26-参-本会議-24号 昭和32年04月08日

昭和三十二年四月八日(月曜日)午前十一時三十七分開議
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 議事日程 第二十三号
  昭和三十二年四月八日午前十時開議
 第一 中小企業団体法案、中小企業組織法案及び中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(趣旨説明)
 第二 公衆衛生修学資金貸与法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 社会福祉事業等の施設に関する措置法案(第二十二回国会小林英三君外三名発議)(委員長報告)
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[前略]

○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

[中略]

○議長(松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。占部秀男君。
   〔占部秀男君登壇、拍手〕

○占部秀男君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております地方税法の一部を改正する法律案並びに地方行政委員会の修正案に対しまして、以下述べます二つの観点から反対の意を表するものであります。(拍手)
 反対いたします第一の点は、改正される各税目の内容についてであり、特に国民に与えるその影響に対してであります。およそ地方税の大宗は、住民税、事業税、固定資産税であることは申すまでもありません。今度の改正によりますと、まず住民税では国の減税とは反対に、現行の税率二十一を三十
 三年度は二十六に、三十四年度以降は二十八にそれぞれ裂き上げようといたしております。実に平年度百十五億に上りますところの増税でございます。政府は、国の減税措置に伴う府県や市町村の減収について、この引き上げによってこれを補おうといたしております。しかしながら、地方の今回のこの減収は、もともと地方財政上、独自の理由によって作られた減収ではございません。国の所得税の減税措置に伴うところの税法上当然起る自動的な結果であります。しかも、この所得税の減税措置は、現内閣の一枚看板としての政治的な施策である以上、税務行政の筋道から言いましても、国民の負担の軽減を真にはかろうとする意味から考えましても、国は減税、地方は増税、かくのごとき欺瞞的な方法によるのではなくて、別個の財源措置によって、地方の減収を補うことが正しい政治のあり方であると私は信ずるのであります。しかも国の減税を見ますならば、高額所得者には厚く、低額所得者には薄い。その事実を考えましたときに、国の税金に比べまして、はるかに人頭割り的な大衆課税的な性格を持つこの地方税の引き上げに対しましては、二重の意味合いから絶対に反対をいたします。(拍手)
 次に、事業税についてでございますが、政府は、個人と中小法人との分について税負担の引き下げを行なったと言っておりますが、わずかに二%であります。もともと個人事業税のごときは、その納税者の三割以上は、国へ所得税を納める必要のないほど零細な業者に対してかけられた大衆課税であります。これを今回引き下げようとしますことは、あまりにもおそきに失し、あまりにも軽きに失しておるとわれわれは考えます。大資本の擁護を任務とする自民党の政府が、中小商工業者の窮乏と倒産に対するわが党の追及に追い込まれて、おそまきながら一時を糊塗せんとする処置にすぎないと私は断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 固定資産税におきましても、造船利子の補給をようやく打ち切ったとたんに、今回のこの改正によりまして、外航船舶の課税標準の評価を半分に引き下げ、内航船舶についても特例を設けまして、九億に及ぶ減税を行おうといたしております。この減税の結果の莫大な金は、海運資本のふところにそのまま流れ込むことは火を見るよりも明らかであります。
 一方においては、県民、市民の大多数が負担する住民税を引き上げてまで、財政の窮乏を救わねばならないとするその同じ地方団体のふところから、かくのごとく多額の金を巻き上げてまで、大資本に追随する理由は少しもないのであります。自民党内閣の大資本擁護の政策が、あまりに露骨であるのに、あぜんたらざるを得ません。
 主税においてかくのごときでありますが、他の地方税につきましては、一事が万事でございます。今後の電気ガス税の改正にいたしましても、全国の一般家庭の料金の中に含まれておりまする税金分の引き下げではございません。一部の産業会社に対する非課税品目の追加であります。この税目には、それでなくとも、石炭、鋼材あるいはセメント、肥料等二十数品目にわたって業務用の名のもとに免税の措置がとられております。その額は、年間百億を突破しております。今日さらに石綿を初め、数品目に免税の範囲を拡大し、製氷会社等に免税の措置を拡大せんとする改正でございまして、わが党といたしましては、むしろこの神武以来の好況時代に、かくのごとき免税措置を一切整理して、一般家庭に含まれておる電気ガス税を引き下げることが当面の任務であると考えておるのであります。また軽油引取税にいたしましても、三千円の引き上げの結果が、パスその他の乗客を通じて大衆に転嫁されることは明瞭であります。しかもわが国の道路政策の根本的な再検討に関連いたしましても、わが党としては、絶対に賛成することはできません。
 本院の地方行政委員会におきましては、ただいま委員長から報告がありましたように、さらに衆議院の引き下げに追加した引き下げの修正案が出されました。多数でこれが通りました。一千円の政府原案よりの引き下げは、引き下げとしての意味はあることとは思いますけれども、現行の六千円に比べますならば、明らかに引き上げであります。かような意味合いから、わが党は、これまたこの引き上げに対しては反対をいたすものであります。
 最後に、遊興飲食税についてでありますが、政府は芸者の花代に対する税金分を三〇%から一五%に一挙に半分に引き下げました。同時に大衆飲食につきましては三百円から五百円、旅館の宿泊につきましては八百円から千円までのいわゆる大衆料金に対しては、現行五分の税率を一割に引き上げております。およそ大衆生活に無縁な芸者の花代に対する税金を引き下げ、大衆生活に直結する飲食宿泊の税金を引き上げるところに、現岸内閣の階級的な性格がはっきりといたしておると思います。(拍手)
 以上、私はおもなる税目につきまして、その個々の検討をいたしましたが、総推して申し上げますならば、政府は今回の改正によりまして、総体的には地方税は引き下げたと言っております。しかしその内容を分析するならば、大衆収奪の強化と一部の資本家の利益の奉仕、この二つを土台として組み立てられた改悪案でありまして、わが党は、今回の改正については絶対に反対をいたすものであります。(拍手)
 次に、反対する第二の点は、< 略>
 最後に、特に強調しておきたいことは、地方にしわ寄せさせる方法として、政府は、昭和の善政と称して、国の税金は引き下げるが、他方、地方の税金は引き上げを強行しようとしております。国民大衆は、自分のふところから出ている汗とあぶらの結晶である税金が、多年にわたって再軍備と資本の蓄積に片寄って使われている事実を、苦しい生活の体験の中からようやく悟るに至りました。その攻撃のほこ先は、あげて政府に向けて集中しつつあるこのときに国税を引き下げ、地方税を引き上げることによって、政府はその攻撃の目標を、一つの中央政府から、六千に余る地方の知事、市長、町村長に巧みに分散し、巧みに転嫁し、巧妙に回避しようとする政治的謀略の一つの表われであることを、われわれは記憶しなければならないと思います。(拍手)
 かかる二つの観点から、今回の地方税法の一部改正案に対しましては、日本社会党といたしましては、絶対に反対を表するものであります。(拍手)
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○議長(松野鶴平君) 大沢雄一君。
   〔大沢雄一君登壇、拍手〕

[後略]