19-衆-通商産業委員会-46号 昭和29年05月12日

昭和二十九年五月十二日(水曜日)午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 大西 禎夫君
   理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君
   理事 中村 幸八君 理事 福田  一君
   理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君
   理事 加藤 鐐造君
      小川 平二君    小金 義照君
      始関 伊平君    田中 龍夫君
      土倉 宗明君    村上  勇君
      笹本 一雄君    長谷川四郎君
      柳原 三郎君    齋木 重一君
      帆足  計君    伊藤卯四郎君
      中崎  敏君    川上 貫一君
 出席政府委員
        通商産業事務官(企業局長) 記内 角一君
 委員外の出席者
        通商産業技官(工業技術院東京工業試験所第一部長) 内田 章五君
        建 設 技 官(建築技術研究所長) 藤田金一郎君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 越田 清七君
    —————————————
五月十二日
 委員有田八郎君辞任につき、その補欠として川上貫一君が議長の指名で委員に選任された。
    —————————————
本日の会議に付した事件
 石綿工業に関する件
    —————————————

○大西委員長 これより会議を開きます。
 本日はまず石綿工業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありまするのでこれを許します。加藤鐐造君。

○加藤(鐐造)委員 昨日の新聞記事によりますると、アメリカの技術と資本を導入して、石綿スレートの製造会社を、いわゆる日米合弁でつくる、こういうことが出ておりました。そこで私はこの点についてお伺いしたいと思うのでございまするが、まず第一に政府はこの新聞記事にありまするように、外資審議会がこれを認めたかどうか。それに対して通産省としてはどういう方針でおられるかという点をお伺いいたします。

○記内政府委員 ただいま御質問のありました日米石綿の技術導入の問題につきましては、御質問の通り目下外資審議会で審議をいたしておる段階でございます。これにつきましての通産省の態度でございますが、われわれといたしましてこの問題を取上げました際に、一番問題にいたしました点は、従来の石綿スレートというものが非常に粗雑なものであつて、そのためにごくラフな工場等において若干使われてはおりましたが、相当高級と申しますか、高級とまで行かなくても、ある程度外観を伴うようなものについては、なかなかこれが使用されておらない。自然そのために木材、たとえば杉板でありますとか、あるいは輸入ラワン材でつくつたベニヤ板でありますとかいうふうなものを使用しておる。従つて一面におきましては、木材の使用が非常に盛んに行われ、また一面不燃性のものにしなければならぬという要請にも合致しない。これにとつてかわる新しい製品ができれば非常にけつこうであるというふうに考えておつたのでありますが、幸いにしてアメリカの新しい製品として、いわゆるフレキシ・ボードというものが出て参りました。こうなつて参りますと、従来の内地でつくつておつた一般のスレートとは違いまして、木材を使つておるところにも代替して使つておる。しかもこれが相当二倍もよく耐久力もあり、不燃性の要求にも合致するという点でございます。従つてこういうふうなものは、今後日本としても大いにこれを伸ばして参りたいというふうに考えておつたのであります。ところが従来こういう種類のものは日本内地ではつくつておりません。ただ最近になりましてこの正月あたりから製品がぼつぼつと出まわり出した。従来はまつたくそういう点が顧みられなかつたという点も考えまして、大体の方向としては技術と規格が優秀であればこれを認めていつて、むしろ材木にかわるものとしてこういう製品は大いに伸ばして参りたいというふうに考えておる次第でございます。

○加藤(鐐造)委員 そうすると通産省としてはまだ最終的に決定しておらないわけですか。

○記内政府委員 大体いろいろな事情を考慮いたしまして、内地でも若干の生産は始まつておりますけれども、製品の品質その他から考慮いたしまして、やはりこれは技術を入れた方がいいんじやないかという考え方を持つておる次第であります。ただ出て参つております具体的な申請の内容といたしております点とその条件、たとえば技術を導入するための前払いの資金、あるいは製品を製造販資した際におきまして一種の特許使用料とも申すべきいわゆるロイヤリテイが相当高価になつておりますので、こういうふうな点はできるだけこれを是正させる必要があるというふうに考えておる次第でございます。

○加藤(鐐造)委員 今までの御答弁の範囲ですと、最終的には決定しておらないというふうに私は承つたわけです。そこで次に承りたいことは、技術の導入の方法ですが、すなわち出資の形はどういうふうになりますか詳細に承りたい。

○記内政府委員 二、三年のうちに次次と増資してやつて参ることになつておりますが、ただいまでは小野田セメントと東京興業という会社が二つの資本金でもつてたしか三千万円だつたかと思いますが、会社を現在設立いたしておるわけであります。これを漸次増資いたしまして約四億円の会社にいたしたい。その際におきましては、先方が約二七%、アメリカの会社が現金でドル資金を送金して参つて、株の払込みに充てる部門と、新しい会社がアメリカの会社から一種の特許権を得るための代金を支払いますが、その特許使用料の代金に相当する分を株式に現物出資するということになつております。これによりまして大体二七%くらいの持株になる。それから東京興業が約二五%の持株になり、小野田セメントがたしか四十七、八パーセントだつたと思いますが、株式を現金で出資するというかつこうに相なろうかと存じております。但しもしこの現物出資とも見るべきロイヤリテイ、向うの特許権の使用料をわれわれは引下げるようにも考えておりまして、もし万一これが下つて参ります場合におきましては、現金出資をふやして持株の比率は同じようにいたしますか、あるいは現金出資は同様にいたしまして、イニシヤルとしての現物出資に相当するものが減つて参る、従つてアメリカの会社が持つ出資は減つて参る、従つてまたアメリカの会社、東京興業の持分、小野田セメントの持分に変更が来るということも一応考えられるわけでございます。この辺のところはまた今後の折衝にまつわけでございます。

○加藤(鐐造)委員 そうしますとアメリカ側の出資は特許権だけですか。現金出資その他、私の聞くところによりますと、ジヨンス・マンビルという会社は世界に市場を持つておる。これが何か一つの特許権の権利となつておると思いますが、そうした権利の譲渡というものについては何も出資の形にはなつておりませんか。

○記内政府委員 ジヨンス・マンビルとしましては、ただいまも申し上げましたように、二、三年のうちに日米石綿会社が四億円の会社になりまして、その際におきましては、二七%の出資をするということが現在の案になつております。そのうちの約半分ばかりが現金で出資される。残りの分が一種の特許提供料として現物で特許権として出資するというかつこうになるように承知いたしております。

○加藤(鐐造)委員 今局長から従来日本製品が使用されておつた範囲よりも広範囲にこの新しい会社によつて生産される製品は使用されることになるであろうというお話がありました。そこでまた一方には、しかし現在日本においても規模は小さくて、従つて設備は悪いけれども、新しい分野、たとえば建築用材としての各分野に使用されるような製品ができつつあるというお話がございましたので、そこで日本のそうした新しい製品の今後の生産の見込み、それに対する新しい会社の製品というものが、著しく日本の経済にプラスになる面、そういうようなことについてなお一応詳細にお話を願いたいと思います。

