40-参-商工委員会-11号 昭和37年03月13日

昭和三十七年三月十三日(火曜日)午後一時三十八分開会
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   委員の異動
三月九日委員竹中恒夫君及び小柳勇君辞任につき、その補欠として吉武恵市君及び吉田法晴君を議長において指名した。
 出席者は左の通り。
   委員長     武藤 常介君
   理事
           剱木 亨弘君
           中田 吉雄君
           牛田  寛君
   委員
           上原 正吉君
           大泉 寛三君
           川上 為治君
           岸田 幸雄君
           高橋進太郎君
           吉武 恵市君
           阿部 竹松君
           近藤 信一君
           田畑 金光君
  国務大臣
   通商産業大臣  佐藤 榮作君
   国 務 大 臣 川島正次郎君
  政府委員
   北海道開発政務次官      田中 正巳君
   北海道開発庁総務監理官    木村 三男君
   通商産業大臣官房長      塚本 敏夫君
   通商産業省通商局長      今井 善衛君
   通商産業省企業局長      佐橋  滋君
   通商産業省重工業局長     島田 喜仁君
   通商産業省鉱山保安局長    八谷 芳裕君
   中小企業庁長官 大堀  弘君
  事務局側
   常任委員会専門員       小田橋貞寿君
  説明員
   通商産業省鉱山局鉱政課長   土屋 正雄君
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  本日の会議に付した案件
○輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○家庭用品品質表示法案(内閣提出)
○鉱山保安法の一部を改正する法律案(内閣送付、予備審査)
○自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣送付、予備審査)
○北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)

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[前略]

○委員長(武藤常介君) 次に、北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。

[中略]

○阿部竹松君 今、例をあげられた奈良県の水銀鉱ですね。水銀は日本の生産の九九・九%まで北海道の野村鉱業の各鉱場でできるのです。奈良県なんか太平洋のアワ粒のようなものです。それも、日本は一トン三百万円、アメリカからくると二百三十万円ですから、貿易の自由化で、当然七十万円安いのが入ってくるのですから、それを通産省が明確に僕たちに言っているのです。ですからそういう、うそを言っているとは言いませんけれども、具体性のない話をしたってだめなんです。ですから、この次、あなたが、そうおっしゃるのであれば、鉱業政策で佐藤通産大臣がおいでになったとき、一緒に、まことに御足労ですが来ていただいて、そのとき通産省の貿易の自由化に対する鉱業政策と、今皆さんのほうでやられる地下資源開発株式会社の法改正と、政策的にマッチするかどうかということをお伺いしたい。私はこういうことは賛成ですが、あまりルーズなことについては、とっても賛成できかねるわけです。この次ひとつ、委員長質問させていただきます。

○説明員(土屋正雄君) 北海道地下費源開発株式会社の法律改正に関連いたしまして、いろいろ今後の鉱業政策の問題、御指摘になられたようでありますが、多少私どもの考えておる点が誤り伝えられておるのじゃないかというふうなこともございますので、この席をかりまして、説御明さしていただきたいと思います。
 北海道地下資源開発株式会社の法律改正につきましては、北海道開発庁から、るる御説明のとおり、通産省と十分御相談の上でやったものでございまして、私のほうといたしましても、もちろん今後における国全体の地下資源開発の重要性というものをますます重要視いたしておるわけでございますが、しかしながら、その建前といたしますと、あくまでも探鉱補助金と、それぞれ民間企業の探鉱意欲を喚起するというふうな建前になっていることは御存じのとおりでございまして、川島長官のお話のとおり、三十七年度予算は従来一億のものを三億にふやしたという経緯がございますが、ただ、大手の大社につきましては今回の探鉱補助金を出さない、中小鉱山に主として三億の金を出すという建前になっておるわけでございまして、まだ配分の方法その他も決定いたしておりませんが、大体北海道には、この中の一五%くらいはいくんじゃないか、東北地方には三五%くらいがいくんじゃないか、合わせて東北、北海道に五割ないし六割近いものが探鉱奨励金として出て参るわけでございますが、ただ北海道につきまして、この地下資源開発株式会社の重要性と申すのは、今さら私が述べるまでもなく、何といたしましても、まだまだ開発がおくれておる、これは後ほど具体的に申しましてもけっこうでございますが、鉱業権の設定に対しまして開発されている鉱区面積が非常に少ないというふうな状況から見ましても、開発意欲を補助金のみでなくて、ある程度この会社の力を借りまして、より一そうふるい立たせる必要があるんではないかと、かように考えておる次第でございまして、御指摘のような野村鉱業の水銀の問題につきましても、私のほうといたしまして、決して死ねと言ったこともございませんし、生きるように今関税制度を考えて、国会にも提案いたしておるわけでございまして、自由化後におきましても、合理化を達成し、国際価格並みに近づけるように努力するとともに、なお足らざる分を関税制度で補っていく、さらに水銀につきましても探鉱奨励金を出すというふうな考え方になっております。このほか鉱種の中には、それぞれ北海道特有のものもございます。たとえば石綿のようなものも全国で見ますと、一〇〇%北海道で自給しているというふうなもの、あるいは重晶石につきましても一〇〇%北海道から供給を受けておる、こういうふうなものにつきましては、十分探鉱奨励金もつけまして、またこの会社の優秀なる技術によりまして、ますます道内の開発を盛んにしたいと、かように考えている次第でございます。

