は資材の整備又は活用を図り、以て産業の速かな復興を促進することを目的とする。」この目的に適つた仕事でなければならないのはもとよりでございまして、それを先程のように十六條で三つに分けているのであります。從いまして、最後に申上げました指定業務も勿論第一條の目的の範囲内、その目的を達するに必要な指定業務と、かような関係になるわけであります。
 次にこれらの仕事に現在大体どれくらいの資金なり人間なりを廻しているかということにつきましては、概略の数字につきまして説明員から御説明を申上げます。

○説明員(永山時雄君) 只今お答えをいたしましたような内容で主な仕事をいたしているのでありますが、現在の復興公團の仕事の情況といたしましては、殆んど大部分を資材関係の仕事が示めております。これを現在の人員で見ますると、大体十月当初の復興公團の職員は全國合せまして約千百名いるのでございます。そうしてそれを内訳をいたしますると、本部の関係が約七百名、それから支部の関係が約四百名、こういうような大別になつております。この支部の関係は、殆んど全部が資材関係の仕事をいたしております。それから本部の約七百名につきましても、その三分の二程度の者が資材関係でありまして、残りが建設の仕事その他一般の企画庶務というような共通事務の関係をやつているという実情でありまして、從いまして復興公團の仕事はその大部分が資材関係の仕事であると申上げてよかろうと思うのであります。それで金額の問題はこれは期によつて非常に凸低がございまして、一概に申しかねるのでございますが、大体最近までの建設関係の仕事といたしましては、建設の工事の契約をいたしましたものが三十五件、金額にいたしまして八億七千五百万円程の額に達しております。この中には基礎産業関係、例えば現在やつております代表的なものといたしましては、東北の松尾鉱山の硫化鉱の積出し施設を建設いたしておりますが、こういうようなもうなものがその代表的なものでございますが、これが大部分を占めまして、その八億七千五百万円のうち六億四千万円程がこの基礎産業の関係が占めております。件数は三十五件のうち七件でございますが、金額的には基礎産業関係が大部分を占めております。その他のものは輸出産業その他というような関係になつております。これに対しまして資材関係の仕事といたしましては、先ず鉄鋼関係、これは終戰前に鉄鋼販賣株式会社という統制会社があつたのでございまするが、その資材の一部を産業復興公團が引受けまして、それを処置いたしておるのでございますが、これは扱い量は約三万七千トン、四万トン近くの数字でありまして、金額的には一億三千万円ばかりでございますが、このうち約二万トンをすでに処理いたしておるのでございます。それからこれと同じような仕事といたしましては、非鉄金属の関係でございますが、これは日本金属株式会社、これもやはり非鉄金属についての一種の統制機関であつたものでございますが、これの持つております約九万五千トン程の非鉄金属の買取りをいたしておるのでございますが、このうちすでに約四万トン程の処理をいたしまして、その金額は約九億円くらいになつております。その他に金属回收会社の回收した古鉛の関係も扱つておりますが、これも現在までに約一億六千万円以上の金額を処理し、又金属鉱業の振興対策といたしまして、山元に滯貨になつております電氣銅、水銀というようなものを約二億円程現在までに買取り、保管をいたしております。この外に石綿関係というようなものも扱つておりまして、これが約一千万円、それから八軍からP・Xの不用品の拂下を受けまして、これを重要事業関係の労務者配給等に向けておりますが、これも現在までに約二千万円近くの金額の処理をいたしておるのであります。その他に風水害対策、例えば昨年の関東の風水害、それから先般の福井の震災の救済物資、それから東北方面の水害の対策の物資というようなものでも本公團をしてその救済物資の一部を取扱わせるというような処置をいたしておりまして、資材関係といたしましては相当厖大な金額と多種類の業務を扱つておるという状況でございます。それから特に最近におきまして資材部関係の大きな仕事になりつつありますものは、本年の三月末で、全國的に在庫の一斉調査をいたしまして、それに基きまして不正保有物資、いわゆる隠退藏物資に該当する物、不正保有物資と、それから一定数量以上に持つております過剰在庫をこれを政府が買上げをすることに相成つておるのでございますが、それの代行機関としてこの産業復興公團が活動するということになつております。これはこの隠退藏関係の問題につきましてはいろいろ從來からの経緯を辿つておつたのでございますが、昨年の当初から大体復興公團をして買取り処分をさせるということに相成つて、昨年からこの事業を始めておりますが、その後本年の五月からはその性格を切替えいたしまして、只今申上げましたように政府が買上げをして、ただその仕事を産業復興公團をして代行処理をさせるということになつておるのでございますが、その前段の産業復興公團自体が買取り処置をするという関係の段階の仕事の量といたしましては、不正物資を約三億円程度の買上げをいたしまして、最近までに一億六千万円以上の配給処置をしたというような実情になつております。
 それからもう一つ大きな問題といたしましては、ここに御審議を願つております廃兵器処理の関係を復興公團をして國の代行をさせるということで、これも先般資料に基いて御説明申上げましたような規模と内容で、今後復興公團として相当大きな仕事になつて参るだろうとかように考えておるのであります。尚從來この外にやつておりました仕事といたしましては、農村の米の供出に対するリンク物資の配給を、特に繊維品の配給を産業復興公團をして取扱わせておりましたのでございますが、これは最近におきましては復興公團の取扱いを止めまして、別途の措置に切替えることになりました、從いまして現在は取扱つていない実情になつております。大体復興公團の仕事の内容は只今申上げました程度でございます。

○栗山良夫君 今いろいろ伺いましたけれども、復興公團の仕事の内容は、公團の最も大きな目的の、いわゆる産業設備の建設という面でなくて、その外の雜的な仕事に大変沢山入つておるようでありますが、私ちよつと頭を整理する意味で、もう一度総括的にお伺いしたいのは、資材関係、産業設備の建設関係は一件で六億というようなのがあるということを伺いまして、よく分りましたが、その外資材関係全部引つくるめまして、金額でどれくらいに、復興公團が発足しましてからなつておるのか、その総計を一つお伺いしたいと思います。人員の方が千百名あつて、こういう陣容を持つておるということを申されましたが、人員の数が復興公團の仕事の内容なり、或いは活動の状況を明らかにするのではないのでありまして、やはり仕事の面でお伺いしたいと存じます。
 それからもう一点伺いたいのは、いろいろな資材関係の買取り或いは賣渡しというようなものが全部復興公團へ集中されておると申しましたが、私共の承知しておるところでは、強ちそうではなくて、現在まだ復興公團へ引継ぎせられていないというような種類の仕事がある。例えば特殊鋼の問題のごときは、全然外の機関で行われておるらしいのでありますが、そういうような内容をもう少し明らかにして頂きたい、それから又どうしてそういうものがこの中に入らないのか、その事情も一つお伺いしたいのであります。

[後略]