○記内政府委員 最初に申し上げましたように、いわば日本におきましては、この種の製品は新しい製品でございまして、正月ごろからぼつぼつと製品が出まつて参つておるわけでありますが、現在つくつておりますのは四社だけでございます。その他のものは、石綿製品の業者としては大分たくさんございますが、いずれも在来のそまつな製品を製造しておる。いわゆる高級なという新しい製品は四社だけしかつくつておらない。いわば新製品でございます。従いましてこれがどの程度に伸びて参るかということは、今後の問題でございますが、われわれといたしましては、日本の建築家屋その他におきまして、まず第一に不燃性にいたしたい。第二に、また日本の木材の使用が相当部分を占めております家屋の建築に際して、木材にかわるものとしてこの種の製品が乗り出してもらいたいということを熱望いたしておるわけでございます。ところが残念ながら従来の一般業者がつくつておりますスレートでは、こういうものに使用できないわけでございます。従いましてこの技術導入によつて、こういう新製品をどんどんつくりまして、内地の木材使用の合理化によりまして、山林の荒廃を防ぎ、また一面ラワン材等の輸入の防遏にも資したいというふうに考えておる次第でございます。

○加藤(鐐造)委員 局長のお話では現在の日米の製品を比較してみると、品質において著しく優劣があるというお話でしたが、その点おそらく技術関係の面においては相当詳細な試験をせられたものであろうと思いますから、工業試験所と建築技術研究所長とおいでになつておるようですが、私の聞くところによりますと、この両所において試験をせられたというようなことを聞いておりますので、両所の方々から試験の結果を詳細に御説明願いたいと思います。

○記内政府委員 ちよつと誤解のないように繰返して御説明を申し上げておきたいと思いますが、この石綿製品の中に二種類ございまして、在来ありましたいわゆる粗悪な品物の製品、日本では従来これだけしかつくつておられなかつたわけであります。それからこの一月ごろからぼつぼつ市場に現われて参りましたいわゆるフレキシ・ボード相当の新製品、この二種類ございます。従来の粗悪品では今のフレキシ・ボードに相当するだけの利用価値は考えられない。従来のものは非常に古くから日本でつくられておることは御承知の通りでございまして、ただ遺憾ながら、これが家屋その他の建築用にはほとんど使われておらない。新しくこの一月ごろから内地の会社でもつくり始めたものがこれと相匹敵するかどうかという問題になるというふうに御理解をお願いいたしたいということをお断わり申し上げておきたいと思います。

○加藤(鐐造)委員 それで日本における新製品が将来どの程度まで技術的に進んで行くかというふうに思うわけですが、その点について日米の製品の比較研究をせられたかどうか、せられたならばその点を詳細に承りたい。

○内田説明員 私通産省の工業技術院の東京工業試験所の第一部長の内田と申します。ただいまの御質問に対しまして、この一月に私ども工業技術院長からこの問題に関する製品の性能試験をするようにという命令によりまして、試験の資料の採取というような点、あるいはどういう試験の項目について実験をするかというような点につきましては、係の方と全部お打合せをいたしまして、試験所に持ち込まれた資料につきまして、お約束のできました項目につきまして試験はいたしました。三月の末に試験を完了いたしまして、それを工業技術院長を通して企業局長さんの方へ提出いたしました。その御説明も詳細にしてございますので、できますれば企業局長さんの方からそれをお伺いになつていただければありがたいと思います。

○加藤(鐐造)委員 私は試験所の試験せられた結果をお伺いしておる。企業局長から政治的な見解をお伺いしておるわけではない。責任を持つて試験せられたならば試験せられた方から御報告願いたい。

○内田説明員 私どもの方へ提出されました製品は、ジヨンス・マンビルの製品と、浅野スレート株式会社のものと、野沢石綿セメント株式会社のものと、この三箇でありまして、何分こういうふうな製品の性能試験というのは非常にむずかしいものでございます。その一つの性質をもちろんわれわれは技術的な範囲だけで判定するわけでございますが、その技術的な判定におきましても、たとえば自動車とスレートとを直接比較するわけには参りませんが、外観におきましてはあまりかわりなくてもあるいは一つの性能をその場で調べたときにはあまりかわりなくても、長い間使つておりますればかわるというようなこともありますし、こういうような試験をして、それのよしあしというようなことは非常にむずかしい問題でありますので、われわれといたしましてはそういう点を非常に注意いたしまして、資料を採取するのにも、われわれの方といたしましては全然タツチいたしませんで、原局の通産省の方でお持ちになつたサンプルにつきまして、それをお約束のできました、大体どういうふうな項目について試験をすれば大体の性能が推測できるだろうというふうに解釈された試験の項目についていたしました。その試験の項目は物理試験と化学試験と両方でございますが、その物理試験の中には破壊荷重——この項目につきましては後ほど御説明いたします。それから第二番が最大のたわみ、第三番が曲げの強さ、第四番が強さの低下、第五番が弾性係数、第六番が最小半径、第七番が乾燥収縮、第八番が吸水膨脹、第九番がブリネル硬度、第十番が厚さ、十一番が容量、十二番が含湿率、十三番が吸水率、それで物理試験は終りまして、化学試験の方は酸によつて侵される酸溶性と申しますか、硫酸によつて溶ける量、醋酸によつて溶ける量、塩酸によつて溶ける量、これだけのものを試験いたしました。第一の物理試験でございますが、その中の破壊荷重は、板を鉄の棒の間にはさみまして、鉄の棒によつてその両端におもりをかけて、だんだんにそのおもりを上げて行きまして、どこまでおもりをかけて行つたら割れるか、そういう点を確かめたものでございますが、それを運んで来たそのままと、それを正常な状態摂氏二十一度、湿度が五〇%というような状態に二十四時間以上置きました正常な状態、それからそれを特に百五度に二十四時間置きました状態、それを乾燥状態と申します。それから摂氏二十一度の水の中に二十時間入れた状態、この三つの状態につきましておのおののサンプルを、大体つくる状態によりまして、薄くして巻き取つたものでございますので繊維の向きがございますから、その向きによつて、平行のものとそれに直角のものと、両方の性質を、以上申し上げました性質について全部いたしました。

○加藤(鐐造)委員 私の知りたいのは、端的に、日米製品の比較でございます。従つてあなたの方で試験された結果だけを承ればよろしいので、試験の方法等は、もし必要ならばあとで伺いますが、時間の関係がございますから結果だけでよろしゆうございます。