○阿部竹松君 野村鉱業の水銀について、死ねと言ったことはありませんと、そこで外国商品に太刀打ちさせるために関税をかける、その他のものにも関税をかける、そう聞きましたが、何パーセントかけるんですか。

[中略]

○阿部竹松君 ほかの鉱物資源にも税金をかけると言いましたが、どうなるんですか、何パーセントですか。

○説明員(土屋正雄君) 関税間趣を、ここで全部御説明するのはいかがかと思いますが、実は、かような関税割当の制度をとりましたものは十一鉱種ございます。特に中小鉱山にして、自由化によって危機に瀕するというふうなものを主として取り上げて、かような保護政策をとったわけでございまして、マンガンにつきましても、同様にタリフ・クォーターをとっているような次第でございます。なお、石綿につきましては、相当北海道の産品がカナダ、アメリカのものと比べて競争力があるということにより、特別の措置を必要としないのじゃないか、むしろ逆に実情つまびらかではございませんが、カナダのものと比較いたしますと、日本の品物のほうが安く、国際競争力が逆にあるというふうな状況でございます。
 その意味から、ただいまのところ関税対策は立てておりませんが、ただ問題は、ソ連圏の安いものが入ってきた場合、いかような対策を立てるか、これにつきましては、全般的に緊急関税、その他を検討いたしているような次第でございます。
 さように鉱種々々によりまして、それぞれの山が自由化によって急激に変化を受けないように、関税制度あるいは補助金制度をただいま考えているわけでございます。今後決して大企業のみに集中生産を行なうとか、あるいは中小鉱山が衰滅するのではないかというようなことの起こらないように、あるいは何もしなければ、さようなことになるかとも思いますが、さような現象の起こらないように、通産省としても対策を立てているわけでございます。

○阿部竹松君 何を言わんとするのか、私わかりませんが、関税をかけて、国内産業を保護するということになれば、石綿のようにわが国のほうが安い場合は、そんな心配はないわけです。一年に二千億も、とにかく金属鉱山の水揚げがあって、このうち一千百億か一千二百億が鈍なのです。この銅は、アメリカでは二十四万円、日本では二十八万四、五百円する。二十四万円のとにかく鉱石が入ってくる。そういうことになると、四万五千円くらい安いものが入ってくる。鉛、亜鉛、すずも、そういうことになるでしょう。そうだとすれば、あなたのおっしゃったことの速記録を読んで下さい。山はつぶしません。関税をかけますということになれば、あなたの今の御答弁の石綿なんか、そういうことを聞いているわけじゃない、総体的に関税をかけるというふうに聞こえるわけです。そうでしょう、そういうつもりでおっしゃっているのでしょう。ですから、佐藤大臣に聞かなければならぬと言ったのです。あなた、課長で責任があるかないかわかりませんけれども、関税をどの程度までかけるかということをお聞きしているわけです。銅の場合だって、現在一〇%かかっているから、もう一五%かけます。鉛、亜鉛は十一万円と七万円で四万円の差があるから、これは二三%かけるということになるわけでしょう。関税をかけるということになれば。そういうことになるわけです。それをあなたは言っているわけでしょう。ですから、それを明確に、銅が何%くらいですか、鉛、亜鉛、すず、あるいは硫化銅は何用くらいですかということを、カナダとかアメリカとか言う必要はないのですよ。何%くらいだろうかということを聞いている。はっきりわかるのですから、それくらい自信持って答弁して下さい、あなた。ここで言うのはどうかと思うなんて、関税かけておいて守りますよと、その守る理由を明確にしてもらわなければ困る。それだったら守れる、これくらいだったら足らぬということになるでしょう。その数字だけでけっこうですから。

○説明員(土屋正雄君) 関税対策、個々の品物について非常に抽象的に今まで申し上げたわけでございますが、具体的にというお話になりますと長くなりますが、総括的に、今回自由化対策として関税改正を予定いたしますものが六十三品目あるわけでございまして、その中で、おっしゃるとおり一番問題になりますのは、非鉄金属関係としては銅、鉛、亜鉛ということでございます。銅につきましては、現在までの従価税方式を従量税方式に改めまして、四年半の間暫定的に一〇%の関税を三万円あるいは二万七千円というふうに段階に応じて、暫定期間中の段階に応じまして、ある程度関税率の引き上げを行なっておるというわけでございます。鉛、亜鉛につきましても、同様の方式で四年半の暫定期間の間、現行税率をそれぞれ引き上げいたしたわけでございます。そのほかなお銅、鉛、亜鉛関係といたしまして、あと合金くず、その他関連物資を、それぞれ同じような方式のもとに、すべて手直しをいたしたわけでございます。

[後略]