68-衆-社会労働委員会-20号 昭和47年04月25日
昭和四十七年四月二十五日(火曜日)午前十時十分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君
理事 橋本龍太郎君 理事 増岡 博之君
理事 山下 徳夫君 理事 田邊 誠君
理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
秋田 大助君 有馬 元治君
伊東 正義君 大野 明君
大橋 武夫君 梶山 静六君
藏内 修治君 小金 義照君
斉藤滋与史君 田中 正巳君
高鳥 修君 竹内 黎一君
中島源太郎君 中村 拓道君
野中 英二君 別川悠紀夫君
渡部 恒三君 大原 亨君
川俣健二郎君 後藤 俊男君
島本 虎三君 八木 昇君
山本 政弘君 古寺 宏君
古川 雅司君 渡部 通子君
西田 八郎君 寺前 巖君
出席国務大臣
労 働 大 臣 塚原 俊郎君
国 務 大 臣(内閣官房長官) 竹下 登君
出席政府委員
大蔵省主計局次長 吉瀬 維哉君
郵政省人事局長 北 雄一郎君
労働省労政局長 石黒 拓爾君
労働省労働基準局長 渡邊 健二君
労働省労働基準局安全衛生部長 北川 俊夫君
委員外の出席者
日本専売公社総裁 北島 武雄君
日本専売公社理事 今川 演祐君
社会労働委員会調査室長 濱中雄太郎君
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四月二十五日
公的年金の年金額等の臨時特例に関する法律案(大原亨君外六名提出、衆法第二〇号)
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申し入れに関する件
労働安全衛生法案(内閣提出第四一号)
労働関係の基本施策に関する件(春季賃金引上げ要求に関する問題及び郵政省における労働問題)
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○森山委員長 これより会議を開きます。
労働安全衛生法案を議題といたします。
質疑を行ないます。
質疑の申し出があります。順次これを許します。島本虎三君。
[中略]
○渡邊(健)政府委員 この五十五条でただいま申し上げましたような物質は、発ガン性の物質の中でも特にこれは許容濃度がないといわれまして、ほんの微量なものに触れましてもそういう発ガン作用を持っており、非常にその発生率も高く、現在の技術水準では完全に労働者がそれに曝露することを予防することは不可能、こういうように考えられておるものでございます。
その他、先生御指摘のように、なおガンの原因となるような原ガン性物質があるわけでございますが、それらにつきましてはいろいろ製造過程におきまして規制をいたしまして、密閉した装置の中で製造させるようにする等々の処置を講じますとか、あるいは許容濃度にいたしましても、他の物質は一定の許容濃度以下に押えることが可能である、許容濃度以下に押えれば一応現在の医学水準では労働者に障害を生じないことが考えられるというようなものでございますので、そういうものにつきましては、各種の規制措置を厳格にすることによりまして、労働者がそういう物質に曝露しないように、気中濃度なども許容濃度以下に押えるように規制をしていく、こういうことを考えておるわけでございます。
○島本委員 あえてここに、黄りんマッチその他命令で定めるもの、これが基準法四十八条、これをそのまま受け継いで、新法ではこれに新たにベンジジンであるとか、ベンジジンを含有する製剤——またベータナフチルアミン、これは発ガン性の物質として指定してきた。その他のものも考えるという。あえてこの名前を列挙した以上、それではアスベストであるとかベリリウム、こういう発ガン性物質をあげなかった理由は、これはどういうようなわけですか。
○渡邊(健)政府委員 先生ただいま御指摘のアスベストそれからベリリウム等は昨年制定いたしました特定化学物質等障害予防規則の中に特定化学物資としてあげているものでございまして、それらに対しましては、当規則の中で局所排気装置であるとかあるいは除じん装置であるとか、あるいはその他の漏洩予防の規制であるとか等々の規制措置を講じておるところでございまして、それらを厳格に順守せしめますならば、一応労働者に有害な障害を生ずることを防ぎ得ると、われわれかように考えておるところでございます。したがいまして、今後これらの規則を厳格に守らせることによりまして、労働者にそういう障害が生ずることのないようにしてまいりたいと考えるところでございます。