○内田説明員 そうしますと物理試験の中の第一の破壊荷重、これは浅野、野沢、それからジヨンス・マンビルとの製品でございますが、アメリカ側のものと国産側のものをA、Bといたしますと、破壊荷重におきましては、アメリカ側の方がすぐれております。国産におきましてもA、Bの問に多少開きがございます。大体それは乾燥、正常、抱水の各状態においてそうであります。それから第二の最大のたわみにつきましては、乾燥状態におきましては、アメリカ側の方がひいでておりますが、正常状態それから飽水状態においては日本側の方がいい数字が出ております。つまりたくさん曲がり得るということでございます。第三の曲げの強さ、これは単位面積当りの曲げの強さということになりますが、これにつきましては乾燥状態においてはアメリカ側の方がよく出ておりますが、正常の状態では、B社の方がアメリカ側よりよいのが一つ出ております。飽水、つまり水につけてその後に試験した場合には、日本側の方がA、B社ともアメリカのものよりもよく出ております。それから弾性係数と申しますこれはどこまで曲がり得るかということでございますが、この弾性係数や何かが、大体以上の一、二というようなものの結果を総合したようなことになりますが、これはアメリカ側の方が乾燥、正常状態におきましてもよく出ております。ただ飽水のときに日本側の方が小しよく出ております。
 それから第五番の最小半径、これはこういうふうに曲げまして、どこまで曲げたときに折れたか、こういうときの半径でございます。それは乾躁状態においてはアメリカ側の方がよろしいが、正常状態それから飽水状態においては日本の方がよろしい。曲がりやすい、曲げても折れない、たくさん曲がるということになつております。
 それから強さの低下、これは乾燥した場合にどれだけ強さが低下するかという問題でございますが、これにはアメリカのと日本のとではA社の方はよく、B社の方は悪いという状態になつております。
 それから乾燥収縮状態、これは正常の状態から乾燥した場合にどんなふうな状態になるかということでございますが、これもA社の方はいいが、B社の方は悪いという結果になつております。それから吸水膨脹、これはA社の方は悪いが、B社の方はよいという結果になつております。それからブリネルの硬度でありますが、これは乾燥、正常、飽水ともアメリカ側の方がいい成績が出ております。それから厚さ、これはただ厚いか薄いかという問題でございまして、多少日本の方が厚い。三ミリという規定でございますが、それよりも少し余分になつておる。それから容量、これは一定の容積の占める重さでございますが、これはアメリカ側の方がたいへん重くなつております。重いということは、大体圧力をたくさんかけてあるというふうに解釈されます。
 それから含湿率、平常のものが湿度をどのくらい持つておるかということは、日本の方が少く持つております。
 それから吸水率、水をどれだけ吸うかという問題であります。これはA社の方は悪いし、B社の方はアメリカよりも多い。
 以上で物理の試験は終りますが、化学試験は、硫酸に、一定の試料をとりましてつけておきます。その硫酸に溶けて行つた量をはかるのでありまして、つまりそういう酸にどれだけ耐え得るかという問題でございますが、これは、硫酸に対してはわが国の方がよろしい。それから醋酸に対しましてはアメリカ側の方がよろしい。塩酸に対してはA社の方はアメリカ側と同じで、B社の方はそれよりも悪い、こんなふうな結果が出ておりまして、試験の結果といたしましては、そういうものをこまかい数字にして提出してある次第であります。

○加藤(鐐造)委員 建築研究所の方をお願いいたします。

○藤田説明員 私から、それでは簡単に御報告申し上げますが、ただいま広汎なこの種の材料についての比較試験について、工業試験所から御報告がありましたが、私の方におきまして行いました試験は、実はよくほかの製品でもいたしておりますように、新しい製品が出ると準備的な比較試験をして警告を発したり、また多少の改良のサゼスチョンをするというようなことをする意味で、別にそう厳密な比較ということの意味で完了しておるのではありませんが、大体いたしました範囲は、今おつしやいました各般の事項のうち、ごく一部であるところの、私の方の建築に使いますという立場からのもので、これは主として室内において使いますと想定されますが、そのうちで一番主要な判定要素になると思われる強さ、曲げたときの強さというようなことだけを中心にして、試験をいたしたのであります。そうしてその試験片も、私どもが出かけて参りまして任意にとつたのではなく、ただ私の方に持ち込まれた若干の比較的少数の試験片のみについて行つたものでありますので、その点御承知願いたいと思います。
 結果の大要は、大体先ほどおつしやいましたうち、強さに関する事項の数字と大差は少ないように存じておりますが、厚さが一部不同のものがありまして、混入いたしておりますので、なお詳細な検討は了しておりませんけれども、いずれにしても大体先ほどの強さに関する工業試験所における御試験の数字と、傾向が似たようなものであります。要するに詰めて言いますと、日本の市販に出ておるものが二種類、それからアメリカのジヨンス・マンビルのフレキシ・ボードと称するもの、この三種は若干の差はありますけれども、そんなに著しい差はないということだけであります。なおもつと広汎なことを調査をいたしませんと、詳しいことの断言はいたしかねると申し上げておいた方がよろしかろうと思うのであります。先ほども申し上げましたように、われわれの方のは準備試験的なものでありますので、その点をあわせて御承知おき願いたいと思います。

○加藤(鐐造)委員 建築試験所長から研究の結果を承りたいと思います。ただ試験をするに至つた径路だけのお話でありましたが、端的に言つて日米製品の優劣等について御説明願います。

○藤田説明員 実は御連絡を受けたのがつい先ごろでありましたし、私の方で試験をいたしましたのも多分一週間かそこら前のことでありまして、私の手元にまだはつきりとした検討を済ました書類が参つておりませんので、今日詳細な数字を持参するということができませんのと、それから先ほども申し上げましたように、十分な数と十分な試験片の採取方法をいたしておりませんので、最終的な結論的なことをはつきりと申し上げるようなことができませんことは、ひとつ御了承願いたいと思います。しかし大体今まで出ました準備的な試験においての大よその傾向のみを申し上げるのにとどめたいと思います。

○加藤(鐐造)委員 それではもう皆目わからぬわけですが、御説明ができなければできないでけつこうであります。おそらくきよう通産委員会からあなたの方へ御通知があつたことについては、日米石綿の件についてという内容をもつて御通知があつたと思いますので、その点あなたのところに御報告が来ておらなければ御調査の上御出席くださるのが至当ではないかと思うのでありますが、御資料がなければないでやむを得ません。そこで私はなお承りたい点がありますが、時間の関係もございまするので、私は後日試験所の方へ参りまして詳細承ることにいたします。ここで局長に承りたいことは、今の工業試験所の内田さんの御説明を聞きますると、日米製品の長短は相半ばしておるというふうに私は判断いたします。そこで通産省において一体工業試験の結果が長短半ばしておるものを、いわゆる外資を輸入してまで新しい会社をつくらした方がいいとお考えになる点はどこにあるか、いわゆる日本製品がとうてい使用に耐えないとお考えになりましたか、あるいは生産の面においてなかなか伸びないというようにお考えになりましたか、あるいはまたアメリカ製品が著しくすぐれておつて、日本の経済に非常に貢献するというふうにお考えになりましたか、この点を承りたいと思います。

○記内政府委員 ただいま工業試験所の方から第一次の試験の結果について説明がございましたが、私どもそれを説明をいろいろ聴取いたしておりました際に疑問に思いましたことは、セメント製品というものは、ある時間を経過いたしますまでは相当柔軟性、弾力性というものについていろいろな変化が起きるという性質を持つておる点でございます。そこでただいま報告いたしましたのは、この三月に実施いたしたのでございますが、さらにその後におきまして報告が出て参りましてから、緊急にそのうちの特に重要と思われます固さ、あるいはパーミツトというふうな点について再試験を依頼いたしました。大体アメリカものの製品は、こちらへ参りまする輸送の期間その他を考えますと、相当の時日を経過しておるということは大体推測いたされます。従つて内地品だけについて、時間もございませんでしたので、さらに一箇月たつた後の結果というものをごく簡易に再検査してもらつたのでございます。その結果については今試験所の方から説明してもらいたいと思います。なおその際におきましてこの石綿の製品の値段を左右するものは、石綿の含有率の問題になつておりますが、それが不足いたしておりましたので、これも詳細に分析の時間もございませんので、ごく概略のところの分析をして見てもらいたいということで同様にこの点を依頼しておいたわけでございます。これによつてまた品質の問題あるいは価格の問題にも影響して参るというふうに考えた次第でございます。その結果のお聞き取りを願いたいと思います。

○加藤(鐐造)委員 試験所から第二次試験の結果を御説明を願います。

○内田説明員 ただいま企業局長からお話がございました第二次のことにつきましてちよつと補足して申し上げますが、それまでに大体最初の試験の結果日本側の方がよく曲る、強さはアメリカ側の方が強い、大体そういうふうな結果でごごいます。それが先ほどお話もございましたように、石綿セメント製品は材齢によりまして、つまりつくつてからどのくらいたつたかということによりまして、セメントの強度がだんだん出て参りますので、そういうふうな大体つくりたてのものは曲りやすいが弱いというふうなことが一般的に申せます。そういう意味で、日本側のものとアメリカ側のものとどういうふうな材齢の差異があるかというようなことも多少問題になりましたので、追加といたしまして、第一回の試験をいたしましたのは三月中でございましたが、それを四月の終り約一箇月たちまして、前の結果と同じであるかどうかということを、ごくあらまし最大のたわみとか、曲げの強さとか、この二つの項目だけにつきまして、日本側のものだけを実験いたしましたところ、最大のたわみにおきましては、日本側の方のものは前回のものに比べて大分少くなつております。両方とも少くなつております。それから曲げの強さ、これは前回のに比べまして強くなつておりまして、その強さはA社の方は向うのものをしのぐものもありますし、B社の方は大分程度が低いのでございます。そういうふうな結果になりまして、結局日本側の方のものは、つくつてからまだその硬化の途中にあるというふうなことが言えると思います。その点ともう一つは石綿の含有量について調査をいたしました。これは非常にむずかしい問題でございまして、ああいうセメントで固めてしまつたものをあとから調べるのでございますから、非常に困難でございます。ごく概略のところは化学分析とそれから顕微鏡の分析によりますが、石綿の含有量は、大体この三社ともアメリカ製品も日本の製品も三〇%から五〇%くらいの間にあるということが推定されまして、アメリカ製品が一番少く、A社がこれに続いてB社の方が最も多い。つまりアメリカのが一番少くて日本の二社のが次々に多いということははつきり読みとられます。それから石綿の長さでございますが、ああいうふうに固くなつたものを科学処理をいたしまして、短かくするのでございますから、そのときに相当無理はございますが、大体の結果といたしましては、アメリカのものは長短を混用してある。A社は比較的長繊維を使つてある、B社は短かい繊維を使つてあるような結果が得られました。それからもう一つ日本のA社につきましては、どうも防水剤のようなものを含んでいるということが、ちよつと特徴がございます。
 それはたとえば製品に墨で記号を書こうといたしますと、その墨が乗りません。つまり水につけた場合の耐水性をよくしようという御意思だと思いますが、そういう差がございます。それから、アメリカ側の一社と日本側の二社とを比べて今いろいろ御説明申し上げましたが、全般的に申しまして大切なことは、強さということと、たわむということは相いれない性質なんでございまして、強さを強くしようとすると、たわみはたわまない。たわみを大きくしようとすると、強さは出ない。そこでアメリカ側でも、一社の一つの製品にその両方の性質をよくしようとすることは非常にむずかしい。そういうような二つの性質がありまして、最初に申し上げましたように、優劣というのはなかなか申し上げられないのでありますが、そういう点もございますことをお含み願いたいと思います。

○加藤(鐐造)委員 価格の点はどうですか。

○記内政府委員 両社から価格の原価計算に相当するようなものを分析して出してもらつておるわけでありますが、結局両社いずれをとりましても、加工費におきましてはそう大差はない。問題は原料費の石綿の使用量、またはその使用いたします石綿の品種が長繊維であるか、短繊維であるかによつて、原価が違つて参るという判定をいたしておる次第であります。

○加藤(鐐造)委員 そこで数字でもつてはつきり言つていただきたいが、どちらがコストが高くて、どちらが安いかという点をもう少し明確にお答え願いたい。

○記内政府委員 的確な数字は持つておりませんし、また個々の内容につきましてもいろいろ思惑もございましようから、それをそのまま信頼するわけにも参らないかと存じておりますが、両社を対比いたしまして、いずれも大体似たり寄つたりのものが、各項目において出て参つておりまして、帰するところは原料費をどう判定するかというところにおちつく。ただたとえば日米社におきましては、口イヤリテイを払う、その分をどう織り込むか。あるいはまた新設の工場でありますだけに、償却費が若干よけいにかかる、これをどう見て行くかという問題があろうかと思います。それを除きますと、大体原料費でもつて勝負がきまつて来ると考えている次第であります。

○加藤(鐐造)委員 比較試験の点についてはなおいろいろ承りたいと思いますが、しかし時間の関係がありますから、先ほと申し上げたように、後刻詳細に承ることにいたします。今まで聞いた範囲では、最初に局長がおつしやつたように、はなはだしく優劣があるという判断は私としては下せないわけでございます。先ほど私が御質問申し上げた現在の使用価値についての局長の判断については何らお答えがございませんでしたが、これはあるいはお答えができないのではないかと判断いたします。
 そこで私が局長に承りたいことは、局長の話を聞いておりますと、この日米社の製品と国内の製品と比較してどちらがすぐれておるか、少しでもすぐれておるものをとりたいというような考えのように感ずるのでございます。しかし一方外資を導入する問題——国内産来と外国産業の問題でございます。全額はあるいはわずかであるかもしれませんが、しかし外資を導入すれば、従つて国内産業を圧迫するということは、もうどんな詭弁を弄せられても必然の結果として出て来ると思うわけでございます。私が聞くところによりますと、現在国内生産の稼働率というものは五〇%余であつて、半ば遊んでおる状態であると聞いております。それからもう一つ、最初に局長は、建築用材その他広範囲にわたつて日米石綿の需要がある、こういうことで日本の製品は需要の範囲が非常に狭いとおつしやいましたが、その点についても今までの局長の御説明では私ははつきり納得できないのでございます。今、最近生産されつつある新製品と日米石綿の製品との比較試験の御報告がありましたが、しかもその報告をわれわれが聞いておりますと、大した優劣がないということでありますが、問題はなぜ外資を導入して日本の産業を圧迫しなければならないか、こういう問題に帰着するわけなのであります。私はそんなことはいまさら説明しなくてもおわかりのことだと思いますけれども、わが日本のあらゆる産業が技術面において立遅れておる、これをどうして急速に向上させて、外国の品物と国際市場において競争ができるようにするか。それが要するに日本の経済再建の最大の道だということはおそらく局長も御承知のことと思いますが、今までのお話によりまして、日米製品の優劣を比較いたしましても、技衛の面において多少とも劣つておるものがあると判断されるならば、技術の向上をはかつて、あくまでも国内産業の発展をはかり、またこれが国外に輪出される性質のものならば日本製品を国外に輸出する、こういう道を考えられないかという問題だと思います。その点について、局長のお考えをもう一度承りたい。