○島本委員 ベーダナフチルアミン、これは厳格に守らしても予防できないものである。アスベスト、ベリリウム、これらは厳格に守らしたならば予防できるものであるという、この根拠はありますか。
○渡邊(健)政府委員 ベータナフチルアミン等につきましては、外国の実情等を調べましても、現在の技術水準では、労働者が暴露することからこれを完全に防御するということは期待できない、こういうような状況を聞いておるわけでございます。
○島本委員 そのほかコールタールやそれから砒素、砒素化合物、こういうようなものに対してはどういう措置をとっていますか。これも全部発ガン性物質でしょう。
○渡邊(健)政府委員 コールタールや砒素化合物などもやはりこの特定化学物質等障害予防規則の物質として掲げてございまして、先ほど申し上げましたような物質と同様に障害発生予防のための規制を当規則によりまして厳格に行なってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○島本委員 クロム酸塩だとかニッケル、こういうようなものも同様なランクになっておるわけであります。もうすでにこういうようなものは医学的に発ガン作用が確認されている。にもかかわらず労働災害防止というこういう観点から労働省はこれに対して具体的な手はまだそこまで及んでおらないで、ただ注意だけさしておる。一方アメリカからいわれると、これはもうベータナフチルアミンのように禁止する、使用禁止の項目の中に入れている。もうすでに現行犯のものに同様なものがあって、これは学界から指摘されているものにアスベストがある。こういうものに対しては要注意だけにとどめておる。この辺はあいまいじゃありませんか。これでいいんですか。これは発ガン性物質である、これはそのおそれが十分過ぎるほどあるということをもうすでに指摘されているはずです。これはまだこの辺にも甘さがあるじゃないですか。これはもっと注意しないとだめだ。労働大臣、これは注意しないといけません。まだこういう状態なんです。いままで、これだって、あげているのはもうすでに過去の札つき。いまもう進行中のもの、現在指摘されているものは入っておらない。ただ要注意の中に入れてある。この間にまた進行するのです。おそらくまだまだこれだけやっても手ぬるい。現在公害では世界一の汚名さえ持っている。この原点においてこれをつかまえるという努力がまだ不足だ。疑わしきは、公害の場合は罰してもいいんです。労働省は緩慢に手放しで許しておる。こういうことはあってはならないはずです。どうなんですか。
○渡邊(健)政府委員 アスベスト等も特定化学物質等障害予防規則の中の第二類物質として掲げられておるところでございまして、同規則によりまして、それに基づく障害が発生することのないようでき得る限り同規則の厳格な順守をさせていくようにいたしたいと考えております。
なお、先生御指摘のように、まだいろいろ問題のある物質もほかにもあるわけでございますが、それらにつきましては今後とも検討を進めまして、それらの危険性等の証明が漸次明確になってまいりますならば、それに応じまして五十五条の政令で規定いたします物質をふやしていくということで、今後この制度の充実につとめてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○島本委員 じゃこれは厳密に言って、塩素または塩化水素、こういうようなものに対しても——これも塩化ビニール工場なんかでは被害者がもう出ておる。それからBHCやDDT、こういうようなものによってもはっきり被害者が出たりしている。
〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
こういうようなものに対して、一つ一つ後手後手に回ってはならないと思うのですがね。公害基本法が一昨年の暮れに改正された。関係立法十三、その後また三つふえておりますが、すでにそれぞれ変わった。大気汚染防止法、水質汚濁防止法。もう無過失賠償責任法さえ提案されている。この大気汚染防止法の中にもうすでに特定物質としてきめている問題がある。それからこれはもう規則その他によってはっきりこういうような問題を指摘しているのもある。こういうようなものとの関係はどういうふうにつけておりますか。
[後略]