○記内政府委員 初めにお断り申し上げておきたいと思いますのは、繰返し申し上げておりますように、この製品は新製品でございます。従いまして在来の粗悪なスレートをつくつておる者が、これによつて圧迫を受けるじやないかという点でございますが、われわれが希望いたしておりますように、この品物が市中に出まわつて建築用材に使われるということになつて参りますと、むしろ木材の業者の方が影響を受けるのじやないかというふうにすら考えておるわけであります。また現に内地の業者が今申し上げたように、A、B社あるいはそのほかにさらに二社現在これに類するものをつくつておるわけでございますが、この両社は、いずれも同じようなものを今後といえどもつくつて参りたいということになつて来るわけであります。そういたしますと、この面で、日米石綿がもし外資導入をいたしませんでも、やはりこの種のものは日本としては出てもらわなければ困る製品じやないか。そういたしますと、日米社が入る入らないにかかわらず、この四社が出て参りますと、それが木材の代用にもなるわけでございます。但しこのうちの一部が在来のスレート業者に食い込むということにはなろうかと思うわけでございます。これは日米社が出る出ないにかかわりませず、こういう優秀製品を今後も伸ばして参らなければならぬということになれば、在来の粗悪なものをつくつておる業者がある程度それによる影響をこうむるということは、あるいはやむを得ない現象ではないかとも考えられるわけであります。もし日米社を食いとめて、それによつて今後もこの種の製品をつくらないということをわれわれの指導方針といたしますならば、あるいはその問題は解決するかもしれませんが、われわれが企図いたしますように、日米社の問題いかんにかかわらず、この種のものを伸ばすということを建前といたします限りは、在来の業者はやはりそれによつてある種の影響を受けるということはこれはわれわれとしてもやむを得ないのじやないか、但しわれわれといたしまして期待いたしますのは、そういう方面に食い込むのではなくて、むしろ木材の使用合理化の方に食い込んでもらいたいということをねらいといたしまして、この種のこういう新しい製品の産業というものを伸ばして参りたいということになるわけでございます。従つてそれを前提といたします限り、在来の業者あるいは世間に言われております中小のスレート業者と日米社との問題ではございませんで、この種の新製品をつくることによる中小企業の問題ということになつて参るわけであります。従いましてこの面におきましては、この日米社の問題は一応解決したものともお考え願えるのじやないか。問題は日米社と今新しく出ようとしておる四社との問題になつて参るわけであります。これはいずれも相当な資本と実力を持つている会社でございます。あるいは今後の勉強、努力のいかんによつてはもつと伸びて参るということも予想されないでもございません。しかしながら今までこの種のものはジヨンス・マンビルによつて、すでに市販されておるにもかかわらず、内地では今までなかつた。ただ昨年からこの種の問題が起きましたのに刺激を受けまして、会社として新しく出始めたというところでございます。また内地におきましては、この種のものは一種のノスタルジアと申しますか、やはり木材にいろいろな愛着を持つて、むしろ相当積極的な宣伝をしなければ、これの使用はあるいは進まないのじやないかということも懸念いたされる次第であります。そういう際におきまして、やはりある程度の宣伝費というふうな意味も兼ねて、日本でこの種のものを使わせるような方向に持つて行くことがまず必要なことではないだろうか。しかもそれが日本におきましても、今の新しい製品と、旧来のアメリカの製品とを考え合せてみますと、これは一部にはすぐれた点もございますが、総合的に判断いたしてみますと、やはり相当な進歩を見せており長所を持つておる。また価格の点におきましても一応推算される点においてはそういうふうな状況になつておる。しかもアメリカの資本が一部入るとは申しながら、やはり日本の会社であり日本の産業でございます。従いましてこの意味におきましては、われわれとして技術の提携をするのもやむを得ないじやないか。またした方があるいはいいのじやないかと考えておる次第でございます。ただその際におきまして先方に支払うべき代金と申しますか、ロイヤリテイ、あるいはイニシアルというふうなものにつきましては、やはり内地にもある程度の会社ができかつてかおる次第でもありますので、この辺等は十分にらみ合せて行かなければならぬ。向うの会社の要望する通り、うのみにするわけにも参らないのじやないかということで、せつかくその面を検討しておる次第でございます。

○加藤(鐐造)委員 木材資源が枯渇しつつあるために、建築用材をできるだけ節約する、それにかわるべきスレートの産業を伸ばす。ただ国内にすでにアメリカの製品に比較して大した遜色のない製品ができつつあるときに、何を好んで外資を導入しなければならぬか、こういうことなんです。今私はスレートの問題だけを取上げておりますけれども、通産省自体の根本的な考えの間違いを私は指摘しようと考えておる。あらゆる産業にこういうことをやられたらどうなりますか。日本の産業は亡びます。少し技術が劣つておるからといつてことごとく外資の導入、技術の導入をしたら、日本の産業は滅びてしまいます。私は現在全面的に技術の導入を認めないということではない。たとえば合成繊維等において盛んに技術の導入が行われておりますが、これはやはり日本の輸出産業の大宗としての繊維工業を急速に外国の技術水準に引上げなければならぬからやむを得ないが、しかし今までの御説明によりますと、スレートは単に国内の需要を満たすだけだ、輸出するということは一言もおつしやいません。そうするならば何も少しばかりの優劣を論じて外資を導入して競争させて一日も早くいいものをつくるという考えを持たなくても、すでに新製品ができつつあるのだから、それを育成するという方針をとられたらどうか、こういうことを私はお尋ねしておる。その点についても一度簡単でけつこうですから、それでもなお導入しなければならないという点について簡単に御説明願いたい。

○記内政府委員 私ども品質の点におきましてもただいま報告がありましたような第一次試験、第二次試験等総合いたしまして、相当進んでおる、また価格の点におきましても、含有しておる石綿の量あるいは繊維の品質というふうなことから考えまして、相当コスト安になつておる、そういうふうなことを考えまして、やはりこれは導入した方がいいんじやないかと考えておる次第でございます。

○加藤(鐐造)委員 そういう説明では納得できません。その私の質問に対する答弁は私に対する侮辱です。私の質問に対する答弁になつていないじやないですか。できなければできないとはつきりおつしやつていただきたい。これ以上質問いたしましても御答弁ができないと思いますから私はもう質問を繰返しません。これは単にスレートだけの問題でなくして、あらゆる国内産業の共通の問題ですから、将来この問題は十分調査しようと思つております。大臣に対してもあらためて質問をいたしたいと考えておりますが、ただ日本の産業に対する一切の指導監督権を持つておる通産省がそういう考えであつてはたいへんだということを、私は先ほどから繰返して申し上げておる。アメリカの植民地経済になるというようなことがいろいろ言われておりますが、私どもはそういうことは簡単に申しませんけれども、今あなたのおつしやつた考えですと、日本はアメリカの植民地経済になりますよ。一切のアメリカの技術を導入しなければ、資本を導入しなければ日本の経済がやつて行かれない、こういう考えであつたならば、これは遠からずして日本の経済は植民地経済になりますよ。それはひとつ考えていただかなければならぬものと思う。外国のやり方を私が御説明申し上げるまでもなく、あなたは御存じでしよう。たとえば東南アジアの地方におきまする新しく独立国になつた国々を見てごらんなさい。それらのあらゆる産業の面においてはるかに日本よりも遅れておる国々においても、できるだけ国内の霊要に充てるものは、国内産業の保護という見地から外国の資本、技術の導入だけでなくして、いわゆる製品の輸入もあらゆる手段を講じて押えてある。私のよく知つておる陶磁器の面において考えてみまするならば、インドネシア、ビルマ、インド、あらゆる国々において、たとい少しでもゆがんだ茶わんでもできる国においては、外国の製品をできるだけ輸入しないようにして国内の産業の育成をはかつておる、そういう政策をなぜおとりにならないか、こういうことなんです。くどいことを申さなくてもあなたは御承知のことです。私はあなただけを責めるわけではない。通産省全体がこういう政策をあらゆる産業の面においてとつたらたいへんなことになるということを私は繰返して申し上げたい。その点だけを申し上げて、後日いろいろな方法をもつてこの点は調査いたしたいと思つております。従つてこの問題を取扱うについても、通産省としてはまだ最終的な決定がされていないように承りましたので、その最終的な決定をすることは待つていただきたい。あらゆる面からなお一層の御検討を願つた上で方針を御決定願いたいということを最後に申し上げて、私の質問を打切ります。

○村上委員 日本の森林資源の枯渇を防ぐという意味で、少しでもこういうものを建築用材に使つて行くということは、一つの国策とでもいう重大な役割を持つておると思います。がしかし今加藤君が独占して一人舞台でやつておりますが、ともかく値段もちつともかわりがない、品質もかわりがないということならば、何もわれわれも好んでアメリカに高い金を出してアメリカの技術を導入する必要はないと思いますが、ここで先ほどの部長の説明の中に、大体その品質についての優劣は、われわれしろうとの判断のできないところでありますが、ただ原材料である石綿の含有量が三〇%から五〇%、こういうことをただいま報告されたのでありますが、私は非常にこの点が重要視される問題ではないかと思います。石綿の価格は私にははつきりしたことはわかりませんが、少くも原材料の使用パーセンテージというものが、経済価値に相当影響するのじやないかということを考えておるのですが、この点を局長はよく調べておるかどうか、ひとつこれを御説明願いたいと思います。

○記内政府委員 先ほど工業試験所の方から説明がありましたように、その点も調査いたしたのでございます。ただ的確なこまかい数字までのところはわかつておりませんが、価格を形成するについての、どの程度の価値を持つておるかということの大体の見当をつける程度でもいいから分析していただきたい、これは相当分析技術がむずかしいそうでございますが、それを依頼したところ、先ほど申し上げたように、全体として三〇%から五〇%、そのうちで日米社が一番少くて、A社がそれに次いで、B社が相当多いという判定が下つております。

○帆足委員 関連して。ただいま加藤議員からまことに論理整然たる質問がありまして、局長のお答えを承つておりますと、私はこの問題について最終的決定を政府が下すのには時期尚早であるという感を——これはだれしもそういう感を受けたと思いますが、受けました。先ほど日本の国民は木材に対して長い間の郷愁を感じておるというお話もありましたが、日本は、水の国、湿度の高い国、そうしてまた戦災を受けた国として、私は住宅様式については大いにこれから創意くふうをこらさねばならぬ、なかんずく石、セメント等でつくりました製品を広汎に建築に活用するという方向に進むことについては、異常なる努力、決意が必要であると思います。その点についてはみな一致しておりますけれども、しからばそれをどうするかということになりますると、私は先ほどの局長の下されましたような理由だけをもつて、今国際収支の非常に心配な状況のもとで、また外国の資本の支配がしんしんことして進みつつあるような憂いを国民全部が抱いておる現在の段階で、アメリカとの合弁会社にこれをゆだねるということは、私は軽率であると思います。先ほどのような点でこのスレートのよいのをつくりますためには、何といつてもよい原料を得ることが重要でありまして、原料使用に対してはもつと研究し、もつとよい原料を入手する方法もあろうと思います。技術という点につきましては、多少の優劣の差があろうとも、国内で努力したならば技術の進歩をわれわれの力でなし得ないことはないのであつて、そのために各般の指導育成をすることが業界並びに政府の仕事であろうと思います。従いまして本委員会においてかくも条理整然とした、かくも強い反対がありますのを押し切つて、政府でもうぼつぼつそういうことにしようかというふうな腹をきめかかつておるような御様子が現在におわされておりますことは、まことに遺憾なことであると思います。従いまして結論といたしましては、私は先ほど加藤委員の言いましたように、これは一スレートの問題じやない。同じようなことをミシンにも、工作機械にも、その他の製品にも適用しまするならば、長い間の戦争で立ち遅れをしております日本としては、ことごとくアメリカなり他国の資本を入れ、合弁会社にせねばならぬというようなことにもなります。外資導入というのはどういふ点においてなすべきであるか。私は優劣な技術をある範囲において買うことは必要であると思いますけれども、これについては非常な慎重な自主的検討が必要であると思います。また為替政策から見ましても、また国内の技術の保護育成の見地から見ましても、まず大局から自立経済をつくつて行き、日本国民の自主性を尊重して行く経済態勢をつくるために、通産省としては、また政党政派の別なく、全国民が納得するようなある原則がなくてはならぬと思いますので、この問題は局長の御責任であるというよりも、むしろ通産省全体の通産政策にかかることでありまするから、愛知通産大臣に来ていただきまして、まずこの根本の原則を明らかにしていただく必要があると思います。その基準から照らしてこの問題を判断いたしまするならば、さらに今後正確な調査資料をいただきまするならばおのずから結論は出ることと思いますが、通産委員会においてかくも熱心な論議があり、かくも理路整然たる反対があつたということを御記憶にとどめられまして、この問題の軽率なる、早急なる御決定はひとつ控えていただきたいと思います。また国会はある時期が来ますと閉会になりますので、閉会中にばたばた外資委員会できめてしまうということがないように、もし閉会中におきめになるような腹がおありでしたら、開会中に必要にして十分なる資料をここに提出されまして、通産委員各位の納得を得られました場合においてのみ決定をなされるように要望いたしまして、この問題についての取扱いについて、局長の御意見をこの際ただしておきたいと思います。

○記内政府委員 われわれも取扱いについては従来とも慎重を期して、あくまでやつて来ておるわけであります。ただ諸般の情勢上、相当早い機会に結論を出すべきであるというような情勢判断をいたしておるわけでございます。事情はよく検討いたしますが、相手方のあることでもございますので、これから最終的な協議の段階ということになりますれば、まだ相当期間もあろうかと思いますけれども、審議会ともよく相談して決定して参りたいと考えております。

○首藤委員 関連して……。私はこの問題は木材小委員会で十二分に論議されて、すでに結論は出ておつたというふうに了解しておつたのでありまして、今日までこの問題について通産省が最後の断を下さないという点に、むしろ不可解な気持を持つておるのであります。同時に、ただいま加藤議員からるる御意見の開陳がありましたが、その御意見の開陳の趣旨そのものに対しまして、私たちはむしろ反対な見解を持つておることを一言申し上げておきたいと思うものであります。
 それは、加藤議員は国内の同様産業を圧迫することがわかつておるにかかわらず、何を好んで外資を入れるかということに主眼を置いておるやに承つたのであります。しかしながら今回の日米合同の会社は、主として東洋各国向けの輸出を本来の目的として製造するということに重点を置いておりまするがゆえに、国内各社の生産に加藤議員の言われたような圧迫を加える不安はごうまつもないと私は確信いたしておるのであります。同時にまた、その製品の銘柄も、従来の国内の会社は主として並型を生産されておるが、今回の会社はそれと異なつた製品をつくることを主眼としておるのでありまして、この点からも国内産業を圧迫するという御意見は当らないのじやないかという気持がいたしておるのであります。同時にまた製品の品質でありますが、先ほど説明員の報告を承りましても、少くとも日米社の製品は石綿の配合量が国内の各社に比較して相当低いということだけははつきりしておると思うのであります。この一点だけでも、技術は相当違つておる、向上しておる。しかも価格はかわらない。石綿資源を節約するということに対しましては、われわれは重大な関心を持たなければならない。いわんや国内各社も、原料はやはり輸入に仰いでおるのであります。と同時に、原料の確保という点から考えますれば、日米社のアメリカの会社は、世界の資源の大半を持つておる。しかもあらゆる品種の資源を確保しておる最大の会社でありまして、今後永久に日本でこの製品を繁栄させるためには、絶好の相手だというふうにわれわれは考え、またそれを申し上げてもいいと思うのであります。かように考えてみますると、ただいま同僚帆足議員からもるる意見の開陳がありましたが、これに反対する理由はごうまつもないのであります。むしろそのような国内産業を振興する——圧迫でなくて振興する、私たちはかように将来を見ておるのであります。そうしてそれに必要とする条件がほとんどそろつておるというふうな考え方から見ますれば、むしろ一日も早く許可の断を下して、日本の産業に大きなプラスになるような施策に対しましては、通産省は進んでその処置をとるべきであるというふうに考えておるのであります。それにもかかわらず通産省が今日までの問題についてなぜ断を下さなかつたか、その点について局長の御意見を承つておきたいと思う。

○記内政府委員 結論が出るのがたいへんおそくなつておるわけでありますが、先ほど来申し上げておりますように、品質、価格等の点につきまして、各種の試験を実施いたしまして、最近その結論が出て参りました。それを判断いたしまして、われわれとしましては技術導入すべきであるという大体の結論になつたわけであります。ただ条件につきましてはいろいろ問題がございますので、その点をさらに審議しておる次第であります。たいへんおそくなつた次第であります。

○長谷川(四)委員 関連して………。局長さんにはちよつとわかりにくいかもしれないけれども、現在の日本の四社あるという会社で、どのくらいの程度の輸出をしておつたかということはおわかりですか。

○記内政府委員 在来のいわゆる粗悪品質のものにつきましては、若干輸出をしておりましたが、新しい製品と見るべきこの種の製品は、ついこの間一月から市販されたばかりであります。輸出の実績は、おそらくまだないかと存じております。

○長谷川(四)委員 技術院に私は申し上げておきますが、御返事はいりません。日本の工業技術院でございます。もう少ししつかりした答弁のできる、確信のある、自信を持つたものをやつていただかなければ、私たちはあなた方を信頼するわけには参りません。ですからどのくらいの差が出て来るということは——大分御遠慮の点も私はあると思う。われわれの参考資料としなければなりませんので、あなたの一言半句がすべて参考資料となるのでございますから、その点については、もう少し確信と自信を持つてお答えを願わなければならぬ。これだけ御注意申し上げておきます。

○加藤(鐐造)委員 私は質問を打切りましたが、今首藤委員から驚くべき御見解を承りましたので、この際なお私の見解を申し上げて、あらためて要求したいと思います。私は先ほど来工業技術院の内田説明員の比較試験の結果並びに記内局長の御答弁を聞いて判断をしたことを申し上げたい。少くとも本日の御報告御答弁によつては、スレート生産について、外国からわざわざ外資並びに技術を導入して新しい会社をつくる必要はわれわれは認めない、こういうことを申し上げた。首藤委員は、これをやることによつて日本の産業をさらに発展させるとおつしやいましたが、そういう見解でもつてあらゆる産業の指導に当られたならば、先ほど帆足委員の言われたように、日本の国内産業は立つて行かない。私はことに首藤委員が国内産業は圧迫しない、輸出の面にのみこれを向けるのだとおつしやいましたが、そういう御説明は一言半句も今までございませんでした。この点については、私はしばしば水を向ける御質問をしたけれども、ございませんでした。政府からこの点に御答弁が全然ないのに、首藤委員がどうしてそういう見解を持つておられるか、こういうことについても私どもは疑問を持つ、従つて与党である自由党がそういう見解でおられ、また政府もこれに伴つてそういう産業政策をとるとするならば、先ほど言つたような量太な結果が起こつて来ると私は考えます。ことに最近輸出が次第に減退しつつある。日本の経済が一大危機に直面いたしておりますときに、政府と与党がそういう見解を持つておられるということは、われわれは黙過するわけには行かない。従つて私は一スレートの問題として黙過することができませんから、この問題については、あらためてこの問題を中心とした検討を本委員会ですることを提案いたします。大臣にも御出席願つて、あらゆる関係局長にも御出席願つて、この問題を中心とした検討をさらに一日することを提案いたしておきます。

○山手委員 関連して。この問題は木材利用小委員会でも種々問題になり関係者を招致して検討いたし、その結果についてはまず大多数の議員が賛成をいたし、私も技術を導入することについて賛成をいたした者の一人でありますが、いろいろ私どもが賛成いたしましたときの理由は、このアメリカのジヨンス・マンビルの技術が、英国、イタリア、ドイツ各国に導入されておつて、非常な成果を上げておる事実がある。それからまた、最近東南アジアにおいても、アメリカ側の方ではどこか東南アジアの一国にこのノーハウを使わした方がいいのじやないかという考え方に立つて、それはやはり日本がいいだろう、こういうことであつて、昨年来小野田との話がついたのであるが、政府が昨年来この問題を試験に出すとかいろいろなことで、処置することが遅れておつて、最近においては、アメリカ側の方の関係者がインドあるいはフイリピンに、日本がだめならばこれを考慮しなければならないというふうな事態に立ち至るやもわからぬというふうな事情もいろいろ私漏れ承りました。現在日本においてもアメリカ製のこのフレキシ・ボードは相当輸入をされておる。特に新しい不燃家屋、文化住宅そのほかについては輸入をされておる。そうして東南アジア方面の需要については、東南アジアの一国に許した国から輸出をさすというふうな事態にジヨンス・マンビルそのものが持つて行く意向であるというふうなこともいろいろ私は漏れ承りました。今日日本の住宅を見ておりますと、欧米諸国の住宅に比較いたしまして旧態依然たる木材に片寄つて、明治あるいはその前からの住宅様式にのみ固執をしておる。現在の日本の状態からいたしますならば、住宅あるいは木材の利用関係についてはやはり画期的な革命、刺激を与えなければ、日本の国民が負担しております、年々六十億円と言われておる住宅費の負担なんかについても低減をする道がふさがれてしまうのではないか。やはり最近日米社の技術導入の問題が取上げられるに及んで、初めて日本においてもこういうフレキシ・ボード類似品が生産されるような刺激剤になつた、こういうようなこともあわせ考えて、私どもはこの際は大乗的な見地に立つて輸入をすることがよかろう。これは木材小委員会の大多数の結論であるが、しかも相手のあることであつて、これは一方的にわれわれが考えてみてもどうであろうか、こういうことで私どもはむしろ通産省が早く処置をせよという意見を持つておつた次第でございまして、私は今の加藤委員の話もいろいろわかるのでありますが、まだこれ以上荏苒日を延ばすということはいろいろな関係から許されないので、許さないなら許さないとできるだけ早く断を下すことが必要だろうと思う。いたずらに昨年来今日までのんべんだらりとやつて来ておつて、まだこれから何とかかんとかということでは、相手のあることであつて、許されることではない。いわんやこれがフイリピンやインドなんかと提携をして日本がこれを拒否するということになると、いろいろな関係で私は困難であろうと思う。こういうことで賛成をした一人でございまして、加藤委員のいろいろな御説もありますが、アメリカから石綿を輸入して日本でやるということになりますと、外貨の割当については政府が一切これを握つておるわけでありますから、そうむちやくちやに日本の産業を押し倒すようなことになるならば、これは石綿の外貨の割当なんかについて十二分にコントロールする道も残されておるわけでありますから一応そういう技術の導入はした方がいい。しかもこれはまだまだこれから半月も一月も二月も延ばすということでは、私は国際信義的にも適当であるまい、こういう意見でございますから、政府に木材小委員会の意見は大多数がそういう意見であつたということを申し上げておいた方がよかろうと思います。

○伊藤(卯)委員 私は別に発言をせぬつもりでおつたのですが、どうも黙つておるわけにも行かないので、委員長に議事進行についてひとつ要望をいたしておきたいと思います。
 このスレートの問題は、先般木材小委員会に関係業者代表を呼びまして、いろいろ意見を微しました折にもここで猛烈に対立をいたしました。われわれの聞くにたえぬような論争があつたのでございます。ところがそれはそれとしても、政府は政府とし、国会は国会として、われわれは冷静な判断の上に立つてこの問題は処理すべきであると考えていたのでございます。ところがはからずもまたこの間の業者の論争をここで各委員の間において繰返されるということが起つたので、実ははなはだ私はこれを遺憾に考えておるのでございます。(「赤面の至りだ」「その通りだ」と呼ぶ者あり)おそらくこの日米何とかを弁護される人はまつたく赤面の至りかとも思います。そんなことはまあじようだんといたしまして、実は先ほどからだんだん質疑応答を伺つておりましても、技術の点においても優劣の差がはつきりいたしておりません。なおまた輸出の点においてもはつきりいたしておりません。どれだけ輸出ができるのかということを伺つても、これは百回伺つてもおそらく答弁できないと思います。そうすれば輸出の問題云々ということは許可をとる口実にすぎないということ以外に現在の場合は言えない。そういう状態になつておるところに、業者の間においてあれだけの論争があつた問題を、一方的に軽々に許可するというような措置がとられるということになつて来ますと、またここに問題が出て来るわけであります。そういうことではいわゆるリベートの問題であるとか、疑獄であるとか、不正事件が起き、それが論争される一つのあれになるわけであります。(「それは両方だ、どつちがどつちだかわからない」「やぶへびだよ」と呼ぶ者あり)両方であるということは、一方は国内産業……。(「それこそ赤面の至りだ」と呼び、その他発言する者あり)また静粛に願います。一方は日本の産業において設備の五〇%しか動いていません。五〇%遊んでいるのでございます。その上に外資技術の名においてこれを許可して事業をやるということになれば、おそらく現在五〇%動いている設備が三〇%になり、二〇%になることは火を見るよりも明らかですよ。従つて国内にそれだけの生産設備のあるものが、外資と外国の技術によつて押しつぶされて来る。そのために多くの失業者の問題が出て来るでしよう。そういう日本の産業を整理する問題、失業者の問題を一体どういうふうに解決するかという対策も立たないうちに、一体そういう許可だけを与えればいいということは政治上簡単にとれる問題であろうか。この点を深く考えてもらわなければならないということを言つているのでございます。われわれは何も外資なり外国の技術なりがほんとうに国家再興の上において有効に使われて行くものなら、何人も反対する者はありません。しかしながら国内産業の上において以上申すような状態にあるところに、いたずらに国内産業をつぶし、失業者をたくさん出して、その問問題に対して何らの対策も考究されずしてやるというところに、私は政治上の問題があると思う。行政上深く考えなければならぬ点はこの点だと思うのでございます。これらの点についてどうするとすう政府側の説明もないじやありませんか。そういうものを許可して、その結果こういう弊害が起る。これに対して行政上どう措置するかということを出しておらぬじやありませんか。そういうことをそのままにしておいてよろしいということは、おそらく与党の諸君も言われぬだろうと思います。そういう問題をどのように解決するかということについて、おそらく首藤委員初め与党の諸君の中においても、私はそれをはつきり説明される段階にまだ立ち至つておらぬと思うのであります。従つてこれは日本の国内産業の上において、あるいは対外経済政策の上において重大な問題でございますから、次期通産委員会の折にでも大臣に御出席いただきまして、この問題を中心にして、日本の国内産業問題、対貿易関係等の問題、あわせて外資導入、技術導入等にも関連して十分論議することが、われわれとしても使命であるし、通産省としてもまたそういう論議の上に立つてこれをきめてもらいたいとおそらく希望しておられるだろうと思うのです。局長はどうです。おそらくあなたもそう思つておられると思うが、私が今言つているようなことについてかわつたお考えがあるなら、御答弁願います。私が今問うているような問題について通産省も賛成であろうと思うが、もしそういう考えじやないというなら、それをひとつ反駁する意味において答弁してください。賛成なら賛成という意味において答弁してください。

○大西委員長 お答え申し上げます。この問題につきましては、今御発言がありましたように、小委員会におきましては大体の結論を出していると、小委員長の中崎さんから承つているのであります。従いましてこの問題の取扱い方については、小委員長とよく相談をいたしまして、善処をいたしたいと考えます。
 本日はこれにて散会いたします。なお次会は明十三日午前十時より開会いたします。
    午後零時四十六分散会